第三十三話 学長の価値
「それでは、まずは、学長先生、もし売ったら、あのゴーレムを他の国はいくらで買うと思いますか? ちなみに売る気は今の所ないですけど」
僕はじじいの目を見据える。
「多分、最高で大金貨三万枚くらいまでなら出してくるだろう……」
じいさんも僕を見返してくる。
「では、千枚でもし買い取ってもらったなら、学園の資金は問題ないのですか?」
「私の個人財産で立て替えて、月々学園から払って貰う形で、学園の運営には問題ない」
「では、その差額二万九千枚分の要求を学園にはのんで貰いたい。サリー、それでいいかな?」
「あたしは、マリーちゃんに任せるわ。ゴーレム倒したのマリーちゃんだから、誰も文句ないと思うわ」
サリーが賛成してくれるのならありがたい。僕はゆっくり息を吸い込む。そして口を開く。
「学長先生、僕は学園と相互安全保障の契約を結びたい。要はお互い困ったときには助け合いたい」
「それは、学園にしかメリットがないぞ? もともと、学園は生徒1人1人を守る義務があるからな」
まあ、そうだな、建前はじいさんの言うとおりだ。
「僕はいずれ、死王、あと傀儡魔神と呼ばれてる奴を倒す。多分魔王とかも絡んでくるんじゃないかな? その時に出来る限りのサポートをお願いしたいんだ!」
しばらくキョトンとした目で学長が僕を見る。
「お主、本気なのか? 変える気なのか世界を?」
学長が乗り出してくる。さっきまでと目が違う! ギラギラしてる!
「そんな大それた事は考えてないよ。喧嘩売られたから買っただけだ」
僕は傀儡魔神との出会い、死王がからんでくる話をした。
「そうか、ガルガンが、すまない……迷惑をかけた」
学長は僕に頭を下げる。
「もう、気にしてないよ。ガルガンと傀儡魔神は今ダイエットに励んでるはずだ」
ベルにスーパーデブにされた、ガルガンと傀儡魔神を思い出す。サリーは自分が太らされたのを思い出したのか若干表情がかげる。
「まずは、死王を何とかしたい」
「強き者のまわりには強き者が集まる。お主は望まなくても戦いに巻き込まれていくのだろうな。我らも死王討伐は悲願、喜んで協力しよう!」
「あとは、個人的に学長先生には協力して欲しい。僕は知らない事がたくさんある。博識な協力者が欲しい。以上だ!」
「なんじゃ、お主、欲がないのう。あんなに威圧してきたからもっと無理難題突き付けてくるかと思ったわい」
「何言ってんだ! じじい! お前の協力の価値は大金貨三万くらいの価値しかないのか? 僕の方がまるっと得してるだろ! せいぜいこき使ってやるからな!」
サリーがにこにこして僕を見てる。
「そうじゃな! わしの価値は計りしれんぞ!」
僕は立ち上がり、じじいと握手した!
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