第九話 強力すぎる敵
「これから一直線に出口を目指してください! あたしにはこのフロアの敵は絶対に無理です!」
サリーは地下6層につくなり、僕にここの地図を渡すと、僕の影の中のシェイドの部屋に消えて行った。
なんだ?
サリーが焦るのは珍しいな。それにしては唐突だな。
「私も無理です。倒せないと思います」
モモさんでさえも、シェイドの部屋に逃げ込んで行った。
なんだ、いったいこの階層には何がいるんだ?
そんなに強い敵なのか?
黄金認識票の冒険者のサリーやモモさんがあそこまで恐れる様な。
僕はアナと2人で石壁の通路を歩いて行く。ウニとイカは1層から僕たちを追っかけているのでここには居ない。2人は地図を買ってるから僕たちに追いつくのはすぐだろう。このダンジョンでは自分が戻ってきた転移魔方陣しか使えない仕様になっている。どうしてもズルは出来ない。
「んー。これは嫌だな。私でもこいつらはあんまり食べたくない。地図と照らし合わせてみてもどうしても最低2回はエンカウントするな」
「食べたくない? 何をだ? 何がいるんだ?」
ん、アナに食べられない食材があるのか?
「見ればわかる!」
アナはそう言うとすたすた歩き始めた。
「フォボス! ダイモス!」
アナの手に2本の金の槍が現れる。アナが武装が必要なくらいに敵は強いのか?
「それはそうと、お前その槍どこから出してるんだ?」
前々から疑問に思っていた事を聞いてみる。
「これは私のエネルギーを物質化したものだよ。敗走の槍と恐慌の槍だ。攻撃した者をビビらせる特殊能力もついている。とても扱いにくいものだけど、今は完全に私の支配下だ。これでも日々、力をコントロール出来るように日々精進しているのだよ」
アナはうすい胸を張ってドヤる。
ぱちーん!
とりあえずアナの頭をひっぱたく。
なんかアナの分際で真面目っぽい事言ってるだけでむかつく!
「マリー、何をするのだ!」
「頭大丈夫かなと思って、お前がしらふな事言ってるから」
「失敬な! 私はいつも真面目、大真面目だ! 酔っぱらってなんかいない!」
おいおい、こいつは、大真面目に鬼畜な所業を働いていたのか?
人として余計たちが悪い!
カサッ! カサカサッ!
「う、この音は! キャアアアアアア!」
口から意図せず悲鳴がもれる。
僕はとりあえずアナを盾にする。
音の元凶に恐る恐る目を向ける。
ゴキブリだ!
巨大なゴキブリだ!
デカイ!
デカイ!
デカすぎる……
なんて凶悪な生き物なのだろうか? 無理無理無理無理無理。嫌いなものは嫌いなんだよー!
アナが食べられないとか言ってたけど、逆立ちしてもコレは食材ちゃうやろ。
「てーいっ!」
アナが頭からGを突き刺す。
それを僕の方に向ける!
「お前もこんなのが怖いのか?」
変なものこっちに向けんなよ!
「キャアアアア!」
意識してないのに叫んでしまう。本能の叫びだ。
貫通したお尻っぽいとこから、なんか液体的なものがでてるし、未だ足が結構元気に動いている!
アナが食べたくないとか言うから、動物だと思っていたので予想外過ぎた!
「ああ、もうだめー……」
口から言葉が漏れる。僕の意識はそこで途切れた……
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