第五話 黄金色の液体
「なぁ、サリー。レアモンスターってそんなに出るものなのか?」
僕は金色のスライムを見ながら言う。
学生服の美少女が四人で金色のスライムを囲んでいる。シュールだ。
客観的に見ると、ダンジョンの中の光景だとは思えない。
「さあ? 金色のスライムが出るっていうのは聞いた事あるけど、出たっていうのは始めてよ」
サリーがうっとりと金スライムさんを見てる。多分お金にしか見えていないのだろう。
「偶然だとは思えないね、多分、僕かサリーのどちらかが何らかのスキルをもってるのではないかな?」
「まあ、それは置いとくとして、誰が倒すの?」
モモさんが僕の肩に手を置いて言う。なんというのか、ボディタッチ多いよな、女の子って。まあ、けど、ボディタッチが多いのが男同士だと一気に変態っぽくなるのは何故だろう。
けどキラに戻ったらとたんにそれは無くなるので、最近マリーのままでいる事が多くなりつつある。ま、僕も男の子だしね。
ん、ここ数日、キラに、男の子になってないような? 要は一日でマナが全快しなくなっている。体感的に、まだ半分も回復していない。
「マリーちゃん! マリーちゃん! 帰って来てー!」
サリーが僕のほっぺたをふにゅふにゅしてる。あ、周りが見えなくなるくらい、めっちや考え込んでしまった。
「誰がやるかだな! レアモンスターをやっつけたからってレアドロップが出るとは限らないって聞いた事がある。私は、余り運に自信がないからな!」
アナが、金スライムをつんつんしてる。このままだと、アナが倒してしまいそうだ。倒したいけど、スカひくのが嫌なんだろう。
「僕にやらせてくれないか? さっきもポーション出たし」
「いいけど、お金投げるのは止めましょう、お金は大事だから。はい」
サリーは僕に小石をくれる。いつの間に拾ったんだろう?
「マリー! ブレッド!」
小石はスライムを突き抜ける!
やっちまった……
また、ブレッドって言っちまった!
そこには金色の液体をたたえた小瓶が残る。
やった!
多分当たりだ!
「マリーちゃん、またブレッドって言わなかった?」
サリーが僕の顔を覗き込む。はい、気づいてます。今度人知れず発声練習しよう。こういう言い間違いが1番恥ずかしい。
「気のせいだよ……それよりもドロップアイテム!」
モモさんがさっさと小瓶を拾ってきた。
「ブレッド。ブレッド。ブレッド」
モモさんが無表情で僕に言う。
「あの、モモさん、これくらいで勘弁してくれませんか? はい、間違えました。ブレッドと言いました」
「うん? パンが欲しいのか? パンツならあるが」
アナがスカートをめくりチラッとパンツを見せる。
ピンクだ!
少し嬉しい!
こいつに男だというのはばれないようにしよう。ラッキースケベが遠のきそうだ。
「アナさん、強引にえっちな方に行くのは止めましょう! 正直おっさんみたいです!」
僕はアナに釘をさす。こいつはエスカレートしそうなのでそこそこにしとかないと。
「ん、マリー顔が赤いぞ、照れてるのか?なんならパンツ脱ごうか?」
アナが近づいて来て顔を寄せる。
近い!
近い!
ばしっ!
後ろからサリーがアナの頭を叩いた。
「アナ! えっちな暴走は禁止よ!」
「サリー、何をする! そう言えばさっきの決着がまだだったな! あと、マリーをかどわかした罪もあがなってもらう! 戦神降臨!」
アナの体から金色の光が溢れだす。
こいつも金色だ。実はこいつもレアモンスターの一種なのでは?
「シェイド!」
サリーが叫ぶ!
「キャア!」
アナが可愛らしい悲鳴をあげる。
サリーの呼びかけで、サリーの足下の影から手が出てきて引きずり込まれた。
「アナ! 退場!」
サリーが嬉しそうに言う。
やっとこれで話が進む。
「その金色飲んでいいのか? おしっこみたいだな!」
代わりにシェイドが出てきた。みんな思ってたけど口にしなかった事を。これでもうこのポーションは飲めない。ああ、一難去ってまた一難だ。
「売ろう……」
サリーが目を伏せる。
シェイドの一言で、金色のポーションは売却確定した。
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