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 第十三話 擦り合わせ


「まずは、僕から何があったか話そう」


 サンドリバーでの事を話す。アナが赤い顔でぼーっとしてたので、邪魔される事無くスムーズに進んだ。


「おかしいわね? 赤竜が生息するのは遙か北のはず。サンドリバーには何も無いから竜が来るメリットがないわ。なにか理由があってサンドリバーを襲撃したんだと思うわ」


 サリーが筆記しながら話す。誰が何のためにサンドリバーを襲わせたのかは情報が少なすぎてわかんない。


 サリーたちは、僕がお風呂で消えたあと、僕の気配をたどって追っかけてきたそうだ。サリーは僕がどこら辺にいるかある程度近くだとわかるらしい。少しストーカーっぽいな。


 聖都からサンドリバーまでは馬車で1ヶ月位はかかるほど距離があり、僕の気配は聖都から出ると超高速で遠ざかったらしいので、何らかの魔道具をサクラが使ったと思われる。


 高速移動方法を模索してたら、イカが飛行実験をしたいと言い出して、試したらかなりの速度で飛べることが解ったので、急いで籠を用意して飛びだったそうだ。


 ちなみに、モモさんの姉妹の先生は学校に事情の説明をしてくれて、ロロは籠を手配してくれて、ラボにこもって新しい武器を制作してるとの事だ。


 イカの話を聞いてみる。孤児院のみんなは迷宮都市地下1層のパレスと呼ばれる所に移動してて、そこを拠点に活動してるそうだ。


 迷宮都市の浅い層の都市部に大量のアンデッドが発生し、都市の戦力と協力して、駆除しながら生活してるそうだ。まあ母さんも牛男もいる事だし心配しなくても良さそうだ。


 母さん、牛男、リナ、タコ、マグロ全員元気で、ベルはまだ目を覚ましていない。


 迷宮都市への一番近い入り口ですら、魔領のテーブルマウンテンの温泉でここから行くとどれ位の日数がかかるかわからないし、そもそも行き着く手段が無いと言う。


 それに、話によると、いまだに母さん達は戦い続けていて、アンデッドの供給をストップしないと動けないみたいだ。


「まとめると、マリーちゃんを狙っているのは死王と傀儡魔神と呼ばれる者で、死王は積極的に攻撃してきている。あと、赤竜を使うないし、けしかけた者がいるかもしれなくて、これも敵かもしれない」


 サリーがノートから顔を上げ口を開く。


「クラーケン号に乗って直接行って死王を叩くというのはどうだ?」


 アナが立ち上がる。相変わらずエルフ系は好戦的だ。


「その前に、マリーちゃんに修行してもらわないと。聖魔法のレパートリーを増やしてもらわないともったいないわ」


 サリーが僕にしなだれかかってくる。今日はサンドリバーで地獄を見たので、サリー成分の補給は嬉しい。


「けど、今日は帰ってご飯たべて休みましょう。みんなあんまり寝てないし」


 モモさんもしなだれかかってくる。なんか新鮮。


「お前たちずるいぞ!」


 アナは机の下を潜って僕の前に出ると僕の胸に顔を押しつけてきた。


「うりうりうりうり!」


 アナは、顔を揺すりまくる。


「キャアアアアッ!」


 僕の悲鳴が大空にこだました。


 読んでいただきありがとうございます。


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