第十二話 日常
「ううん……」
目を覚ますと、僕は柔らかい何かに顔を押しつけられてた。何だろう? 頭がしっかりロックされてて動けない!
「誰か! 誰か!」
僕がじたばたすると力が緩み解放される。顔を上げるとモモさんだ。ブラジャーはしてるみたいだけど、モモさんの胸の谷間に顔を埋めていたらしい。なんともったいないことを! もっと堪能すればよかった。
「おはよ。マリーちゃん」
そう言うとモモさんは僕の顔をがっちり掴み顔を近づけてくる。万力に締め付けられてるみたいで動けない。
「まって、まってまってーっ」
すぱーん!
誰かがモモさんの頭を叩く。
「モモ! 暴走禁止!」
サリーだ。助かったけど、すこし後悔。
起きたら、シェイドの部屋のベッドだった。不動の呪符の効果は切れたみたいだ。僕の体は綺麗に拭かれていてさっぱりしている全身が……ということは、剥かれて拭かれたのか? 顔が熱くなる。女の子でも女の子に裸でふきふきされるのは恥ずかしい。
シェイドの部屋のリビングに皆集まりテーブルを囲みソファに座る。サリー、モモさん、アナ、シェイド、ウニだ。イカは外で飛んでいるそうだ。今は夕方で、後しばらくで聖都に着くそうだ。イカの話も聞きたいので、一旦着陸して来てもらう。
僕を挟んで右にモモさん、左にサリーが座る。二人とも僕に密着している。対面にアナとシェイド、右にウニ、左にイカが座る。イカ少年スタイルはあまり見てなかったのでよく見ると、キツネ目ですらっとしていて昔のイケメンみたいだ。
いつの間にかテーブルにはアイスコーヒーがセットしてあって、子供たちにはお茶だ。しっかり氷がはいっててストローもある。どこで手に入れたのだろう?
サリーはノートとペンを置いている。状況整理にはその方がいいだろう。
「まず!」
僕が口を開くのをサリーが制する。僕はコーヒーを口にする。
「まず、一番にこれはルールとして皆で守っていきましょう!」
サリーが見渡す。そんなに重要なルールなのか?
「基本的にマリーちゃんにはこちらからちゅーはしない! マリーちゃんがちゅーしてきてくれたらオッケー!」
ぶぶーっ!
僕は盛大にコーヒーをシェイドにぶちまける!
なんじゃそりゃ!
「う、マリーの吐き出したコーヒー……シェイド舐めてもいいか?」
アナがシェイドの両肩を掴む。
「なめるな!」
ついつい叫んでしまう。
「マリー! ふざけるな! 鏡を見ろ! お前ほどの至高の美少女が口から出したものを口に含みたいと思うのは人として当然の感情だ! 見ろ! シェイドだってばれないように口に含んでるぞ!」
アナがシェイドを指さす。
「ごめん……つい……少し飲んだ。シェイドはマリーの出したものなら、なんでもほしい!」
シェイドがてへぺろる。ん、僕の出したものならなんでも欲しい? 今、かなり危険な事言わなかったか?
「やめーい! アナ、これ以上シェイドに悪影響を与えるな!」
ウニがタオルを出して、シェイドのコーヒーを拭いてくれた。
「それにだ! 不公平だろう! 私はマリーと1回もちゅーしてないんだぞ! お前にはわからんだろう、私の気持ちが! サリーが、モモさえも事あるごとに自慢してくるんだ!」
う、それは恥ずかしい……
「しょうが無いな。アナ。目を閉じろ」
僕はアナの所へ行き、まずはアナをきゅっと胸に抱く。
「「マリーちゃん!」」
サリーとモモさんが叫ぶ。
左手をアナの首にまわす。アナの頬がほんのりと赤くなる。やっべー、やっぱこいつ美人だわ!
何も言わなければ、最高なのにね。
僕はアナに顔を近づける
「チュッ!」
僕は口で言って、右手をキツネにして、指先で軽くアナの唇に触れる。柔らかい。
「はい! 終了!」
「ずるいぞ、マリー! 本物がいい!」
アナが真っ赤な顔で抗議する。
「だめー! お前には早すぎる!」
「むぅ……」
何とかアナを黙らせる事には成功したみたいだ。
けど、話がなにも進んでない……
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