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 第一話 誘拐


「何だ? なにが起こってる?」


 僕は呟く。誰かに聴かせるように。ひんやりとした少し饐すえたような臭いの空気。燭台に照らされた石造りの部屋。床には魔法陣が光っていて、徐々にその光を失っている。長い一日すぎる。今日はまだ終わらないのか?


「フガッ!」


 僕の口に何かが噛まされて、次は手を後ろで結ばれる。刹那、辺りが闇に包まれる。なんか袋を被されたみたいだ。膝を押し込まれひっくり返され逆さまになる。シュッと音がする。袋の口が縛られたみたいだ。


 もがいてみたが、うん、全然だめだ。濡れたタオルが気持ち悪い。せっかくの美少女との混浴の天国から今は何なんだ。コロス! 誰か解らんが絶対後悔させてやる! 浮遊感的に運ばれてるっぽいが、まあ、どうでもいい。とりあえず寝よう。後は起きてから考えよう。僕は眠りに落ちた。





「おい起きろ!」


 誰かに、揺すられる。まだ眠いよ! 寝させて!


 バシン! バシン!


 頬に痛みが走る。ん、はっきりと目が覚める。僕は確か……


 目の前には白い学ランのような軍服の美少女がいる。

 ん、美少女ちゃうな、こいつの名前は確かサクラ!

 ギルフリード王子の腰巾着のおかま野郎だ。


 僕の格好はバスタオル一丁のままで、ベッドに横たえられている。


 何こいつ、おかまの分際で僕にビンタ発ってやがる!


 せっかくの極上の風呂タイムを邪魔してあまつさえだ!


「お前には、私の言うことを聞いてもらう!」


 サクラはサーベルを抜き、僕の方に向ける。生意気な!


「グラビティ・ゼロ!」


 僕は飛びあがり、サクラの頭を起点にしてくるりと回り、その背後に着地する。


 もらった!


 僕はサクラの腰に後ろから手をまわしクラッチしてサクラの重力をカットし持ち上げる。後ろにブリッジみたく倒れ込みながら重力を戻しサクラを床にたたきつける。


「ジャーマンスープレックス!」


 決まった!


 完全に!


 サクラの頭は床に打ちつけられる。ふかふかな絨毯だったから死にはしないだろう。けど、タオル一丁の僕は前から見たらすごい格好だったのでは……


「天誅!」


 僕は離してやり、その手のサーベル奪う。サクラは泡を吹いて気絶している。収納から服を出して着る。濡れたタオルでなんか体がふやけてる。


「ううん……」


 サクラが目を覚ます。か、可愛いマジ美少女だ……


 僕はサーベルを向ける。


「ここは何処だ? 何が望みだ? お前の態度次第では考えてやるぞ!」


 サクラは目を伏せる。そして、僕の顔をじっと見つめる。その目には涙が光っている。決してジャーマンスープレックスの痛みによるものでは無いだろう。


「すまないが、力をかしてくれないか? たのむ!」


 サクラは震える声で床に頭をすりつけた。




 読んでいただきありがとうございます。


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