第十三話 後始末
「もうわかったから、頭上げて、けどー、現状復帰はよろしくね!」
泥人間が僕たちに言う。口角が上がっているように見えるので、多分笑ってるのだろう。
「お前が汚したから、お前が綺麗にしろよ!」
僕は悪く無い。汚したのはイカだから掃除はイカに任せる。
「えー、こんな広いお風呂、僕だけでは無理ですよ。マリー様手伝ってくださいよ」
イカが即答する。何言ってやがる。人を巻き込むな。
「マリーちゃん!」
モモさんが僕をじっと見る。モモさんはなんとか顔だけは被害を免れている。けど体は粘液と墨まみれで泥人形みたいだ。
しょうが無いな。
モモさんは手伝えって言いたいのだろう。
「解りました……」
若干とばっちりのような気もするが、風呂掃除を手伝うしかないか。
「はぁー。それよりも、僕らはどうしよう、銭湯とか絶対入店拒否だよ……」
ロロがため息をつく。ロロも粘液と墨まみれだ。けど、3人の中ではマシな方だ。
うーん、どうしよう? そうだ。
「シェイドー!」
僕は自分の影の方に問いかける。
「嫌だ! 臭いから嫌だ!」
影からシェイドが鼻を摘まんで頭だけ出している。転移がとけたから、また僕の影にシェイドは戻ったのだろう。けど、勘が鋭いな。まだ僕は何も言ってないのに。
「サリーの半身のシェイドだ。今は僕の影に住んでる」
ざっくりシェイドの事を紹介する。それだけで、すぐに納得して貰えたので、三姉妹の非日常に慣れてるっぷりがよくわかる。
「頼む、シェイド臭くて汚いかもしれないが、学園のモモさんのお風呂にこいつら運ぶの手伝ってくれ」
臭い汚いの言葉に三姉妹は傷ついたようだ、うなだれてる。いかんいかん女子に臭い汚いは。もっとデリカシーをもたねば。
「せめて、もう少し綺麗にしろ。あと、そのあと部屋を掃除してもらうぞ。サリーが水の魔法使えるから替わるぞ」
シェイドの目のきつさが柔らぐ。中身がサリーにチェンジしたのだろう。
「イカくっさ! 地獄!」
サリーに替わるなり、サリーはひどい顔をする。僕らはずっとその臭いを嗅いでるから麻痺ってるけど、鬼のように臭いのだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
サリーに詳しく事情を説明すると、まずは墨を洗い流そうと言う事になった。
「マリーちゃん、見ちゃだめよ!」
サリーは僕にタオルで目隠しをして、三姉妹を洗浄し始める。ちなみにイカは汚れが少なかったので、先に影に収容されている。
目隠しを取ると、バスタオル一丁の三姉妹がいた。最低限、墨は落ちている。
「こきたねー!」
いかん、つい本音が……
三姉妹の容赦ないパンチが僕にのめり込んだ!
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