第三話 Re:風呂から始まる異世界旅行
「お前誰だ! 何してる!」
僕は少年を睨む!
美形だな。それだけで生意気だ。
「何をって、僕は水中呼吸の魔道具の実験をしてたんだよ。先に入ってたのは僕だよ、君たちが乱入してきたんだよ。それに、なに、さっきの甘ったるい空気、もしかして、君たち恋人同士なの? モモ、男っ気ないと思ったら、そっちだったんだね、けど、モモは僕のものだからあげないよ」
少年は、話しながらもモモさんをもみ続けてる!
モモさんはブルブル震えてる!
「よく喋る奴だな!」
僕は怒髪天だ!
殺気が充満してるはず!
「怒ったのか? 怖くないよ!」
少しびびってやがる。
けど、奴の視点は僕の胸だ。
「僕さえ触った事の無い神聖なものを許せん!」
いかん、本音がだだもれだ!
「僕の瞳が瞋恚に燃える! 勝利を握れと轟きさけぶ! お仕置きだ!」
「しやーくねつ! グラビティ・ゼロ! ソープ・ブリット!」
僕は石鹸を掴み重力をカットして、握る!
スポン!
カコーン!!
僕の手から放たれた石鹸は見事に少年の鼻にクリーンヒットする。天誅!
まあ、死にはしないだろう!
少年はふらふら立ち上がった瞬間後ろに倒れ込む。即座にモモさんはお湯に浸かり込む。残念、何も見えなかった。
ん、モモさんに目が行っててあまり見てなかったが、少年にはロンギヌスがついてなかったような?
ロンギヌスがついてなかった!
ロンギヌスが確かについてなかった!
ノーロンギヌスだ!
ロンギヌスは男の勲章だ!
と言うことは女の子!!
僕はプチパニックに陥る。そういえば、小柄だし、声も高かったような。
「マリーちゃん! 後ろを向いて!」
ザバンと、モモさんたちがあがる音がする。
「タオル!」
「はい!」
僕は後ろを向いたまま、収納からバスタオルを出して渡す。
心なしか、モモさんが怒ってる気がする。
「向いていいわよ!」
簀の子の上に少年、いや、少女はバスタオルを巻いて寝かされている。
「ローズ! 私の妹よ! ロロって呼ばないと怒るわ」
僕っ娘か! 僕とかぶるが、キャラが違うからいいだろう。よくみると、微かに胸もある。
「マリーちゃん! どこみてるの! エッチぃのは嫌いです!」
モモさんが口をとがらせる。
どの口がいうんだ! さっきとことんエッチだったくせに!
「ううん!」
ロロが目を覚ます。
「すまん、男の子かと思った!」
僕は素直に頭を下げる。
「いいよ。僕もふざけすぎたし。寒いから、お湯に浸かろう」
僕たちは、浴槽につかる。檜の香りが僕を癒す。モモさんと僕の間にロロがいるのがすこしむかつく。シスコンなのか?
ガラッ!
扉が開く。その瞬間モモさんに僕は後ろから目隠しされる。
「もう! あなたたち何騒いでいるの! お風呂は大人しくはいりなさい!」
なんだ? 先生の声だ。
「お姉様、マリーは女性の裸を見ると、興奮して気絶するのです。体を洗ったらバスタオルを巻いて来てください!」
モモさんが説明してくれる。けど、なんか、僕、新手の変態さんみたいじゃないか!
やっと解放される。いつの間にか位置が変わっていて、右手にロロ、左手に先生、後ろにモモさんがいる。僕は何をしてるのだろうか? 美人三姉妹にお風呂で囲まれている。これって幸せだよな? 僕は自分に言い聞かせる。
キィーーーン!
なんか軋むような音がして、少しめまいがする。
風呂の壁が消え去って、辺り一面雪景色になってる。部屋を囲んで、おびただしい数の武装した骸骨たちがいる。おお! すごい!
「モモさん。このお風呂、こういう機能もついてんだ」
「そんなわけないでしょーー!」
モモさんの叫び声が響き渡った!
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