第三十話 百手巨人の力を有した娘
「マリーちゃん。いえ、キラさん今日はありがとう!」
モモさんが僕の方を見て微笑む。
ん、今間違ったよね? ばれてるのか?
あの後シェィドの部屋に引きずり込まれて、僕、マリーは服を着替えた。
「シェイドの中身はシェイド戻った。サリーは家だ。シェイドは触った事がある人に変身できる。あと体の交換もできる。サリー以外とは短時間しか出来ないけど。マリー手を出せ」
シェイドが僕に手を差し出すが、その格好がキラに変わる。けど顔グロだ。
シェイドの手を触ると、視界がぶれ、僕の前にはマリーがいる。
「おお、でかい!」
マリーは自分の胸をタプタプしてる。あ、声も可愛い。我ながら
「マリーは、今シェイドと体交換した。デートだろ、モモを送れ! サリーが言ってる」
マリーの姿のシェイドは僕にマントを渡した。
そして、僕はシェイドの部屋から外に出てモモさんにマントを渡した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
僕たちは、夜道を歩いている。僕の少し前をモモさんが歩いている。マントにサンダルだ。あの中が裸だと思うと、まくり上げたい衝動に駆られる。しないけど……裸マント、往事の変態さんみたいだな。
「私の中の巨人、いつも飲み込まれるんじゃないかと怖かった。けど、もう大丈夫。強くなりたいって思う私が巨人を飲み込もうとしてたのね」
モモさんは振り返って止まる。その表情は、前より豊かで、年相応に幼くなったような気がする。美人さんだけど、可愛くなった。
「あたしは強くなりたいわ! 今も。けど、戦う為じゃなく、守るため。色んなものを」
モモさんは僕をじっと見る。そのあと近づき、マントごしに僕の腕にしがみつく。なんか、柔らかいものあたっとりますがな!
僕たちは寄り添って、好きなものや、やりたいこと、行きたいところとかの話をしながら歩いた。恋人同士みたいだな。
恋人になれたらいいのにな!
「今日は実家に泊まるわ。ありがとう! 楽しかった!」
モモさんは手を離して僕をじっと見る。なごり惜しいが、もう、モモさんの実家の前だ……
「ハンズ・オブ・ヘカトンケイル!」
僕とモモさんの回りに無数の巨人の手が浮かぶ!
なんだ?
手のひらが僕らの回りをドーム状に覆い、辺りは闇に包まれる。
「お礼にはならないかもしれないけど……」
闇のなか、モモさんが耳打ちする。
ん、なんだ?
バサッ!
マントが地に落ちた?
なにが起こってるんだ?
「あ、脱げちゃった! 真っ暗だからいっか」
モモさんが呟く。モモさんが手探りで、僕に触れ抱きついてくる。転びそうになり、僕はしがみつく。ひんやりすべすべだ、下にたどると柔らかいものが……
お尻?
もしかして、モモさん裸!?
どうして? 僕はパニック状態だ!
チュッ! チュッ!
僕の頬にしっとりとした柔らかいものが二度ふれ、三度目は、僕の口に強引に強力に押しつけてくる。
僕は訳が解らないまま、モモさんを抱きしめた。
モモさんが離れて、ガサゴソ音がする。
巨人の手が消える。モモさんはマントを纏っている。
「おやすみ!」
モモさんは僕に手を振ると、家の中に駆けてった。
第八章 ガンダーフ魔道学院 完
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