第二十五話 初めてのデート
「まずは、お買い物に行きましょうか?」
モモさんが僕に振り返る。サラサラな黒髪が揺れる。制服がとても似合っている。多分モモさんは何を着ても似合うだろう。表情が固い。緊張してるのだろうか?
ドリームカムテュルー!
ああ、神様ありがとう。制服で可愛い女の子と一緒に歩く。いままでは妄想の中でしか実現しなかった事だ!
「キラさん、デュームの町ではありがとう」
モモさんは赤くなってそっぽを向く。クレイジー仮面として戦った後に保護した事を言ってるのだろう。マッチポンプちっくだったので、微妙な気分だ。
「マリーちゃんとはどんな関係なの?」
「んー。親族ではあるな」
モモさんには嘘をつきたくない。仲間、だからな……いつかは本当の事いわないと……
今から気をつけるべき事は2点。
まずは男に触れない触れられない。今の状態だと間違い無くマリーに変身してしまう。せっかくだからデートを完遂したい!
次に、マリーとモモさんしか知らないだろう事を口にしない。まだ、僕とマリーが同一人物だとばれたくない。
「マリーとは仲いいのか?」
忘れかけてたけど、クレイジー仮面と声色を変えとかないと。それと僕はハードボイルドキャラだったな。
「うん! とっても仲良し! マリーちゃんはとっても可愛いし、とっても優しいし、とっても柔らかい! それに弱いのにとても強い! マリーちゃんがいなかったら、私達ここにはいないわ!」
モモさん。マリー好きすぎだろ!
スイッチ入ってトークスピードアップしてるし!
人物評価で柔らかいはあんまりだと思う、それ乳の事やん!
そうこうしてるうちに、アーケードについた。学校のそばの商店街より、店々がおしゃれチックだ。
「実は、私、こういう所入るの初めてなの……」
「実は僕もだよ……」
僕たちはおしゃれ雑貨店に入ってみた。可愛い小物や、デザインがいい家具、おじゃれなアクセサリーなどが並んでいる。
「私は、暇なときはいつも鍛錬してるから……」
「僕は、暇なときは……あ、暇な時がないな。暇が欲しい。そうだな、今度ゆっくりしよう。川べりでバーベキューでもしながら。決定だ。お肉や野菜やホルモンもいいな。モモさんホルモン好きかい? サリーとアナとあとウニも誘ってやるか」
「うん、ホルモン好きよ。キラさん料理できるの」
「ああ、うんまいもんくわしたるよ。それで、なんか気に入ったものあるかな?」
「なんか、キラさんって初めて話した気がしない。なんか話しやすい」
モモさんの表情が柔らかくなってきた。いつものモモさんに近づいて来てる。あ、ハードボイルドキャラ吹っ飛んでた……ま、いいか。
「ウニって誰?」
「ウニって言うのは、最近できた仲間で、体は10才児だけど、心は二十歳前後のすけべな大人で、特殊能力でウニに変身する。壁をすり抜けたり、透明になったりする、厄介な奴だ! ディスペル!」
僕は後ろを向き、魔法を放つ。お、ディスペルはキラでも使えた。僕たちの数歩あとに小っちゃい男の子。ウニだ。
「こいつがウニだ」
「なんで解ったんですか?」
ウニが驚愕の表情で立ってる。
「勘だよ勘! 誰に雇われた? 目的は?」
勘は嘘だ今朝ウニの制服に香水を付けてやった。どぎつくなくいい香りのするやつを。
「サリー姉さんにキラ兄さんにタッチするよう頼まれたんだ。ごめんなさい」
ウニは頭を下げる。
「ウニ、モモさんだ挨拶しろ。モモさん覗いたりしたら、生おしりぺんぺんアゲインだからな。お前のクラスメイトの前で」
「それは勘弁してください。モモさんですね、僕、ウニです。とても綺麗な方ですね、隠密が必要な時はいつでも呼んで下さい。力になりますよ」
「ウニ君ね、よろしく!」
モモさんが微笑んで挨拶する。
「モモさん子供好きなのか?」
「んー。余り接した事ないけど、好きなのかも?」
「僕とマリーで孤児院経営してるんだ、今は遠くに行ってるけど、戻ってきたら、行ってみよう」
「孤児院って遠くに行ったりするものなの?」
「まあ、事情があってね」
ウニを開放して、僕たちは雑貨を見る。ピンクのハート型の石がついたネックレスをモモさんが見てたので、買ってあげる。
「ありがとう!」
なんかマリーに対してはしないきらきらした笑顔が素敵だった。
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