表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/485

 第二話 戦い


 僕の名前はキラ・シドー。転生者だ。


 気が付いたら、暖かい闇の中だった。それが母親のお腹の中だと外の声から気付き、回りの会話から剣と魔法の世界に転生したらしいという事が分かった。記憶はあやふやだが、覚えているのは前世では完全モブだった事だ。我慢と妥協の人生だったという事しか覚えていない。それだけはもう嫌だ。


 僕は今度は自分がやりたいように生きていく。


 そのためには、この優しくない世界の中では力が必要だ。僕は、運良く冒険者だった両親の下で、努力努力努力の日々を山奥の村で送ってきた。

 先日聖都に上京して冒険者になり、今まさに破竹の勢いでのし上がってる所だ。

 そして、聖都最強のクランに入り、有能な仲間とこの迷宮に来た。


 今は地下20層。フロアボスのドラゴンと対峙している。





「グラビティ・ゼロ!」


 僕は自分にかかる重力を最小限にして跳び上がる。


『グラビティ・ゼロ』、それは、血の滲むような努力の末手に入れた、僕の特殊能力。自分と自分に触れてるものに働いている重力を操作するものだ。

 ちなみに僕のクラスは竜戦士ドラグーン、あまり知られていない、歴史の浅いクラス。ドラゴン等の巨大生物との戦いに特化したクラスだ。重力を操作し高く跳び上がり、降下し必殺の一撃を喰らわせる。


 他には環境適応、自動回復、全属性耐性のスキルも習得している。僕は魔法技術も磨いていて、魔力探知ディテクトマジック加速アクセル魔法の矢マジック・ミサイルあと幾つかの魔法も行使出来る。しかも苦行と言うより地獄の魔法訓練をし続けた結果、魔力とマナはもはやバリッバリのチートだ。因みにマナと言うのは体の中にある謎の力で、魔法はマナを変換して様々な事象を発現させるものだ。前世でやってたゲームで言うとMPと同じようなものだ。

 僕はこの力を使って英雄と呼ばれる人間になりたい。多くの人にリスペクトされながら悠々自適な生活を送りたいからだ。そのために、どんな厳しい修行も耐えて来た。


「おら、トカゲ野郎! おめーの相手はこの俺様だ!」


 ジェフが双剣を手に叫びながら猪突直進する。その長身巨躯は味方として頼もしい。ありがたい、ヘイトを稼いで攻撃をいなすつもりだな。


「グゥオオオオオーッ!」


 ドラゴンは口を開けジェフの方を向く。いかん! ブレスだ!


 ドラゴンの口から吐き出された轟炎がジェフを包み込む。


「アドバンスト・プロテクション……」


 神官のヘルメがボソボソと呪文を唱える。彼女は神官かつ野伏レンジャーという異色の職業クラスで、正直とても助かる。杖から出た光がジェフを覆い隠す。


「ヒール・アロー……」


 次は杖から光の矢をジェフに放つ。癒しの矢、中級回復魔法だ。


「ごち、ヘルメ! トカゲ野郎、お前のくっさい息なんか屁でもねーぜ!」


「ジェフ、品の無いことばかり言ってないで、少し下がって。準備完了だわ」


 イリアは杖を手にジェフの右手に回る。ドラゴンがイリアを見る。


「凍り付け! 凍結地獄コキュートス!」


 イリアの杖から出た霧のような氷の粒がドラゴンに触れるやいなやその巨体の表面に霜をふらせる。


「時間は稼いだわ! キラ様!」


 イリアが僕の方を見る。こっちも準備完了だ。


「喰らいやがれ!」


 僕は上空から剣を構え頭を下に反転し加速する。狙うは一点ドラゴンの頭頂部。あらゆる生物は頭頂部に頭蓋骨の継ぎ目がある。その一点に向けて全体重全加速を乗せて剣の先端を突き刺す。


「ギャオオオオオオオーッ」


 やった! 


 深々と剣はドラゴンの頭に刺さる。ドラゴンは断末魔の叫びを上げ頭を振る。僕は足をかけて剣を引き抜き、後方に転回しドラゴンを背に着地する。


「グオッ」


 気配を感じ振り返ると、ドラゴンが最後の足掻きで火の玉を吐いている。咄嗟にかわすが左腕を微かにかする。


 チリッ


 ノーダメージではあるが、母さんから貰ったミサンガが焦げて切れて地に落ちる。母さんは何かを封じるお守りって言ってたけど詳しくは聞いてない。大した事は無いだろう。


「チッ」


 つい、舌打ちしてしまう。まあ、しょうがないか。ドラゴン討伐の対価としてはお釣りがくるはずだ。


 僕は黙って剣を天に突き上げる。勝利だ。


「さすがだな! キラ!」


 ジェフが駆け寄ってくる。僕はジェフとハイタッチする。ジェフがこんなに喜ぶのを見るのは始めてだ。始めてのスキンシップに少し戸惑う。


「見て、初討伐報酬のトレジャーが出るわ!」


 イリアのうわずった声に促されドラゴンを見るとその姿は霧散し、四つの宝箱が残る。



 ここはアルゴノートの迷宮の地下20層。この迷宮は発見されたばかりのもので、まだ未踏破だ。今まであった碑文によると、ここは英雄を育てるための施設で10層おきにフロアボスがおり、倒すと倒した者に応じた物が入った宝箱を落とすそうだ。10層のボスはジャイアントで高品質の武器を落とした。


 ドクン!


 何だ、急に心臓の鼓動が強くなる。


 ドクン! ドクン!


 全身が焼けるように熱い。


 ドクン! ドクン! ドクン!


 さらに鼓動は早くなり、僕は胸をおさえて膝をつく。


「どうした?」


「キラ様!」


 ジェフとイリアの声を聞いた所で、僕の記憶は途切れた……



 始めは大した事ないと思いますが、進むに従ってかなりお下品な所も出てきます。私のもう一つの連載の『荷物持ち』では、お下品、エッチな事はNGで、そう言う話は人気無いです。そうして溜まったエネルギーはこの話で吐き出していこうと思います。応援よろしくお願いします。


 読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ