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 第二十話 お風呂に入ろう


「アナ、お前なんでついてくる?」


「一つ聞きたい。キラ・シドーは何処に行った?」


 アナが僕に真顔で尋ねる。ここはサリーの部屋のリビング。早く風呂に入って寝たい。


「何言ってんのよ! アナでも解るでしょ、キラ・シドーはマリー・シドーと同一人物なのよー!」


 サリーがいきなりばらす!


「そうか。同一人物なのか。と言う事は、入れ替わったのは、制服が変わった時だな。騙される所だった。上手い演出だ。キラがマリーになったように見えるな」


 キュピーンとサリーの目が光る!


 勝手にアナが感違ってる!


「と言うわけで、マリー。たまには私の背中を流せ! 行くぞ風呂に」


 どこから出したのかアナは着換えを持ってきてる。こいつの人生の目的は誰かと一緒に風呂に入る事なのか?

 

 もしかして寂しいのか?


「待って! 今日マリーちゃんを勝ち取ったのはあたしでしょ! マリーちゃんが流すのは、当然あたしの背中よー。それくらい、ばち当たんないんじゃない」


「僕もお風呂かりていいですか? 初めまして、ウニ・ニードルスです。子供って、なんであんなに元気なのでしょうか? 僕は死んでしまいます」


 いきなりウニが出現する。気配全くしなかったな。制服を着て、いいとこの坊ちゃんみたいだ。ファミリーネームがニードルスって直球すぎるやろ。すこしは捻れ。ウニは心なしか疲れている。


「なに、贅沢言ってやがる。ジャリと一緒に雑魚風呂かましてこい! そして、友達百人作ってこい。お前友達少ないだろ」


 こいつ、ジャリのくせに、僕らとの混浴狙ってるな。このエロガキが!


 入浴時にはシェイドの部屋行きだ!


「なに言ってるんですか、マリー様。子供とお風呂に入っても全然楽しくないですよ。それに、金持ちでいけすかない子供ばっかですよ」


「贅沢言うな! それなら逆玉かましてこい! 上手く行ったら、将来僕を養ってくれ! 家事ならまかせろ!」


「なに言ってるの? マリーちゃんはあたしがずっと養ってあげる」


 サリーが背中から覆い被さってくる。椅子の背もたれが邪魔だな。


「お! お前が元シャングリラっていうぼったくり風俗店の出歯亀用心棒で今は子供のふりして子供に混じって楽しんでる、デカイ『うに』になる隠密か?」


 アナがキラキラした目でウニを見る。新しいおもちゃを見つけた目だ!


 ウニ、可哀想に……


「この方が、噂のアナさんですね。何か僕について軽く歪んだ認識を持たれてるみたいですけど。僕はピュアで素直で純粋な子供ですよ。それにしても、めっちゃ綺麗な方ですね! 僕が背中流して差し上げますよ!」


 む!


 こいつ少し前から来て隠れて話聞いてたな!


 コイツ、覗きし放題だなけしからん!


「サリー、シェイドを呼んでもいいか?」


「いいけど?」


「シェイド、来てくれ!」


「なんだ? 呼んだか?」


 シェイドが僕の影から出てくる。こいつも自由だな。軽くルールを作っとかないと僕のプライバシーがだだ漏れになりそうだ。


「何っ! サリーが増えた! マリーは増えないのか?」


 アナが驚いてる。僕を増やしてどうする。


「しょうが無いな」


 見るとシェイドが僕になってる!


 うわ!


 マリー可愛すぎ!


 黒いマリーだ!


「じゃ、シェイド! 一緒にお風呂入ろうか!」


 僕はシェイドの手を取る。皆の気持ちが初めて分かった。


 マリーは可愛すぎる!


 ギューしてチューしたくなる!


 とりあえずお風呂に行こう。


「だめー! 何考えてるのマリーちゃん!」


 サリーの語気が荒い。


 アナとサリーにシェイドを掻っ攫われる。


「じゃ、女の子同士3人でお風呂はいりましょー」


 サリーがシェイドの腕をとる。


「そうだな。黒いマリーもいいもんだ」


 アナもシェイドの腕をとる。


「お、おう、ベタベタしやがって。ま、いいけどな」


 少しシェイドが照れている。僕ってあんな感じなのか?


 かわいい!


 僕とウニを残して3人は立ち去った。なんか微妙な気分……


 


 読んでいただきありがとうございます。


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