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 第十二話 アナ襲来


「起きたか。マリー」


 寝ぼけまなこを開いて見ると、僕の目の前には、端正な顔の金髪の耳の尖った方がいらっしゃる? えっ? ベッドの脇に立って屈んで僕を覗き込んでる。


「ほう……私にはあいさつはないのか?」


「おはよう?」


 寝ぼけた僕は布団の中、素直にあいさつする。何が起こってるのかよーく考える。僕の隣ではサリーが寝息をたてている。そうだ、サリーの部家で僕とサリーは寝て、僕の影の中のシェイドの部家でシェイドとウニが寝てるはず。なんでここにアナがいる? 確かサリーの部家の鍵はかけたはず。


 背中に寒気が襲う!


 コイツは正真正銘アナだ! どうやって部家に入って来たかは解らないが、どうせロクでもない方法だろう。


 それよりも、やばい!


 今は魔力マックスだ、アナに直に触れたらキラになっちまう!


 僕は飛びすさり、距離を取る。多分聖都にやって来たのに挨拶なしなのに怒っているのかも?


「すまん、アナ! 忙しかったんだ。今度説明する。シェイド頼む。アディオ!」


 シェイドが僕をシェイドの部屋に引きずり込んでくれる。そのときシェイドに触れてキラになる。シェイドの衣装部屋に駆け込んで、変身の痛みに苦しみながら僕は着換える。昨日買った家具が役立っている。


 隣の部家に行くと、ウニが寝ている。


「おい! 起きろ、ウニ!」


「兄ちゃん? 牛男さんの主人の人でしょ、あいさつまだでしたね。ウニです。よろしくお願いします」


 ウニが頭をさげる。微妙に良識あるよな。


「キラだ。マリーの親族だ」


 嘘はついてない。不便だから、いつか説明しよう。サリーに相談して。

 僕たちはシェイドの部家の出入口があるリビングみたいな所に行く。


「サリーアイ!」


 シェイドが言うと、壁がスクリーンになる。何かが映し出されてると思うんだが真っ暗だ。


「サリー! 起きろ! アナが来てるぞ!」


 聞こえるか解らないけれど、僕は声を張る。


「んんっ……まだねむいー」


 むぅ、サリー起きないな。


「シンクロ!」


 シェイドは激しく自分のほっぺたを叩く。


「イタタタタッ! 何するのよシェイド!」


 どうも、シェイドの痛みがサリーにも伝わったみたいだ。壁のスクリーンが明るくなり、サリーの視界を映す。


 アナが仁王立ちで立ってる。


「おはよう、サリー。マリーはどこだ? 消えやがった。早く出せ。あのふっとい乳をもみしだかせろ! 毎日マリーが夢に出てきて言うんだ! もめ! もめ! モー! モーと!!」


 僕の背筋に悪寒がとめどなくはしる。


 やばい!


 あいつにマリーで捕まったらやばい!


 あと、人を牛と同一視するな! 失礼な奴だ。


「んー、マリーはね、用事でどっか行ったわ。見つけたら連絡するわ」


 サリーは起き出してベッドに座る。


 アナは、ベッドのふちに座る。


「ところで、おい、サリー、結婚するって本気か?」


「本気よ! あたしはマリーちゃんのお嫁さんになるの!」


 ん、キラじゃなくて、マリーなのか?


「キラさん、振られましたね! クスクス!」 


 ウニが失笑してる。う、叩きてぇー!


「ん、伯爵は?」


 アナがサリーの方、僕たちから見るとスクリーンを見る。口によだれの跡がある。きたねー奴だ。相変わらず。


「あいつは、最低以下だったわ! 思い出すだけで気持ち悪いわ!」


「そんな変な癖もちだったのか? 格好同様に。それでどうだったんだ? 良かったのか?」


「良かったも何も、なにもしとらんわ! あいつは今頃、檻の中よ!」


「そっか、性犯罪者だったのか」


「伯爵、もうやめましょ」


 それからしばらく、あたらしい洋服屋の事や洋服の事、新しいカフェの事や食べ物の事など、とりとめとなく2人は話し続けた。


 お2人とも、間違いなく僕たちの事まるっきり忘れてるよね?



 読んでいただきありがとうございます。


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 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

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