第八話 牛丼を食べよう
「はい! 買って参りました!」
ウニは嬉しそうに包みを差し出す。口にペロペロキャンディが突き刺さっている。まじ、こいつ中身は大人なのか?
ウニの買ってきたものを見る。
豚バラと玉ネギだ!
豚バラと玉ネギだ!
豚バラと……
「ノォォォォォッ!」
牛丼が!
僕の牛丼が!
「オゥ! イッツ、豚バラ! ノット牛バラ!」
僕はウニの頭をノックする。
「コンコン! ハイッテマスカァ! 本当に中身オトナデスカァ?」
サリーが両手の指を立てて頭に付ける。
「ウニちゃん、角が生えててモーモーなくのが牛さんよ!」
サリーは次は指で鼻を上げて、
「こんな顔でぶーぶー鳴くのが豚さんよ!」
あ、サリーがとどめ刺したな!
「ウワーーン! しょうが無いじゃないですか! 僕は隠密で料理苦手なんですからーー!」
ウニは滂沱と涙を流し、嗚咽の声が注目を集める。中身大人なら泣くなよ。
「マリーちゃん意地悪なんだから!」
サリーがウニを抱きしめる。豊かな胸に頭が埋まる。
「あー! そいつ大人だろ!」
しかも、泣き出すような精神攻撃をしたのはサリーだったのでは?
「もう。何子供にやきもちやいてんのよ。ウニちゃんは間違いなく子供よー! 頭の中は」
いや!
間違いなくエロ面してたぞ!
ウニは所詮子供!
前は大人だったとしても、今は知能も子供!
そう納得する事にした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
気を取り直してお金を払ってカフェのキッチンを借りる。
まずは肉を切る。生肉を薄く切る時のコツは、できるだけ包丁の柄のはしを軽く持ち、包丁をのこぎりみたいに押し引きして、包丁の重みで切ることだ。
慣れるまでは包丁を握らずに手の上に乗せて切るとコツが摑みやすい。あと、出来るだけ刃を広く先から端まで使うことだ。
かなりの薄切りが出来るけど、今日は細切れにするだけなので、そこまで薄くなくていい。
肉をざっくりひとくち大にカットする。玉ネギはくし切りにする。
まずフライパンをかんかんに温めて油を入れて、油から白煙が出始めたところで、火を弱めて肉を入れる。塩コショウを振って、火を強め、玉ネギを入れる。刻みニンニクを少量入れて、ニンニクに火が入ったところで、フライパンを火から外して、白ワインをかける。某有名牛丼チェーンでも白ワインを使ってるらしい。フライパンを揺すってアルコールを飛ばし、火にかけて醤油とみりんを入れて詰めてあとは塩を少し入れて砂糖で甘さを調整する。紅しょうがを入れたいとこだけど、今日は豚丼なので我慢……
収納から炊きたてのご飯を出して、丼ぶり三つにご飯と具をよそう。ネギをかけて、てっぺんに玉子の黄身だけを乗せて完成!
玉子の白身は、保存用箱に入れて収納に入れる。食べ物は、決して捨てない! 腐らせないが僕のモットーだ!
「「いただきます!」」
サリーと僕は手を合わせる。
「いただきます? 僕の分もあるのですか?」
ウニも手を合わせる。食べる気まんまんじゃないか。
「召し上がってよし!」
サリーと僕は上手く箸を使う。まずは具とご飯を一緒に食べる。いい豚だ! この豚いい食べ物食べて育ったな! 口の中に豚の甘みが広がる。
「ありがとう。ウニ、いい豚だ」
「どういたしまして」
ウニは握り箸でかっこんでる。今度箸の修行だな。
「手がかかる奴だな」
僕はスプーンを出してやる。
「ナニコレ! おいしいんだけど!」
サリーも喜んでる。
よきかな!
よきかな!
次は黄身を潰し、濃厚な味わいを楽しむ!
うん、トレビアン!
「「「ごちそう様でした!」」」
空の丼ぶりと、無くなった早さが今日の出来を物語っている。
「マリーちゃん。最高! ありがとう」
「マリー様。こんな高級なものを、僕のために……ありがとうございます!」
ウニは涙ぐんでる。あ、白飯って高級品だったな。
それにしても、なんで僕の周りの人間は食事で泣くのだ?
因みに、これから何するんだっけ?
とりあえず、コーヒー2杯とココア1杯カフェの店員さんに頼んだ。
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