第二十八話 願い
「ぷはっ! ありがとう、マリーちゃん。サリーは今、世界で一番しあわせです」
サリーは、唇を離すと、僕の顔の前でゆっくりと言葉を紡ぐ。
「もしかしたら人から貰えるしあわせなんて無いのかもしれないわ。これからは、自分で努力して手に入れていくわ」
サリーが僕を抱きしめる。直に当たってる胸が最高です!
サリーの後ろから、もう一人サリーが現れる。肌が黒く、緑の髪だ。
「もう、2度と離れない。シェイドはマリーが大好きだ!」
黒サリー、シェイドも僕に抱きついてくる。やばいサリーサンドイッチだ!
シェイドの胸も僕にあたってる!
やばい!
くらくらする!
僕はしあわせで死んでしまうのではないだろうか?
シェイドは満足したのか、しあわせそうな顔でサリーの中に戻ってった。
「ああっマリーちゃん。鼻血!」
サリーは、僕の収納からタオルを出すと、顔を拭いてくれる。
「ん!」
「マリーちゃんには、裸は刺激が強すぎだわ。マリーちゃん。いろいろ借りるわね」
サリーは僕を優しく横たえると、後ろを向き僕の収納から、服を出して着る。僕の収納を使えるのか?
白いお尻ががっつり見えた。少し胸の所と丈が余るが問題無さそうだ。
「やっぱりブラは大きいわね」
サリーは僕の胸をガン見する。
「ところで、なんで、僕の収納が使えるんだ?」
「当たり前じゃない! マリーちゃんのお嫁さんになりたいから!」
お嫁さんになると、旦那の収納も使えるのか?
「いろいろあったから、あたしの事嫌いになったかもしれないけど、マリーちゃんの一番になれるように頑張るんだからー」
サリーは、僕に最高の笑顔!
やっぱ可愛い!
「早くマリーちゃんとお風呂入りたいわー! けど、まだ、キラさんは無理よ!」
サリーがポッと赤くなる。
「あ、ちなみに伯爵にはエッチな事は何もされてないわ! いつか確かめてね!」
どうやって確かめるのだろうか? けど、いたぶられた時の感じからして、エッチ系は無しだったと思われる。落ち着いて急に思い出す。サリーの裸見ちゃった全て!
僕は鼓動が早くなり、全身真っ赤になってしまう。
「あ、マリーちゃん! エッチな事考えてるでしょ! 今日の事は、記憶から消去してね!」
サリーも真っ赤になる。
手をパタパタしてる。
サリーは、収納から出したタオルを濡らして、僕の体を宝物にふれるかのように、優しく拭いて、服を着せてくれる。
オートヒールは働いてるが、傷が重いのと、魔力切れで芳しくない。
「ニコール。何をしてる。遊んでないで、早く連れてこい!」
馬鹿王子の声がする。
「サリー、あいつどうするか?」
「記憶から消去したいわー!」
サリーは僕をおんぶして、部屋を出る。拘束ベッドの部屋に入ると馬鹿王子がいた。
「貴様! どうして! また、泣き叫ばせてやる!」
サリーから飛び出したシェイドが一瞬にして、馬鹿王子を壁に叩き付ける!
速い!
「グベッ!」
馬鹿王子は、口から吐瀉物をまき散らし床に倒れる。
シェイドは、馬鹿を軽々と持ち上げ、ベッドに投げて拘束具で固定する。
「本当は殺してやりたい所だが、それは国に任せる。お前を少しでも見たくないからな!」
シェイドは、床に落ちてた僕を切り裂いた斧を、馬鹿王子の顔の横に突き立てる。馬鹿王子は泡を吹き、失禁してる。気持ち悪いので、早々と立ち去ることにした。
落ちてた縄でニコールと呼ばれた奴をふん縛り、ロザリオと聖杯を回収して、部家を後にした。
城のごろつき達もシェイドが見つけてふん縛る。サリーの世話とかは、城下町の方々にして貰っていたので、ごろつき達の事は知らなかったそうだ。全員捕まえて、シェイドはサリーの中に戻った。便利な能力だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「外から見たら綺麗な城なのにね……」
サリーは城を振り返る。僕たちは城の一番上のテラスから跳び上がり、僕の重力操作で城を背に滑空している。
「伯爵がね、地下に魔物がいてそれを倒すためにロザリオが欲しいって言ったのよ。それで、地下に行った所で後ろから殴られて……」
サリーは唇を噛む。
「そうだったんだな。もう、忘れよう。ところで、僕がマックスでタッチヒールかけたら、その人の願いが聞こえてくるんだけど、サリーから聞こえ無かったんだけど?」
サリーは振り返り、背負ってる僕をじっと見る。
「当然よ、あたしの願いはマリーちゃんにもう一度会いたいって事だったから」
夜空の月明かりに照らされて髪をなびかせながら、サリーが僕を見て微笑んだ。
とてもとっても綺麗だ。
僕はしばらく見とれてた……
第七章 垣根のない世界 完
第七章完結です。
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