第三話 何処かわからない温泉
僕は、脱衣所で服を脱いで浴室の引き戸を開ける。
そこは露天風呂だった。
女湯との方は壁で区切られていて、岩で囲んで石で敷き詰めた大きな浴槽に白い濁り湯が溜まっている。
僕が来た所は、絶対さっきの屋敷と思われるものが入らない小さな小屋がある。
浴槽の上には魔法の灯りが漂ってて、辺りを照らしている。
今は夜だ。月が昇っている。どうも山の中腹にあるみたいで、風呂の先は月明かりに照らされて絶景が広がる。
遠くによく見ると山陰があり、どう考えても聖都付近ではない。まあ、細かい事は置いといて、僕は軽く体を洗い。浴槽に浸かる。
ああ! 最高だ!
今日一日の疲れが取れる!
ここは何処だろうか? まあ、母さんだからいいか。考えても無駄なので止めよう。そんな事よりもここを堪能させて貰おう。
パシャ。
僕はお湯をすくって顔を洗う。
ああ! 極楽! 極楽!
「誰っ! 誰かとなりにいるのかしら!」
悪魔の声が聞こえる。ベルだ!
「ウニャーオ!」
「猫ね! 猫がいるのかしら! ってそんなわけ無いかしら! マリーでしょ! 何で男湯に入ってるのかしら! こっちに来るのかしら!」
「なぁ、ベル。たまにはゆっくり入浴させてくれよ」
僕は、肩までつかる。胸が浮いて、たこさんの頭みたいだ。とても楽だ。
「しょうが無いから今はリナで我慢するかしら!」
「キャッ!」
リナの悲鳴が聞こえる。バシャバシャ水の音がする。多分揉まれてるのだろう……
「やっぱりもみ足りないかしら!」
やっぱそうか。
「ベルちゃん! 壁取れるわよ!」
母さんが余計な事を言う。僕の安寧はあと僅かだろう……
「分かった。せめて、タオルは巻こう。裸は勘弁してくれ!」
本当は、母さん以外の裸はぜひ見たいけど、まだ早い。多分撃沈する。
「何いってんのかしら? 今日ベルとあんなに裸で抱き合ったのに!」
「ベルちゃん。そこのところ詳しく教えて欲しいわ」
母さんにだけは、今日の事は話さないでほしい。その願いむなしく、ベルは母さんに事細かにねっちりと説明する。
「もうっ、そんな楽しそうな事、母さんも参加したかったわ。マリーちゃん、とりあえずお仕置き確定ね」
僕は収納からギルティ君をだす。あと、タオルも出して体にまく。
「あのう、マリー姉様の要望ですから、一応タオルは巻きませんか?」
リナないす! それにしてもおずおずとしてるなぁ。
「しょうがないわね。ベルちゃんタオルは巻くわよ。まだ、私、おばあちゃんにはなりたくないから」
ザバッと水の音がする。母さんが立ち上がったのだろう。
「母さん、みんなは、まだ僕の事詳しく知らないんだ!」
「それなら、ここまでにしとくわ」
「お母様! もしかしてエルフと人間って女の子同士でも子供できるのかしら?」
リナがめっちゃ食いついてる。
「普通は出来ないけれど、頑張ればマリーちゃんとなら作れるわ!」
「母さん!」
「あのう、私もマリー姉様と子供作れるのでしょうか?」
リナ……お前も僕の子供が欲しいのか?
「マリーちゃん、もてもてねー。母さん嬉しいわ。リナちゃんも頑張れば作れるわ。応援してるわよ」
「応援するな! 女の子同士で子供は作れません!」
「と言うわけで! 壁! オープン!」
壁が消えて、母さん、ベル、リナがいる。
やっぱり、こうなるのか……
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