第二話 お風呂を目指して
「それでは、明日の計画をまとめるぞ」
子供達を寝かしつけて、僕、ベル、牛男、リナで、コーヒーを飲みながら、作戦会議をする事にした。孤児院の脇の適当な木に魔法のドアノブを付けて、今はベルハウスにいる。
「まずは、みんなの明日したい事は?」
「ベルはお風呂に入りたいわ。あと、子供達の服を買いたいかしら」
「そうだな、孤児院に大浴場が欲しいな。あと、トイレも足りんし、年上の子供達には個室も欲しい。リナだけでは子供達の面倒見るので手一杯だから、まずは人材確保だな……」
「マリーちゃん、少し見ない間に家族が増えたわね」
爆乳を揺らして母さん登場。なんか、もうここの主みたいだな。
「マリー様のお母様ですか? 始めまして、私、ここの孤児院の責任者のリナと申します」
リナは立ち上がり深々と頭を下げる。
「まぁ。何て可愛いの!」
母さんは、リナをハグする。ベルが羨ましそうに見ている。ベルは何故か母さんには逆らえないらしくて、母さんが居ると大人しくなる。
「お母様と呼んでもよろしいですか?」
リナが滂沱と涙を流して言う。そうだ、リナは孤児だったな。
「いいぞ、母さんはリナにあげよう。今日から好きなだけ甘えろ!」
これで、僕に対する激しい愛情表現も少しは減るだろう。
「リナちゃん、ファーストネームは?」
「……ありません……」
「年齢と誕生日は?」
「多分14才で、誕生日はありません……」
え、若い! 苦労してるからませて見えてたんだ。
「それじゃ、今日4月20日が、あなたの15才の誕生日で、今日からあなたの名前は、リナ・シドーね」
母さんは改めて、リナをハグする。リナは母さんの胸に埋もれて窒息しそうだ。
「お母様!」
それでもリナは、嬉しそうに涙を流している。
明日の計画を立てるつもりが、いつの間にか妹が出来た。
可愛いからいっか。
「と言う事で、お母さんたちお風呂入ってくるからー。ベルにゃんもくるのよー。マリーちゃんもくる?」
「遠慮するよ」
「「えー!」」
ベルとリナがハモる。だから、刺激強すぎなんだって。お風呂は1人でゆっくり入りたい気分だ。
母さんは、ベルとリナと一緒に、さっきまで無かった扉を開けて出て行った。
「そういえば牛男。僕ら風呂どうしよう?」
「外で水で体拭くしかないでしょう」
「追うぞ牛男!」
僕は、牛男の手を取り、母さん達の出て行った扉を開ける。
そこは、広めの部屋で、白塗りの壁に華美ではない装飾品がかけてある。中央には椅子とソファがあり、多分応接室だと思われる。
「母さーん!」
僕は呼ぶが返事はない。ちなみに僕は初めて来る場所だ。
ガチャリ。
扉を開けて何かが入って来る。
「主様の娘様ですね。何なりとご用を」
それは、デッサン用のパペットを等身大なしたような木でできた生き物? だった。ウッドゴーレムかな?
主様って母さんの事かな?
「僕たちはお風呂に入りたい、母さん達と鉢合わせたく無いから、出来れば男湯に交代で入りたい」
「承知いたしました。男湯ですね。ついて来て下さい」
のっぺらぼうなのに、どこで発声してるのだろうか?
「ここは何処なんだ?」
「屋敷です」
「君の名前は?」
「パペットマン2号です!」
2号の後ろを牛男と手を繋いで歩く。一応すぐに戦えるように警戒はしておく。
大丈夫だと思うが、一応念のためだ。母さんだから何をするか解らない。
実際ここはどこか解らない。今通路を歩いているが、窓が全くない。代わりに扉は沢山ある。光が差し込まないのに、昼のように明るい。奇妙な所なので好奇心は湧くが、まずは入浴したい。
「つきました。帰りも案内しますので、ここで待ってます」
そこには2つの入り口があり、男湯、女湯の暖簾がかかっている。こういう和風テイストは親父の趣味だ。多分ここは両親の別荘なのでは? 僕に秘密にしてるのがすこし腹立つ。
「牛男行ってこい」
牛男を暖簾に押し込んで、帰って来るのを通路で待つ。暇なんで、2号としりとりをする。なかなかボキャブラリーがある。
牛男はすぐに出てきた。
「牛男しっかり洗ったのか?」
「はい! 当然です!」
あ、そっか。しくじった……牛男は僕に気を遣ってマッハ入浴してきたんだ。
「牛男ありがとう」
「いえいえ、私は先に戻りますね。孤児院が心配ですから。ご主人様はぜひゆっくりされて下さい。道は覚えてるから案内は不要です。2号殿」
「じゃまた、後でな! 牛男!」
僕は牛男に手を振り暖簾をくぐる
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




