第十五話 タッチヒール
「タッチヒール」
僕はしぶしぶながら、まずはイリアから始める事にする。タッチヒールは、その名の通り体のどごかに直接タッチしないと効果を発揮しない。正直こいつを触りたくない。いっそのこと生乳触ったろうかと思うが、女の子たちの目があるので我慢する。無難に額に触れる事にする。
「タッチヒール」
僕の手から白い癒しの光がイリアに吸いこまれていくが、結構重症なのか、全く治癒した気配がない。そう言えばバキバキ言ってたもんな。めんどくせーな。
「タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール」
とりあえず、適当に癒しの力をぶち込んでやる。死人のようだった顔に生気が戻り、イリアは安らかな寝息を立て始める。サリーが服の上からイリアの両脇腹を触って確認してる。そういえばこいつタイタンに握り潰されたんだったな。
「マリーちゃん……何回タッチヒールつかえるの? 大丈夫? マインドゼロにならない?」
サリーが心配そうに僕を見る。確かマインドゼロって魔法を使いすぎてもう使えなくなった時にクラクラフラフラになるやつだよな。子供の頃に何度かなった事があるが今はほぼ無縁だ。
「あー大丈夫、大丈夫、これ位だったらあと百回位いけるんじゃ」
「マリーちゃん。駄目よ、駄目っ。人前でそんな事しちゃ駄目よ。10回もタッチヒール出来る人、そうそういないから。それにね、タッチヒールは骨折治さないから」
「わかった。ありがとう。僕ってばタッチヒール初心者だから」
そんなものなのか。サリーの言葉を胸にしまう。
次はジェフだ。正直こいつのどこも触りたくはない。けど、コイツよく生きてるな。うわ、気持ち悪っ。両手は変な方向に曲がってるし、高かった鼻はひしゃげている。うう、迷う。どこを触ろう。諦めて額でいく事にする。なんかぬるっとする。血か脂か? 気持ち悪い。さっさと終わらせよう。
「タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール、タッチヒール」
とりあえず適当にぶち込む。嫌だ。男を触るのは気持ち悪い。途中でサリーがジェフの腕を伸ばしたりしている。曲がって骨がくっつかないようにだと思うが、正直曲がってくっついてもそれはそれで愉快だと思う。サリーは博愛主義者だな。
次はヘルメだ。こいつ胸ないな。どこ触ろう。とりあえず額でいっか。面倒くさいな、一発で終わらせたる。
「タッチヒール・テン!」
僕はまとめて十発分程度ぶちこんでやる。
『おっぱい大っきくなりなたい!』
『背が高くなりたい!』
ん、僕の心の中に直接ヘルメの声がする? なんだ? 心なしかヘルメの胸の膨らみが大きくなった気がする。それに、服が少し小さくなっている。手足の服が七分丈みたいになっている。もしかして、なんか違うものまで治してしまったのか?
「起きないなこいつら。重症だったからか? 面倒くさいな、カンチョーしたら起きるかな?」
アナが両手を合わせ人差し指を突き出し構える。こいつ、本気だな。
「ああ、アナ、穴に好きなだけぶち込んでやれ!」
サリーとモモさんがアナを取り押さえる。よかった弾みでそこはかとなくお下劣な言葉が口をついたが、彼女たちはスルーしてくれた。
「チッ!」
取り押さえられたアナを見て、 つい、僕は舌打ちしてしまった。アナの怪力で腰が抜けるような凄まじい一撃をぶち込んで欲しかったのに。
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