第十六話 大立ち回り
「者どもであえ! であえ!」
ぱん!ぱん!
ルドラが手を打つと、ルドラ側の鉄格子を開けて、黒装束の方々が出てくる。おお! これは時代劇とかでよく見るやつだ! ピアノでリズミカルな音楽が流れる。いい感じだ。
「牛男カモン!」
牛男が鉄格子を蹴破って入ってくる。僕にマントをよこし、前に立つ。僕はマントを羽織る。ベルの感触がなくなって、ベルはマントから出てくる。む! ベルはもういつもの赤いドレス姿だ。
「ベル! ルドラを脱がせ!」
負けたら脱ぐ。見たくはないけどルールはルールだ。守ってもらう。
「了解かしら。グラトニー」
ベルの手から出た光がルドラに吸い込まれる。ベル必殺のデブ化の魔法だ。
ルドラがさらにぶくぶく太りパンツが弾ける。ルドラは耐えられず大股開きで転倒する。見たくは無い粗末なものが見えている。
「ひかえ! ひかえぃ! このいんのうが目にはいらんかー!!」
僕はルドラのブツを指差す。
しーん……
少し静寂に包まれる……
激しくすべったか?
僕はのりで叫んでみた。下品過ぎるけど。陰嚢と印籠をかけてみたんだけど。まあ、元の世界のネタだから通じる訳がないか。当然誰もつっこんでくれなかった。少しショック……
「「「ブー! ブー! ブー!」」」
客席から当然のブーイングが飛んでくる。
とりあえず無かったことにする。
まずは、僕はブラジャーを拾ってつける。さすがにこのままはね。
キン! キン! キン!
黒装束の方々が牛男にナイフを投げたり切り付けたりする。当然ノーダメ!
「牛男! 受け取れ!」
僕は収納から牛男スペシャル斧を出し、放る。
「承知いたしました。ご主人様!」
牛男は受け取り、
凪ぐ!
凪ぐ!
凪ぐ!
黒装束が木っ端のように飛んでいく。
一応峰打ちみたいだ。
その隙に僕は大金貨を収納にしまう。
「金返せー!」
「ひんむいてやるー!」
鉄格子に観客が群がりガンガン叩いている。
「皆様のお怒りはもっともです。それでは皆で、今から聖女と天使を蹂躙いたしましょう! それでは鉄格子オープン!」
アナウンサーの声に合わせて、鉄格子が上がり始める。やばい、もみくちゃにされたら、僕とベルは!!
少しは強そうなスーツ姿の4人が現れ牛男に群がる。アイツら確かルドラのボディーガードっぽい奴らだな。牛男の攻撃を上手くかわしている。秒殺は難しそうだな。
鉄格子が上がり、観客がステージに登り始める。
「マリー魔力をよこすのよ!」
ベルは僕のロザリオをむしり取り、手を取る。
「万物よ、在りし日の姿に戻り給え!」
ベルの手が光り、そこにマナが収束していく。必殺の分子分解か?
「合体超魔法! 分子分解改め原始の世界!!」
ベルの手から光が放たれどんどん大きくなり、全てをつつみ込み、一端収束したかと思うと弾けほとばしる。
究極に嫌な予感しかしない!
「牛男来い! グラビティ・ゼロ!!」
僕はギルティ君を拾い収納に入れて、牛男とベルの手を取ると加速し、ステージに来た通路へと逃げ込む。途中で牛男が僕たちを抱いて猛ダッシュする。光が僕たちを追っかけてくる。
走る!
走る!
走る!
追いつかれる!
すんでの所で光の膨張は止まった。
そして、光が晴れていく。
そして、そこには、地獄絵図が広がっていた!!
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