第十二話 挑発
「わたしの名前はマリー! ちょっと待って、その前にあなたの名前を聞かせて欲しい」
僕は手のひらを突き出し、優しく儚いイメージでデブに問いかける。
「わしの名前はルドラだ」
デブは立ち止まる。
僕は前に進み、観客を見渡す。男性が多いが女性もそこそこいる。驚くべきは、思春期位の子供もちらほらいる事だ。過激な性教育のつもりなのか?
「皆さん!」
僕は客席の方に差し出すかのように両手を開いて声を張る。反動で胸が揺れる。計算のうちだ。辺り一帯の全ての視線が僕に集まる。観客はどよめき、それから少しづつ静かになっていく。
「わたしは、わたしの友人の身代わりでここにいます。ルドラさんはわたしの友人の体を大金貨3枚で買ったそうです。その約束の反故をもとめたら、大金貨百枚を求められました。当然払える訳もなくこの場にいるわけですが、それは余りにも不当ではないでしょうか?」
静まり返ったステージに僕の声が響く。
「わたしは勝負を求めます。ルドラが勝てば、わたしをどのように好きにして構いません。どんな要望でも喜んで受けます。それにわたしの友人の美少女エルフも手伝ってくれます」
僕は僕の来たステージそでを指差す。気を利かして、ハゲが鉄格子を開けて、牛男がベルを突き出す。たたらを踏んでベルがステージに上がりスポットが照らす。
「エルフの王女ベルサイユです。拍手を御願いします!」
ザワッ!
客席がどよめく。ベルの余りにも美しいのに驚いてるのだろう。僕ですら、ベルの可憐さには心をもってかれそうだ。
ベルは、最高の笑顔のあと、スカートの裾を掴みカーテシーをする。
万雷の拍手が巻き起こる。
「おお!」
「いいぞー!」
「天使降臨!」
様々な声が投げられる。
僕は声が収まるまで待つ。
「わたしが勝ったときには、迷惑料として、大金貨百枚いただきたいと思います。それと、金輪際わたしとわたしの友人に関わらない事を誓ってもらいます!」
僕はルドラにビシッと人差し指を突き付ける。
会場の物音がしなくなるのをまって、
「勝負方法は!」
僕は叫ぶ。
「勝負方法は!」
もう一度大きな声で言う。
会場が静まり返るのを待って。
「野球拳だーーーっ!!」
僕は右手を突き出す!
「ウワアアアアアアアーーーッ!!」
会場は絶叫につつまれる!
「ルールは簡単! ジャンケンで負けて最後の1枚を脱いだ方の負け! 私達は4枚、ルドラは5枚の着衣でスタート!」
僕はルドラを指差して!
「勝負、受けてたってくれますよね! ルドラさん!」
ルドラにスポットが集まる。
「も、もちろんだ! かかってこい!!」
ルドラが立ち上がり右手を上げる!
まあ、これでノーと言おうものなら、彼の立場はよろしくなくなるだろう。ハンデまでつけてるし。
ゲイル商会を僕達の力で叩き潰すのは簡単だ。
けど、闇ギルドににらまれてコソコソ狙われるのは嫌だし、僕の孤児院の子供たちを危険にさらす訳にはいかない。
多分ここに集まってる中には闇世界の実力者たちもいる事だろう。
ここで僕たちに手を出すとやばいと思って貰うことにしよう!
あと、お金もいただき、一石三鳥だ!
「マリー! 何勝手にベルも巻き込んでるのかしら!」
ベルが僕のスカートの裾を引っ張って、小声で言う。
「しょうがないだろ! 観客をのせる為に、ベルの可愛さが必要だったんだから」
僕は耳うち、ベルの頭を撫でる。
「ばかぁ! もうしょうが無いわね」
ベルが少し赤くなる。やばい抱きしめたくなる。皆が僕に抱きついてくる気持ちが少し分かった。可愛さは暴力だ。
「絶対勝てるのかしら?」
「当然だ!」
本当は全く何も考えてない! 僕なら勝てるだろう。
「マリー、あのね、あのね、ベルね、服、一枚しか来てないのかしら……」
もじもじしながら、ベルは更に小声で言う。
危ない!
一撃死する所だった!
さっきのカーテシーかなり際どかったぞ!
今後は下着をつけるようしっかり教育していこう!
僕は舞台の袖の僕らが来た入口に行き、
「おい! ベン!」
ハゲを手招きする。
「俺の名前はダンだ便じゃねー!」
「すまない、わざとじゃない。さっきのお食事のインパクトが強すぎて……すまないが、ベルにあう下着と上下分かれたドレスを持ってきてくれ」
「しょうがねーなー!」
ベンは通路の奥に消える。
僕は収納からマントを出し、ベルに渡す。
「あと、なんで、ベルの本名と王族って事知ってたのかしら?」
「え、何のこと?」
ベルの説明によると、名前はベルサイユと言い、末席ではあるが、一応王位継承権がある、要するにハイエルフのお姫様らしい! 適当に言ったのに、ビンゴだったとは……それならもっとお金ふっかけられたのに……
ベンが戻って鉄格子をあけて、ベルに服を渡す。ベルはマントを羽織り、その中でもぞもぞ着換える。
ルドラの方は準備が終わったみたいだ。ステージ後方中央に大金貨百枚が小さいテーブルの上に綺麗に重ねられ、スポットに照らされる。ベルは着換え終わり、胸にギルティ君を抱いてステージに戻ってくる。僕よりも装飾が多い純白のドレスだ。
「オオーッ!」
ギャラリーから感嘆感動の声が溢れる。僕も目が釘付けだ。
「両者準備が終わったようですね。それでは、ルールの説明をいたします。野球拳とは、歌って踊ってジャンケンして、負けた方が脱ぎます。最後の1枚を抜いだ方が負けとなります!」
アナウンサーがステージ前中央にくる。手には拡声の魔道具を持っている。その横にはピアノが置かれて演奏者が力強く奏で始める。
「それでは! 勝負開始!!」
アナウンサーが右手を上げて、叫ぶ!
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