第八話 楽園を目指して
「すみません。情報屋さん、いませんかー?」
僕は、どうすればいいか解んなかったので、とりあえず声を上げてみた。一瞬辺りが静まり、また喧騒に包まれる。
「嬢ちゃんついてきな」
眼帯をしたソフトレザー系で全身を包んだそれっぽい背の高い男が、僕たちを空いてるテーブルに誘う。おお、歩いた時に足音がしない。
多分シーフ系のクラスの人だ。ウェイトレスを呼んでエールを頼み、僕たちにも飲み物を頼ませる。僕とベルはオレンジジュース、牛男はミルクを頼む。当然僕がお金を払った。
「こいつは情報料だ頂くぜ! んめーなーおい」
男は美味そうに喉を鳴らしてぐびぐび飲む。
「俺の名前はジン、お前らが探していた情報屋だ。それで、何が知りたい? あんたら、ガンデュームとの街道の盗賊を狩りまくったパーティーだろ」
ジンは、目をキラキラして言う。もしかして体のいいカモと思われたか?
「シャングリラについて教えて欲しい、料金はいくらだ?」
僕はジンを見つめる。ひととなりを見極めるために。
「今日の所は、小金貨1枚で勘弁してやるよ、懐あったかいんだろ」
ジンはエールをあおる。装備の手入れ具合や動きからみて、そこそこはこの稼業を続けてきたのだろう。首には銅の認識票がかかってる。まぁ、信用してみるか。僕は小金貨1枚指で弾き、ジンがそれを受け取る。
「シャングリラについて、知ってる事すべて教えてくれ」
そもそもシャングリラって言葉の意味は、想像上の楽園の名前だ。けど、さすがにそこには行けないだろう。多分この町にある何かだろう。風俗っぽいよな。
僕はジンにもう1杯エールを奢る。景気づけだ。ジンの顔がほころぶ。
「そうだな。シャングリラについて、俺が知ってるのは……」
ジンは嬉しそうにエールを飲んだ。そして、彼が知ってる事を全て語り始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「じゃ、俺はここまでだ、トラブルは苦手なんでな」
情報屋ジンは、シャングリラについて教えてくれて、親切な事に更にそこまでも案内してくれた。
シャングリラとは、ゲイル商会の経営している、エッチなサービスを売るお店で、1階はお酒を飲む所でお姉さん達がサービスしてくれる。そこで気に入ったお姉さんがいたら、追加料金を払って2階の宿に連れ込めるシステムらしい。やっぱ風俗店か。
ゲイル商会はいわゆる高利貸しで、借金を返せなかった者を奴隷契約して、男は鉱山、女は風俗店で働かせてるとのことだ。
あこぎではあるが、お金を借りないと死活問題の者の救済になってるのも事実で、一概に悪い事のみしてる訳ではない。
あと、ゲイル商会は闇ギルドと通じており、筋を通さないと面倒くさい事、つまり闇ギルドを敵にまわす可能性があるそうだ。
闇ギルドは何かと聞くと、盗賊ギルド、暗殺者ギルドなど、表立って存在してないギルドの総称との事だ。商会はほぼ全てのその手の組織と繋がってるそうだ。
ここは冒険者ギルドの北西に位置していて、スラム街から近い。そういう系の店の密集地になってる。
「うわっ! マリー! あの服すごいかしら! 布ほとんどないわよ。今度マリーに装備しよ」
ベルが興奮して話しかけてくる。僕に裸同然の服を着せるのは勘弁して欲しい。
「はいはい。あーいうの着てぎゅーしてあげるわ。その時はベルちゃんにも着て貰うからねー」
ベルは真っ赤になって黙る。ベルは攻撃されるのには弱い。要は口だけのヘタレだ。今後チクチクといたぶってやる。ちなみに牛男はノーリアクション。
ベルの教育に悪いかもと思ったが、まだ昼前なので、そこまでエロい事は無いと思うから、大丈夫だろうと連れてきた。けど、ぼちぼち客引きもいる。
建物は、モザイクタイルを使ったタージマハルっぽいモコモコデザインを含む形で、アラブとかそっち系の雰囲気だ。少し安っぽさはあるが、とっても綺麗な建物だ。
少し気圧されたけど、僕たちは意を決して中に入る。
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