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 第十八話 露天風呂での戦い


「戦いの前に聞きたい事がある。なあ、モミ、何でそんなに揉みたがるんだ?」


 僕はモミの目をじっと見つめて問う。決してまともな答えが返ってこないのは解ってるが……


「そうね。例えば、とっても美味しい最高の味噌汁を昨日飲んだ。そして、今日味噌汁を飲むとして、昨日最高の味噌汁を飲んだから今日はぼちぼちの味噌汁で我慢出来る? あたしは我慢出来ない! 今日も最高の味噌汁を飲むわ! あなたは最高の味噌汁よ! エルフには作れない!」


 モミは相変わらず、訳わかんないことを力説する。そうか。モミは味噌汁好きなのか。エルフって味噌汁飲むのか。今度作ってやろう。


「おいおい、僕は飲み物じゃない! そうやすやすと飲まれてたまるか!」


 んー、なんか少しエロい。いまいちだ……


 僕は修業のかいあって強くなった。今日こそは、モミの裸を拝んでやる。


 モミの裸を見ても、もはや気絶しないはずだ!


 なんだかんだ言って、モミは美人さんだ。


 僕の青春の1ページに刻んでみせる!


 僕は自分の中の小宇宙的なものが燃えるのを感じる!


 今なら空も飛べるはず!


「ルールはシンプル! 相手のバスタオルを取った方の勝ちだ!」


 僕は宣言する!


「じゃ、私、先に上がって、テントで寝てますね。エロ耐性低いんで、じゃ」


 牛男はそう言うと、風呂から上がり去る。つまらん奴だ。


「ではレフリーは、ベルね、ベルにまかせるのかしら!」


 ベルが少し興奮して、その綺麗な顔を紅潮させる。何に興奮してるんだろう?


「ルールは、バーリートュード! 噛みつき目つぶし以外、何でもあり!」


 ベルは、必要なことは知らないくせに、妙なことはよく知ってる。オタク気質だな。元研究者だし。


「レッツ! ファイト!」


 ベルが右手を上げる。髪を下ろしてバスタオル巻いただけなので、正直少しセクシーだ。ベルのくせに。


「グラビティ・ゼロ!」


 僕は重力をゼロにして、軽く立ち上がる。それだけで体は浮き上がり、水上に出る。上手く調整し、お湯の上に立つ!


 おおかっこいい!


「かかってこいや!」


 僕は手でカモーンしてモミを挑発する。


 モミは、とっくりを飲み干して風呂に放り投げると、タオルを押さえてバシャバシャ駆けてくる。僕のタオルの裾を掴もうとするが、軽くかわす。転身してまた掴もうとするのを軽くかわし、お湯を蹴ってかけてやる。さっきの水鉄砲のお返しだ。


「マリー、妖精みたいかしら!」


 ベルが見とれている。1度はやってみたかった。


 水上歩行!


 格好いいからだ。なんかそこはかとなくロマンがある。


「卑怯な! はぁはぁ!」


 モミは息が上がってくる。当然だ。酒飲んでお風呂で暴れたらすぐに酔いがまわります。


「くっ、マリーに脱がされるくらいなら、自分で脱ぐわ!」


 モミはタオルに手をかける。


「おい! ちょっ、待てよ!」


 未熟な事に僕は動揺してしまった。


 ぶわさっ!!


 ガボボボボッ!


 モミがタオルを取った! 見えた! と思った瞬間に足をとられ、お湯の中に引きずり込まれる。タオルも剥がされた!


「げほげほ」


 お湯から顔を出すと、僕の胸にベルが顔を埋めてる。


 しかもベルもタオルをとってて直にぎゅーしてる!


「しんぼーたまらんかしら! すべすべぷるぷる最高かしら!」


 こいつかよ! 足ひっぱったのは! レフリーじゃなかったのかよ! あ、ベルも柔らかい。


「乳牛ゲーーーット!」


 モミの声が響き渡る。


「キャアー!」


 今度は、瞬間移動したモミが後ろから抱きつく。変な声出しちまった。


「勝負には負けたけど、目的達成! 悔い無しっ!」


 背中に柔らかいものが当たってる……


 まさか、また美少女サンドイッチなのか?


 おお! サンドイッチ最高!


 リミットオーバー!


 僕はいつも通り意識がフェードアウトした……



 読んでいただきありがとうございます。


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