第十二話 決着
「じゃあ、始めようか!」
アナがドヤ顔でのたまう。
僕はくじをじっと見る。何処にも印になるようなものはない。くじの引く所になにか印を付けただろうと言う考えが盲点だった。よくよく見ると、一本だけ短いくじがある。アナは、くじの頭を削って王様のくじを短くしたんだ。そして、ベルに僕の番号を盗み見させて合図を送らせてたのだろう。
まだ、まだ、浅知恵だ!
勝利いただきました!
アナが立ち上がりくじを引こうとする。
「グラビティ・ゼロ」
僕は重力を解放して加速する。お酒が入ってるので若干気持ち悪い。
「なにっ! 戦神降臨90%!」
アナも加速する。けど、出だしの分僕の方が速い。僕はくじを掴む。
「何だと! いつ気付いた!」
アナが呻く。
「ついさっきだ、危なかった」
僕はアナにドヤ顔で応える。
僕の勝ちだ!
「それでは、次、私引きまーす!」
モモさんが次に引く。顔が赤いモモさんもお酒飲んだのか? そして皆クジを引く。
「「王様だーれだ」」
皆で唱和する。
僕はクジを見る。
「……」
えっ、1番?
僕は訳が解らない?
モモさんがゆらりと立ち上がる。
目がトロンとしてて明らかに酔っ払ってる!
モモさんは僕の方に近づいて……
「王様は、1番にチューします!」
僕はモモさんに抱き上げられ唇を塞がれた!
僕の頭は当然ショートして、気を失った……
「ザーコ、ザーコ」
ベルの悪魔の声が頭にこだまする……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回は比較的すぐに目覚めた。僕はベルハウスのベッドの上で、隣にモモさんが寝てる。僕が起きたらモモさんも起きた。
「おはよう」
モモさんが抱きついてくる。お酒臭い!痛い!
「モモさん、離して、離して。それと、さっきの事話して」
「んっとねー」
モモさんは、トロンとした目でゆっくり話し始める。
いかさまに気付いたモモさんは、さらに自分の1番のクジを削り、僕を罠にはめたそうだ。僕をぎゅーして、チューしようと、ずっと狙ってたらしい!
まさか、モモさんが搦め手を使うなんて、そこが盲点だった。けど、もし僕が男ってばれたら軽く殺されそうな気がする。
結果的には、僕はいいこと尽くしだった。モモさんのお尻をまじまじと見て、しかもチューまでしてしまった。モモさんほどの美少女とだ!
感無量!
僕は単純かもしれないけど。サリーとアルスの事が少し吹っ切れた。
僕たちはその後町に帰り、ゴーレムの魔石をギルドに引き取って貰った。それは大金貨30枚になって、10枚はアナとモモさんに渡し、あとの20枚はアルスの物として収納にしまった。アルスの呪いを解いて渡すつもりだ。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




