第七話 アルスとの別れ
「俺は、いつまでも待ってる。ちょっとさみしいから、チューくらいしてくれたらうれしいなー。ゴクン!」
闇の中にアルスの声が聞こえる。言葉の最後に、なんか飲み込むような音がした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
悪夢の後のような倦怠感のなか、少しづつ意識がはっきりしてくる。
そして、僕は目を開けた。
「マリー! 大丈夫かしら!」
ぼんやり焦点があうと、ベルが僕をまじまじみてる。ぽっちゃりが僕を安心させる。
僕の横には、腰にてをあてて、なんか腹立つどや顔の石像が立ってる。多分アルスだ、胸に宝石がない?
「マリー! 聞くのかしら! あいつ食べたのよ! 宝石飲み込んだのよ!」
ベルが早口でまくし立てる。まじか! 何考えてるんだ呪いの宝石を食っちまうなんて……
どうにかして、呪いを解く方法を探すしかないな。
僕は床に落ちてたドングリのネックレスと小袋を拾い上げる。袋の中にはお金がジャラジャラはいってた。
アルスを見る。こいつ、いつも僕のために一生懸命だったな。暑苦しいけど、さっき助けてもらった時に、不覚にも少し格好いいと思ってしまった。
また、動き出したりしないのだろうか?
強い心が起こした奇跡だったのだろう。あれほどの強力な魔神を封じてたものだ、そう簡単には解除できないだろう。
僕はしばらく座ってアルスを眺める。まだ、体が回復しきってないからだ。不自由なく動けるようになり、僕は立ちあがる。
「ベル、行こうか!」
僕はベルの手を引いて歩きだす。ベルは無言だ。
少し歩き、思いだす。
「ベル、少しだけ待ってて!」
僕はアルスの像に駆け戻り、背伸びして、その頬に軽くキスをする。
「必ず、元に戻してやる! まってろよ!」
僕に今出来る事はこれくらいだ。
僕はベルの方へ駆けて行った。
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「という訳だ!」
僕は一部始終を皆に語った。漏れは無いと思う。
ここはベルのキャリーハウス。そこら辺に生えてた木にベルがドアノブをつけたら、あら不思議、ベルのお家に早変わり。傀儡魔神の宮殿を出たら、ちょうど、牛男とアナ、モモさんがかけつけた。嫌な予感がした牛男が2人を連れて来てくれたそうだ。それで、みんなで、ベルハウスで作戦会議している。円卓を囲んでお茶を飲んでる。
「母さん! そこにいるんだろ!」
母さんの匂いがしたので、声をかけてみる。
「あらー、なんで解ったの?」
まるで、幽霊が現れるかのように、徐々に半透明の母さんが現れた。
「悪いけど、アルス君の呪いは、解んないわ。一応もしマリーちゃんが危なくなった時のためにスタンバってはいたのよー。アルス君に掻っ攫われたけど」
母さんがくねくねしながら話す。ウザい。
「それで、傀儡魔神って何者なんだ?」
アナが母さんに尋ねる。
「昔の魔王の国の貴族。その名の通りゴーレム作ったりするのが得意らしいわ。けど、しばらくは、リハビリでしょうね、ベルちゃんが激しいお仕置きしたから。魔王領にある、自分の城で療養しているわ。多分」
母さんが、アナに応える。
ということは、しばらくは魔神については放置でいいか。
「今の話では、ゴーレムを沢山倒したらしいが、魔石の回収はまだよね、アナと回収してくるわ」
モモさんはそう言うと立ち上がり、アナの手を引っ張って行く。
「今後はいかなる時でも、私はご主人様のそばを離れたく無いです。お手数ですが、私のダイエットにも付き合って下さい」
牛男が涙を流しながら話す。相変わらず泣き上戸だ。
「解った。そうするよ。ベルも強制参加ね。早く美少女に戻ってね」
僕はベルに微笑む。
「解ったかしら」
ベルも微笑む。
僕は母さんの方を向く。母さんは、椅子にかける。
「母さん。僕について知ってる事を教えて欲しい」
僕は真面目な顔で、母さんを見る。
「解ったわ。マリーは生まれた時からそうだったのよ、色々調べた結果、貴方の魂には神片が宿ってる事が解っただけよ」
お、中二ワード、神片登場!
「その胡散臭い神片ってなんなんだ?」
僕は尋ねる。
「じゃ、まずは、お茶ちょーだい。長い話になるわ」
ベルが緊張しながら出したお茶を飲むと、母さんは語り始めた……
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