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 第十九話 天国か地獄か?


「僕にもよくわからないよ…」


 何を言ってもうまく言えない気がして僕は逃げた。


「そうなのねー……」


 心なしか声に残念テイストを感じるが、まだ雑魚な僕にはレベルが高すぎる。


「頭洗うから、タオル取るわよー、目、開けないでねー」


 タオルが取られて、頭からシャワーをかけられる。


 わしゃわしゃ頭を洗われる。サリーの手の力加減が気持ちいい。サリーはデフォルトでは非力だ。いつもは魔法で強化して戦ってるのだろう。


 ぺち! ぺち! ぺち!


 サリーが動くたびに謎音が響き渡る。サリーは気づいてるのだろうか? これは聞いてもいいものなのか? けど、気になってしょうがない。


「サリー? そのペチペチって何の音?」


 サリーの動きが止まる。音も止まる。


「もうっ……はずかしいから聞かないでー」


 確定だ。


 おっぱい音だ!


 このレベルだと押さえてないと、いろんなとこにあたってしかも濡れてるから音が出るんだ。


 正直見たい!


 けど僕は約束した。


 我慢。我慢。


 頭を洗い終わって、タオルがまた巻かれる。


 さすが僕。


 耐えきった。


 まさに不屈!


「マリーちゃん。立って」


 僕はうながされるまま立つ。なんか恥ずかしい。石鹸を泡立てる音がする。


「ヒャッ!」


 思わず僕は声を上げる。ひんやりとしたサリーの手が僕に触れる。


「す、素手は止めましょう」


「何言ってるのよー、マリーちゃんの珠のお肌に傷がつくでしょー」


 今の僕には抵抗する術がない。なすがままだ。



 両手、両足を洗われて、背中、そして、胸を洗われる。目を瞑っているので、感触がよく分かる。恥ずかしいし、くすぐったい。たまに柔らかい何かが擦るのがまた僕のメンタルにダメージを与える。


「マリーちゃん、真っ赤よー。すべすべ気持ちいいわー」


 サリーが僕の胸を念入りに洗う。


「あのー、垢すり貸して貰えないでしょうか、お尻とかはちょっと勘弁してほしいです」


「チェッ、しょうが無いなー」


 そう言ってサリーは僕のお尻やお股を洗い始める。


「ちょっと、ちょっとまってよ」


「だめー!」


 いろんな所にサリーの手がふれる。もうお嫁に行けないわ!


 わしゃ、わしゃ洗われる。くすぐったい。


「終わったわよーっ」


 サリーは僕にシャワーをかける。あったかくて気持ちいい。


「さっき変な事言ったお返しよー」


 軽く10倍以上は返された気がする。僕はほぼ廃人と化している。


「すべらないように気をつけてねー」


 僕はサリーにナビされて浴槽につかる。ああ、疲れがとれる。胸が重力から解放される。ぷかぷか感がある。けど、いつの間にためたのだろう。魔法かな?


「ちょっと待っててねー」


 サリーが髪を洗う音がする。


 しばらくして、水の音がする。あ、流したな。


 ちなみに何を待ってて欲しいのだろう?


 体を洗う音がする。かなりスピーディーだ。


 何をそんなに急いでるのだろう。


 今の状況を客観的に考えてみると、せかせかと体を洗ってるロリ巨乳美少女の横で、目隠しした巨乳美少女が浴槽で乳を浮かべてる。画ずらがシュールすぎる……


 シャワーの音がして、しばらくして止まる。


「おまたせー。入るわよー」


「ちょっとまって、あがるよ、狭すぎるよ」


「もう入ったわ。つめてつめてー」


 ジャッバー!


 お湯の溢れる音がする。


 僕は急いで膝を抱える。膝に柔らかい感触が僕のスライム君がひしゃげてるのだろう。


 僕の足にすべすべで柔らかいものがふれる。どうも、僕の足はサリーの足で挟まれてるのでは?


「マリーちゃん! 目隠しとってー!」


 そう言うとサリーは僕の目隠しをとる。僕の意思関係無しじゃん。女の子って不条理だ。


「マリーちゃん! 目の前に天使のような可愛い女の子が目をつむってたらどうするー?」


「ん?」


 僕は何を言われているのかわからない?


「みんなこうするわ!!」



 バシャッ!



 水の音がする。



 僕の首辺りに柔らかいものがふれる。



 唇にも柔らかいものが触れる。僕は目を閉じた。



 しっかり抱きつかれて動けない。



 何が起こってるんだ?



 ガラッ!


 ドアの開く音がする。


「サリー抜け駆けはずるいわよ!」


 モモさんの声がする!



分子分解ディスインテグレイト改!」



 ザッバー!!



 ベルの声がして、上から大量の水が落ちてきてそのあと何かが肩に乗る。


「抜け駆けは許さないのかしら」


 この声はベルだ!


「楽しそうだな! 私はも混ぜろ!」


 上からはアナの声がする。


 ああ、もう訳がわからない……たった1つ確かな事があるとするのならば、目を開けてはならないのだけはわかる……


 僕はいつも通り意識を手放した……



 読んでいただきありがとうございます。


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