第十七話 リビングで
「今日は、ベル、私の所に泊まらないか?」
アナがすがすがしい笑顔でベルに手を伸ばす。
僕たちは今サリーの部屋のリビングにいる。牛男は痩せるためにランニングに行ってて、サリー、僕、ベルはソファにごろごろしながら、本など読んでいる。モモさんは多分自室だと思う。
僕は迷う。もしアナがベルを連れて行ったら、僕とサリーは二人っきりで寝る事になる。それは今はまだちょっとまずい。
だからといってベルが残ったら、美少女2人と一緒に寝る事になる。これもまたまたまずい。
だからといって、ここを出てどっかに泊まると言ったらサリーが傷つくかもしれない。これはもっともっとまずい。これは多分無しだな。
ああ、どうしよう。けど、なんかリア充っぽい悩みだな。
どれを選んでもトラブルのにおいしかしない。男らしくないが答えが出ないので、やむなく僕は成り行きに任せることにした。
「そうよー! ベルちゃんアナの所に泊まったらー? エルフ同士仲良くねんねしたらー?」
サリーが慈母の笑顔で言う。けど、決して目が笑ってない。いうなれば猛禽類の目だ。
これはやばい、サリーは僕と二人っきりを狙ってるのか?
「ベルはマリーと寝るのかしら。マリーのでっかい胸をもみながら寝るのかしら」
ベル、さらっとその顔で同衾宣言しないで欲しい。
「戦神降臨99%! これでどうだ! もみがいありそうだろう!」
アナが光る。そして、両手で胸を持ち上げて揺する。相変わらずぶっとばしてるな。
「まぁ一応合格かしら。一緒にお風呂は入ってあげるわ。一緒に寝るかは後で考えるわ」
ベルは、アナの差し出した手を握り出ていく。しっかりアナからドレインしてた。あいつは、本当はサキュバスなのでは、おっぱい好きで人のエネルギーを吸い取るし。
そして部屋には、しばらく静寂が訪れた。
いつも誰かが騒がしいから新鮮だ。
気が付くとサリーと2人っきり。
昼の事が頭をよぎり、鼓動が早くなる。
チューして、空でデートして、生パンツをもらって被った。
これってもしかしたら恋人同士っぽい行動なのでは? もっとも恋人から生パンツ貰ったって話は聞いた事無いが。
もしかして、もしかしてサリーは僕に気があるのでは?
「……じゃ……あたしたちも…………か……」
サリーが赤くなってる。声が小さくて、肝心なとこが聞こえない?
「ん、サリー、声小っちゃくて、聞こえないよ。もう一回言って」
「……お風呂はいろっか……ばか……はずかしい……」
パタ、パタ、パタ!
サリーはリビングから駆けてった。
やっべー、なんか昔見たラブコメみてーだ。
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