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 第一話 追放


 はじめまして、初めてじゃない方もいらっしゃると思いますが、『みやび』と申します。これから長い旅が始まります。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。


 このお話は、『最強最弱聖女』の改稿版です。かなり読みやすくはなったと思います。よろしくお願いします。


 あと、他サイトですが、ノベルピアさんで先行配信してます。よろしければ、そちらもお願いします。


「あばよ、キラ、役立たずになったお前は追放だ。これで金輪際、お前と『セイクリッドマローダー』は無関係だ」


 長身の狼を彷彿とさせる風貌の男、双剣使いのジェフは、剣を鞘にしまうと、冷たく言い放った。


 なんて奴だ。僕が体調不良になったとたんに手のひら返しやがって。


『セイクリッド・マローダー』、それは僕たちが今所属しているクランで、聖都最強の誉れ高い冒険者集団だ。


「そうね、戦えないなら不要ね、ていうかむしろ邪魔かしら」


 イリアの冷たい声が聞こえる。振り向くと僕に背を向けて、金髪の縦ロールを揺らし歩いて行った。兜がずれるお陰であまり視界がよく無い。


「足手まとい。いらない。ここで別れる」


 ヘルメが抑揚のない声で呟く。彼女は元々は外国の出身らしく、共通語はまだたどたどしい。子供とも見間違うような小さな体に灰色のローブ、フードを目深にかぶっている。彼女は知識の神に仕える神官だという。

 彼女くらいは僕を助けてくれるかもと思っていたんだが、満場一致か。選ぶ仲間を間違ったな。しょうがない。まあ、遠くから彼らの後をついて行ったら地上には帰れるだろう。


「わかった。ここでお別れだな。では、こいつはもらうぞ」


 僕は自分の分のトレジャーボックスに手を伸ばす。


 我ながら自分の声に戸惑う。何だこの声、甲高い、女の子? 僕じゃないみたいだ。多分、実際、今までの僕ではないのだろうけど。


「グワッ!」


 誰かに後ろから押されて転倒し、地面にこすりつけられる。


「悪ぃ、悪ぃ、足が滑った」


 なにがどうして、足が滑って人を蹴るんだ。ふざけやがって!


 四つん這いで、なんとか首を上げて見るとジェフが笑みを浮かべている。鎧が邪魔でうまく立ち上がれない。ジェフの長身が見上げるとさらに際だってみえる。


「おめー、ほんとにキラか? 鈍くさ過ぎるだろ。お前の分のトレジャーはねーよ! お前はフロアボス見て逃げてったんだからなぁ」


「はぁー? 何言ってやがる。ジェフ」


「キラ、おめーは初めっからムカついたんだよ、べらぼうにつえーし、きれい事ばっかりほざきやがるし、女にもてるし……」


「はいはーい、喧嘩はここまでよ、準備出来ましたわよ、ワープポータルの移動先を下層ランダムに書きかえましたわ。わたくし程になったら造作もない事よ」 


 イリアが嬉しそうに僕に近づくと躊躇わず僕を踏みつけた。


「ヘルメ、キラをポータルに突っ込んで、キラの分のトレジャーは三人で分けましょう」


「ぐあっ!」


 僕はイリアに地面に押しつけられる。こいつこんなに力が強かったのか……


「いいな、それ、キラは逃げたからな」


 ヘルメは抑揚なくそういうと、僕の足を掴み引きずる。そして部屋の隅に光る転移の魔方陣に僕を投げ込む。


 魔方陣はまばゆく光を放ち、僕の周りの景色が歪む。下層ランダム! まずい、何てことしやがる。イリアの言葉が確かなら何処にいくか解らない……


「お前ら、覚えていろよ! 絶対死ぬほど後悔させてやる!」


 僕はせめてもと恫喝する。意に反して可愛い声だけど……


「俺も後悔してるよ、フロアボスを見たとたんに逃げ出すようなチキン野郎を仲間にしたことをな! ハーッハッハッハッハー」


「わたくしの役に立たなくなったお前なんてゴミと一緒よ、ゴミはゴミ箱に捨てないとね、ホーッホッホッホッ」


「雑魚、ゴミ虫、死ね、キャキャキャキャキャッ」


 哄笑をあげる三人の姿が歪み、僕は何処かに転移していった。



 読んでいただきありがとうございます。始まったばかりではありますが、


『面白かった』『続きがきになる』などと思っていただけたら、ブックマークの登録、広告の下の☆☆☆☆☆の評価を押して頂けると大変嬉しいです。


 執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

 

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