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軍議

軍議開始はすぐに伝達され、私は待機中の小隊長と合流して作戦室に入った。


中央の卓上にはハワイ近海の地図が広げられ、上座に南雲司令官、草鹿参謀長、源田参謀。更にその回りに淵田少佐以下、各小隊長が立つ。


源田参謀が進行を務める。

「それでは進藤大尉、改めて第二次攻撃隊の報告を頼む。」


「はい!第二次攻撃隊の戦果は、敵空母エンタープライズに爆弾3発、魚雷1本を命中、撃沈には至りませんでしたが飛行甲板の破壊に成功し、空母としての能力を喪失せしめたことに間違いありません。あとは盾となった重巡洋艦2隻に魚雷数本が命中、撃沈には至りませんでしたが、中破以上確実となります。」


「被害については、第一次攻撃隊出撃100機中、零戦6機、九九式艦上爆撃機12機、九七式艦上攻撃機25機、計43機の損失となります。」


半分近い損害じゃないか、と思わず声が上がり、各員の動揺がわかる。

源田参謀が睨みを利かせる。

「続けてくれ。」


「はい、敵艦隊は空母の周囲に重巡洋艦3隻がピタリと寄り添う陣形をとっておりました。そして上空には30機以上のP40やワイルドキャット戦闘機が直掩にあたっておりました。」

そんなにいたのかの声があがる。


「私達護衛隊18機は迎撃にあたりましたが、攻撃隊を徹底して狙われて撃墜される機が多く、それでも急降下爆撃隊は3発の爆撃を命中させましたが、雷撃隊は敵の重巡洋艦が盾となって有効な射角を得にくく、しかも回避の操艦も機敏でことごとく魚雷は回避され、1本が命中、ほか数本は重巡洋艦に命中しました。私が見た範囲では撃沈は確認しておりません。」


「なお、敵戦闘機については、おそらく20機以上を撃墜しました。」


しばらく静まり返ると、南雲司令官が重くなった空気を吹き飛ばすように強めの口調で話し出す。


「見事な戦いであった!」

「この度の目的は敵空母の撃沈又は空母機能の喪失である。爆弾3発を命中させたことにより、確実に戦闘能力は喪失せしめた。多くの仲間を失ったが、十分な戦果だよ。よくやってくれた。」


労いの言葉に進藤大尉は思わず涙ぐむ。


「実はな、こちらで撃墜した敵のパイロット数名を捕虜としており、尋問の結果、敵空母サラトガ は4000キロ先のアメリカ西海岸サンディエゴ海軍基地にいることが明らかとなった。これはオアフ島のスパイ情報とも一致することから間違いない情報となる。」


南雲司令官は全員を見渡して高らかに宣言する。


「空母エンタープライズが機能を喪失して今、ハワイの空はほぼ我々のものということだ。」

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