空母赤城被弾
着艦の順番は、雷撃隊、艦爆隊、護衛隊の順だ。
次々と着艦する。
着艦後はそのまま甲板指揮所に順次整列してゆく。
源田参謀が淵田隊長と話をしているのが見える。
全員揃ったら報告と指示があるようだ。
そして私の小隊は一番最後のしんがりに着艦する。
整備兵への挨拶もそこそこに愛機を降りて小走りに整列に加わる。
護衛隊9名、急降下爆撃隊16名、雷撃隊21名、淵田隊長以下46名が整列した。
指揮所には既に南雲司令官、草鹿参謀長、源田参謀の3人が揃っている。
「気を付け!」
淵田隊長が号令をかける!
「敬礼!」
少しの間をあけて南雲司令官が話し始める。
「諸君。先程報告は聞かせてもらったが、敵空母レキシントン撃沈、重巡洋艦3隻撃沈又は大破、1隻小破。それに対して損害は急降下爆撃機8機、雷撃機12機である。見事な戦果であった!」
「やったぞ!」みんな顔を見合わせ、拍手が巻き起こり一気に盛り上がる。
南雲司令官は我々を見渡しながら静まるのを待ち、力強く話す。
「一方、見ての通り、その撃沈せしめた敵空母の艦載機と思われるが、急降下爆撃機など数十機の攻撃があった。」
「敵は少数に別れて波状攻撃をかけてきた。多くは直掩隊が撃墜したが、直掩隊の高度が下がり、敵の攻撃が終わったかと少し落ち着いた間隙をぬって、雲の切れ目から急降下爆撃を受け、見ての通り1発被弾した状況だ。」
「爆弾は上部格納庫を突き抜け、中部格納庫で爆発炎上した。しかし火災は消化に成功し、格納庫もほとんど空であったため、被害は少ない方ではある。甲板も補強材で修理し、今日中には塞ぐことは出来る見通しだ。」
みんなほっとした表情だ。
次に草鹿参謀長が話し始める。
「諸君も気付いているだろうが、格納庫が空なのは、別に発見された敵空母攻撃に出撃したからだ。諸君が攻撃を始める少し前ころ、敵空母1隻を含む部隊をオアフ島近海に発見したのだ。諸君等は攻撃にかかるタイミングであったのでそのままとし、第2次攻撃隊100機を編成出撃させた。」
草鹿参謀長の歯切れが悪くなる。
「しかし、無線報告によれば、敵空母上空にはオアフ島からの応援と思われる直援機が多数おり、対する護衛隊は15機、そのなかでの攻撃で敵空母に爆撃2発、魚雷も少なくとも1発は命中させたようだが撃沈には至らず、攻撃隊は多数の未帰還となるようだ。」
全員静まりかえるなか、源田参謀が話し始める。
「よって、諸君等に第三次攻撃に向かってもらうことも考えたが、オアフ島の直掩機が居るとなると無視できない損害が予想される。敵空母はすでに空母としての能力は喪失した。敵空母残り1隻が未確認であるため、諸君は待機し、最後の空母発見の際は全力で出撃してもらうこととなる。以上だ。」
「気を付け!」
「隊ごとに解散!」
ザザッ!飛行服が一斉に揺れる!




