大戦果
魚雷を投下した雷撃機は敵艦の上空を飛び越えてゆく。
この最接近時が極めて危険だが、空母レキシントンの対空砲はすでにほぼ無力であった。
魚雷の最初の獲物は空母レキシントンだ。僅かに見える雷跡が急速に接近、横腹に喰らいついた!
業業業業業業業ゥ!
最初に命中したのは右舷に2本!
波涛の底から閃光が生まれると、次に重低音が響き渡る!
空母の船体は振動しながら右舷が浮き上がったが、致命傷には至らずにゆっくりと再び着水した。
ヘビー級ボクサーの右ボディ2発ではテクニカルノックアウトとはいかなかった。
しかしギリギリだ。なんとか堪えたが反動で右舷が傾いたところに、間髪入れずに左舷に2本の命中弾!!
業業業業業業業ゥ!
浸水のお陰か、爆発で浮上することはなかったが、右に傾いた分、魚雷が命中したのは左舷下部、柔らかな部分に強烈なボディを喰らった。
轟轟轟轟轟轟轟轟!!
艦が二つに割れてゆく!
倶倶倶倶倶倶倶倶供ゥ!
そして両端が天高く上がると、ゆっくりと素早く海中に引きずり込まれてゆく!
脱出者はいない。空母レキシントンは女王と呼ばれているらしい。
数千の乗組員は守護騎士として女王に付き従い、共に冥界への航海を始めるということだろう。
空母撃沈確実を見極めた雷撃隊は目標を重巡洋艦に切り替え、全部で40本近い魚雷を投下!急降下爆撃で弱った艦に四方から襲いかかる。
重巡洋艦は必死で応戦しながら回避行動をとるが、交差する魚雷を全て回避することはできず、4隻の重巡洋艦はそれぞれ数本が命中した!
次々と沸き上がる水柱と黒煙でよく見えなかったが1隻は真っ二つに轟沈、2隻は大破して大きく傾斜。1隻のみ小破という結果であった。
大量の炎が海上を舐め回し、まさに火の海の様相だ。
運良く海上に落ちた者も、火の海から逃れることは出来ない。
「圧倒的だな。我が軍は」
思わず呟く。
敵艦隊に残されたのは小破の重巡洋艦と数隻の駆逐艦程度。大破の重巡洋艦が帰ることは難しいだろう。
我々は雷撃隊に付き従い、速やかに帰路についた。長居は無用だ。
帰りの道中、我々護衛隊は警戒しながら飛んだが、雷撃隊も急降下爆撃隊も、帰り道はお祭り騒ぎであった。




