対空射撃
「最大船速!」「最大船速!」
船は徐々に、力強く加速を始める!
「対空戦闘準備!」「対空戦闘準備!」
空母甲板上の両側に設けられた対空砲に兵が駆け寄り、スタンバイする。
一斉にMk10、5インチ25口径砲が向きを変え、敵編隊に照準を合わせる。
「日本の雑魚軍め!真珠湾じゃあ、停泊中の戦艦に命中させたようだが、そんなのでいい気になるなよ!」
その言葉が聞こえたように、敵編隊が攻撃隊形に移行してゆく。
下降する部隊と上昇する部隊、そしてその護衛というようにグループが別れる。
その編隊飛行の滑らかさは我が軍の航空隊では見たことがない練度で、なにかとても嫌な予感がした。
「奴ら、急降下爆撃と雷撃攻撃をするつもりか!」
「あの数の魚雷はまずい!避けきれるかわからんぞ!」
すると、上空の直掩隊6機が、多数の敵編隊に恐れずに敵雷撃機編隊に突っ込んで行く!
「よし頼むぞ!雷撃機さえなんとかなれば!」
6機のワイルドキャットは降下加速しながら、敵編隊に飛び込んで行く。
「やっちまえ!」
しかし、敵の護衛戦闘機が、まるで悪魔が咀嚼するように上下からワイルドキャットを噛み砕こうとする!
罵詈罵詈罵詈罵詈韻!
遠い艦橋内にも、金属が裂かれる破壊音が響く!
初撃でワイルドキャット4機が悪魔の餌食になった!
「ジーザス!」
しかし2機が突破に成功!雷撃機を2機撃墜したが、そのワイルドキャットも旋回が始まったらあっという間に撃墜されてしまった。
結果的に数秒間でワイルドキャット6機が撃墜されてしまったのだが、艦橋内の全員、何が起きたのかよく理解できなかった。
「対空砲!ファイア!」
射撃指揮官が我に返り、味方機が一切居なくなり誤射を恐れる必要が無くなったので発射命令を下す!
弩権!!弩権!!弩権!!弩権!!
一発一発が重い!重量24キロの砲弾を撃ち出す!
番!番!番!番!
空に黒灰色の花火が咲き乱れた!




