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ジョン・H・ニュートン提督

日本軍攻撃隊の攻撃開始から遡ること1時間30分、空母レキシントンに座乗する第12任務部隊司令官、ジョン・H・ニュートン提督は、艦橋の椅子に腰掛け、明け方に出撃させた索敵機からの報告をじっと待ち続けていた。


普段なら明るい雰囲気の艦橋であったが、日本軍の真珠湾攻撃以降、重苦しい雰囲気に変わってしまい、軽快なジョークも鳴りを潜めてしまった。


真珠湾攻撃から1日が経過し、無線やハワイのラジオを受信すると、真珠湾は甚大な被害を受けたようだが、未だに信じられないのが本当のところだ。


我々第12任務部隊はミッドウェー島に航空機を輸送するために2日前に出港していたので空襲を受けずに済んだ。


日本軍の攻撃を知らされたのは平文の無線だった。

それからすぐに敵空母艦隊の捜索命令を受け、索敵機を発艦させたが、未だに全員が半信半疑で、むしろ日本軍の攻撃ではなく、ドイツ軍の攻撃と言われた方が納得できるほどの話で、結局1日中捜索したが発見出来なかった。


私が昨日の出来事を回想していると、突然、無線機のスピーカーからザー!ザー!という雑音が入った!無線員が周波数を微調整する。


「敵空母部隊発見!繰り返す!敵空母部隊発見!」


艦橋内が騒然となる!無線は続き、索敵機は当艦の北西方500キロ地点、空母6隻、戦艦2隻を含む敵艦隊発見の急報であった。


私は海図を指しながら集まった参謀達に話す。

「日本軍航空機はオアフ島に数百機が来襲したというから、今回の空母6隻の部隊が真珠湾攻撃を行った敵の本隊で間違いない。しかし500キロ先は遠いな。」


「はい、気になるのは30分前に現れた敵の索敵機です。500キロ先の空母部隊から飛び立っていたとすれば、航続距離は1000キロ以上の機体となります。索敵機は別部隊から発進した可能性もありえます。」

ほかの参謀が応答する。

「索敵機ならば身軽なので日本軍でも1000キロ以上飛べる機体はあると思います。しかし日本軍の攻撃機は、爆弾や魚雷を搭載して片道500キロ以上の距離は飛べないと思われます。事実昨日発見された敵艦隊はオアフ島北西300キロ地点ですので、300から400キロが攻撃圏内だと思われます。

1000キロ以上飛べるとなれば、我が軍に匹敵するか、超える能力を持っていることになります。」


「そんな情報は聞いたことがありません。

うちのTBDデヴァステイター攻撃機が航続距離700キロです。日本の国力など、我が国の20分の1くらいしかない。そんな黄色人種のアジア国の航空機が我が国より優れていることはあり得ません。」


「確かに。そうすると、日本の航空部隊はこちらに攻撃は出来ませんし、むしろ日本に逃げる途中の公算が高いです。叩くなら今がチャンスです。」


参謀からの提言を受け、私は決断する。

「そうだな。よし!直ちに攻撃隊を発艦させる!攻撃隊はドーントレス急降下爆撃機30機!護衛戦闘機ワイルドキャット6機だ!発艦準備せよ!」

「了解!」


「足の短いデヴァステイター攻撃機18機はこのまま待機でよろしいですか?」


「もっと近くに別動隊がいる可能性もある。魚雷は装着したままで格納庫で待機させよ。」


「了解!」


攻撃隊に命令を下し、次々に発艦する攻撃隊を見送ると、艦に残ったのは上空を直掩中のワイルドキャット6機と、格納庫にデヴァステイター攻撃機18機であった。


艦橋内には敵を発見したことと、安全圏内にいるという安堵感で明るい雰囲気が戻りつつあった。



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