攻撃隊出撃
指揮所は飛行甲板上の艦橋の側面であり、大型の黒板が設置されている。
全員が駆け足で指揮所に整列する。
編成は零戦隊9機9名。
急降下爆撃隊9機18名。
雷撃隊9機27名。
合計27機64名で、攻撃隊隊長は真珠湾攻撃時と同じ、雷撃隊の淵田中佐である。
頃合いよく、南雲司令官、草鹿参謀長、源田参謀が艦橋から降りてくる。
その表情は厳しい。
「気を付け!」
淵田中佐の号令が掛かる!
「敬礼!」「休め!」
南雲司令官は全員を見渡して話し出した。
「諸君。5分前に索敵機から、レキシントン型空母1隻、ほか巡洋艦、駆逐艦十隻程度からなる艦隊発見との急電が入った。今のところほかの索敵機からの報告は無いので、当初の予定通り、まず確実に、このレキシントン型空母を叩く。」
続いて草鹿参謀長が続く
「攻撃隊の編成は各艦から27機ずつ、計162機となる。想定では敵空母1隻を沈めるのには十分過ぎる戦力となる。そのため、向かう途中にほかの空母が発見された場合、攻撃隊を分割する可能性もある。その際の別班編成は黒板の通りだ。命令は暗号ではなく平文で送る。聞き漏らすな、そして誤りのないようにせよ。」
平文!?これは本気だ。身を呈しても確実に叩くという覚悟だ。
「我が艦隊は現在オアフ島西方500キロ地点に位置しており、敵空母艦隊は南東480キロ地点となる。およそ2時間弱の距離だ。」
「今後、我が艦隊の進路はオアフ島から500キロの距離を保ち、反時計回りに南進する。」
そして源田参謀が話す。
「敵空母への攻撃は演習どおり行えば確実に仕留められる。次の目標は巡洋艦のみとする。駆逐艦を攻撃する必要はない。よいな、敵空母が残っている以上、無駄な損害は絶対に避けなければならない。敵空母が沈んで魚雷爆弾が残っていたら、遠目に撃って帰ってこい。以上だ。」
最後に南雲司令官が檄を飛ばす!
「我々の使命は敵空母の殲滅である!各員奮励努力せよ!!以上!!」
「敬礼!」
「各員位置につけ!!」
「おう!」
我々は各機体に駆け寄り、勢い良く乗り込んだ!
エンジンは快調!準備よし!板谷少佐に合図を送る!
板谷少佐は合図を返し、車輪止めが外されて先頭で離陸する!
護衛戦闘機隊出撃!!
皆が帽振れで見送ってくれるなか、私も華麗に飛び立った!




