作戦会議
食事を済ませ、板谷少佐以下、制空隊20人が再び搭乗員待機室に集合した。
艦爆隊、艦攻隊は既に作戦会議を終えている。
みんな明日のことでソワソワと落ち着かない。
空戦の事や、今後の作戦について話は尽きず、ざわざわとしていると、ガチャリ!とドアが空き、南雲司令官、草鹿参謀長、源田参謀の3人が入室した。
一気に緊張感が高まる。
「気を付け!」
板谷少佐の号令と同時に、全員が一斉に立ち上がる。
「敬礼!、休め!」
お互いに一礼し、我々が着座すると、南雲司令官が一呼吸置いて話し出した。
「制空隊の諸君。本日は未明の出撃から、先程の直掩任務までご苦労であった。」
「戦果は示達のとおり我が機動部隊は大戦果を挙げたが、重要目標である空母3隻が所在不明であり、これを撃破するため二重に索敵線を出したが発見に至らなかった。」
「そして」
チラリと私を見る。
「新海少尉が撃墜したが、敵索敵機に我が艦隊の存在が発見されている。」
「我が艦隊は現在進路を変え、今夜はオアフ島北西にあるカウアイ島を回り込み、最終的にはオアフ島南側に進出する予定となる。」
「明日は敵空母を必ず海の底に叩き込む。以上だ。」
重い雰囲気のなか、司令官の背後で源田参謀が地図上の駒を動かす音がやけに大きく聞こえた。
次に話し出したのは草鹿参謀長だ。
「私からは航空隊の任務について説明する。」
「明日未明、索敵機を出すのに合わせて、直掩任務も開始されるが、赤城隊は4小隊を直掩として残し、残り3小隊が攻撃隊に組み込まれる。」
「敵空母発見となれば、即座に第一次攻撃隊約200機を差し向けることとなる。以上だ。」
「ここまで、何か質問はあるか。」
南雲司令官の敵空母撃滅に向けた強い意思を感じ、いくつか質問のやりとりとなった後、源田参謀が説明する。
「それでは、制空隊の具体的な任務について説明する。」
「まず直掩隊であるが、高度は三千から五千に別れて行うこと。第一に雷撃機阻止、第二に急降下爆撃阻止だ。空母は魚雷一発で沈む恐れがある。確実に阻止せよ。」
「攻撃機護衛班は、言うまでもないが、敵戦闘機から守り抜くことが全てだ。場合によっては、文字通り盾となって死守せよ。」
守るためならば、その身を盾とせよ。それで死ぬなら本望ということだ。
皆、理解していることではあるが、改めて言われるとズシンと胃が重くなる。
「搭乗割りは表のとおりだ。板谷少佐!よろしいか?明日は5時00分総員起こしだ!以上解散!」
「気を付け!敬礼!」
南雲司令官以下3人が部屋を出てから、みんなで搭乗割りを確認する。
私の小隊は攻撃班に名を連ねており、やるぞと固く拳を握りしめた。