直掩を終えて
報告が終わり機体の方を見ると、我々の機体は順次エレベーターで下ろされ、最後の一機も間もなく下ろされるところであった。
私達は駆け寄り、機体とともにエレベーターで降下した。
整備兵からは遠慮されるが、私達は一緒に愛機を所定の駐機場所まで押す。
そして、整備兵と一緒に被弾箇所を詳しく観察する。
私と二番機はそれぞれ4、5発の被弾で、短時間で修復も可能だ。
三番機は酷い、操縦席の風防が破損しているだけでなく、至る所、20発以上被弾している。
致命傷に至っていないのが奇跡的だった。
今回はうまく撃墜出来たが、やはり、後方から接近するのは割りに合わない。
零戦に防御は無いので弾痕は全て貫通しており、こちらは簡単に堕ちるのだ。
技量優秀なパイロットが、ただの対空射撃で堕とされてしまうのは割りに合わないではないか。
三番機の機体は予備役となり、補用機を使うこととなった。
補用とは予備のことで、赤城には零戦の予備機が6機あるのだ。
私達はその後待機室で、次にB17と戦うときはどうすべきか、他の仲間も交えて延々と話し合った。
ある程度の結論として、優位であれば、最初の一撃は操縦席を集中攻撃した方が良いのではないかとの結論となった。
後方から接近するのは命懸け過ぎるため最後の手段とし、出来る限り優位をとって操縦席を狙っていこうということであった。
そして時間は経過してゆき、偵察の艦攻隊も順次帰投し、窓から差し込む光が赤みを帯びてハワイの太陽が燃え上がり、そしてゆっくりと月星にその座を明け渡したのだった。
最後の直掩機が帰投すると、我々航空兵は食事休憩となり、その後作戦指示を受けることとなった。