修理
軍議の結果、第三次攻撃は見送られ、未だ所在が掴めないアメリカの空母、エンタープライズ、レキシントン、サラトガの3隻を発見し撃滅することが決定した。
真珠湾攻撃は明け方だったので、時刻はまだ午前中だ。早くに敵空母を発見できれば攻撃可能である。
淵田隊長から新たな命令を受け、各艦から索敵機が次々と発艦してゆく。
私達制空隊は艦隊の上空直掩と、敵艦発見の際の護衛隊の二手に別れることとなり、私達は上空直掩に当たることとなった。
現状では敵に発見されていないので、直掩は1小隊ずつ、3交代で行うこととなった。
私達は3番目を指名されたのでしばらく待機となる。
私は自分の機体が気になったので整備兵に聞くと、格納庫で修理中だという。
急いで格納庫に向かうと、整備兵と那須、神鳥谷が主翼の翼内タンクを取り付けているところだった。
「おーい!どうしたんだ?」
私は駆け寄って声をかけると、整備兵が汗を拭きながら答える。
「被弾箇所が計8発あり、そのうち右主翼の被弾が5発なのですが、翼内タンクを貫通していたのでタンクごと交換していたところです。」
「えっ!それだと、翼内タンクに燃料が入っていたら炎上していたのか?」
「その可能性は高いです。」
「そうか。あのエース級のP40だな。先に撃たれたから、墜ちていたのは私の方だったかもな。運が良かったよ。」
「那須一飛曹に神鳥谷も!ありがとう、私もやるよ!」
「少尉、油断は禁物ですよ。なんだかんだでいつも無茶するのは少尉ですからね。」
さりげなく神鳥谷も頷いている。
「まぁ、確かに。しかし、アメリカは中華より強いよな。」
「はい、これからは慎重にいかないと、あの弾幕はまずいですよ。」
「そうだな。気を付けるよ。」
そうして私達は作業を終え、愛機をエレベーターで飛行甲板に上げると待機室で出撃を待つこととした。




