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軍議

作戦室に入り、南雲司令官以下6人でテーブルを囲んで座る。


「楽にしてくれたまえ。」


南雲司令官自身も少しリラックスしたようだ。艦橋では緊張が続くのだろう。


「それでは第一次攻撃隊の諸君が経験したことを率直に話して欲しい。アメリカ軍と実際に戦った君達の話を聞かせてくれ。」


「はい。」


そして私達は南雲司令官達に、見聞き経験したことを順を追って話し、南雲司令官達は時折メモを取りながら聞き入ってくれた。


私は主に空戦の経験を通じて、空戦能力はP40より零戦に分があるが大きな差ではないこと、パイロットの技量は圧倒的に日本軍が優位であること、そして士気はアメリカ軍も高い士気を持っており、決して侮れないことを話した。


南雲司令官はパタンとメモを閉じ、


「うん、実に参考になったよ。それにしても、新海君は見事だったな。君を手放した陸軍学校はこの活躍を聞いて、優秀なパイロットを手放したことに地団駄を踏んで悔しがるだろうな。ワハハハ!」

皆で笑う。


私も恐縮して答える。

「はい、陸軍幼年学校を追い出された私を拾っていただいた海軍には感謝しかありませんし、そのお陰で努力できたこともあります。」


「予科練の前身の海軍少年飛行兵制度だね、最初から千人採用したのには私も驚いたよ。今になってみると、我が海軍の先見性は、既にこの戦いを予測していたのかもしれないな。」


「これからも頼むぞ。君の抜群の実力を買って特別小隊を編成したんだ。山本長官も言っていたよ。戦争にはイレギュラーな存在が居た方が良いとね。それが今回わかったような気がするよ。」


コンコン、ガチャ!


嶋崎少佐入ります!


「おお、第二次攻撃隊隊長、帰ってきてくれたか、スマンな出迎えなくて。まあ座ってくれ。」


「はい」


嶋崎少佐は着艦してすぐに上がってきた様子で、表情に疲労が見えるが眼光は鋭い。


「最後まで見届け、最終的な戦果と被害をまとめましたので報告します。」


全員頷く。


「敵艦については、戦艦型10隻中、撃沈確実4隻、大破3隻、中少破3隻。ほか小型艦3隻撃沈確実であります。」


「飛行場攻撃については、ヒッカム、ホイラーの飛行場を中心に攻撃し、滑走路、管制塔、格納庫等破壊。航空機を約200機破壊となります。」


「うむ、戦艦と航空機の戦果については、予想を上回ったな。」


皆一様に頷き、表情も明るく感じる。


素晴らしい戦果だ、私は誇らしい気持ちになった。


「被害については、第一次攻撃隊出撃183機中未帰還9機。第二次攻撃隊出撃167機中未帰還20機。被弾多数となります。」


「我々第二次攻撃隊の突撃時は敵も体制を整えており、凄まじい対空射撃のなか突撃したため被害が増えました。アメリカの対空射撃は我が軍の25ミリより射程も長く、連射速度も速く、そして弾薬消費量も気にしないので凄まじい弾幕です。」


草鹿参謀長が応じる。

「そうか、アメリカの国力では補給を気にする必要はないのだろう。艦の建造だって我が国の何倍ものペースで建造するのだろうな。」


南雲司令官が問いかける

「第三次攻撃の必要性はどうか」

ここからが重要な話となってくる。


「はい、私は必要と考えます。第三次攻撃隊が魚雷攻撃を行えば、残存の戦艦6隻を撃沈することが可能です。」


「ふむ、嶋崎少佐の見解、第一次攻撃隊の3人はどう思う?」


淵田少佐が答える。

「はっ、確かに戦艦に止めを差すことは重要ですが、現時点では、敵空母撃滅が最重要であると考えます。」

「板谷少佐は?」

「私も同意見であります。」

「新海少尉は?」

「私も同意見であります。今回の真珠湾攻撃で、航空機による攻撃が極めて有効であることが明らかとなりました。」

「従いまして、敵空母を叩くことが最優先事項であると考えます。」


「うむ、そうだな。」


南雲司令官に草鹿参謀長、源田参謀が目を合わせて頷く。


「作戦は決まった!」


「我ら機動部隊は南西に針路を取り、オアフ島西方に進出しつつ、敵空母の撃滅を図る!」


「皆!心してかかれ!」

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