表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/193

好敵手

奴は旋回の軌道をとったようだが、速度も速く相互の距離は一気に離れてゆく!


すぐに追いたいがそうもいかない!


敵の後続機は!?


一機が私を狙う挙動!ほか4機は僚機の方向に翼を向けている!


私を狙うその一機は、上方の僚機から見たら無防備に横腹をさらけ出した獲物だ。


そいつは、自分がいかに愚かな選択をしたのか、身をもって知ることになる。


私はそいつが、上方からダイブしてくる僚機が見えない角度となるような急旋回をかける。


弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾!


まだ遠い!しかし敵機は撃つ!撃つ!弾数多いな!


P40はアメリカ伝統の12.7ミリ機関砲搭載と聞いている。

口径だけ比較すれば、零戦機首の7.7ミリ機銃、翼の20ミリ機関砲の中間だが、装弾数、連射性、威力など、実際に撃たれてみて、かなり優秀な砲だと理解できる。


20ミリ機関砲が日本刀なら、アメリカの12.7ミリ機関砲は槍といえるかもしれない。


そんな考えが頭をよぎり、一抹の不安を感じた。


私は敵の射線を外しながら、僚機が狙いやすいよう敵機を誘う。


弾弾弾弾弾弾弾弾弾!


鈍鈍鈍鈍鈍鈍鈍鈍鈍!!


12.7ミリ砲の奏でに20ミリ砲の重低音が加わり、合奏は終演する!


馬脚馬脚馬脚馬脚馬脚!


P40の機体は一瞬で無数の貫通孔が穿たれ、コックピットのガラスは鮮血とともに飛び散り、太陽光が複雑に反射して一帯に美しい輝きとなって散華した!


二番機が一瞬で駆け抜けてゆく!


流石やるな!


さあ、次は奴だ!


奴は何処だ!


目を離して数秒、最後に見た奴は旋回を始めたところで、距離は十分にあった。


私は必死に頭を廻らせ、風防から見えるハワイの空と水平線に目を凝らす!


僚機と敵機が格闘戦に入ってゆくが、一瞬で有利な展開であることが判る。


奴が見えない!


太陽か!?・・・居ない。


次の瞬間、凄まじい殺気を感じた!


まさか?!見えていないが、居る!

いてもたってもいられない!


とっさに操縦桿を倒す!


機体が反応し、左に急旋回する!


弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾!


轟音と供に幾条の弾丸が私が居た空間を切り裂く!


下だー!


全身から汗が吹き出す!体が警告してくる!こいつはヤバイ!


奴は急上昇して一気に駆け上がってくる!


私は機体を回転させて後方を視野に入れると、奴は急旋回で機体に描かれた牙を私に向けようとしており、唸りを上げたエンジンは空の獣が咆哮をあげたようであった。


私は直感的に降下すると殺られると感じ、スロットルを全開にして奴の挙動と反対方向に急旋回し、捻りこんで急上昇に移る!


どうだ?!ついてくるか?!


P40の反応速度は零戦ほどではない!少し鈍重で離れる!しかしパワーがあるのでまた距離を詰めてくる!


例えると、コーナリングは零戦が速いが、直線はP40が速い印象だ。


私は叫びながら操作する!


ついてこれるかぁ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ