ハワイ女王国海軍カレー
新海、那須、神鳥谷の3人は、慣れ親しんだ空母赤城の食堂に入る。
出迎えたのは、赤城のコック達だ。
「新海・・少佐!ご栄転おめでとうございます!!那須さんと神鳥谷も!!」
「ウッス!」「ありがとうございます!」
「みんな!ありがとう!最近はヒッカム基地で哨戒任務が多いから、久しぶりに会えて嬉しいよ!みんな変わらず元気か?」
「はい!食堂赤城のコックは全員ハワイ女王国海軍に転属となり、ここレストランアカギで新装開店でさぁ!!」
「オォ!レストランアカギ!素敵なネーミングだな!」
「でしょう!!本日来ていただいたのは他でもない!!新メニュー!ハワイ女王と!ハワイ王女のお二人に献上させていただいた!!レストランアカギ至高の一品!!!ハワイアンガーリックシュリンプカレーですゥ!!!!」
「!!!ハワイアンガーリックシュリンプカレー!!!」
3人の声がキレイにハモる!
「このいつものカレーとは異なる独特な薫り、ずっと気になっていたんだよ。艦内に充満してみんな仕事が手につかない様子だったぞ!」
「そうでしょうそうでしょう!!さあよそいましたのでお召し上がりください!!」
テーブルに着いた3人の前に、早速ハワイアンガーリックシュリンプカレーが着弾する!
黄色味が強いルウに、大きい海老が花を添えている。
「オオ!!海老がこんなに!!いただきます!!」
スプーンを手にすると早速すくって、海老とともに口に運ぶ!
「甘い?・・・そして辛い!美味い!!このルウからして全く違うぞ!!!海老がプリプリして美味いし、この甘酸っぱい果物が驚きの食感だ!!日本で食べたことのない味!!ハワイが凝縮されている気がする!!」
「ありがとうございます!!甘さは、ルウに入っているココナッツミルクというものです。甘くなりすぎないように辛めに調整しています。果物はパイナップルです。そして海老、ニンニク、オリーブオイル、黒胡椒等で整えています。全てワイキキのマーケットで仕入れた食材ですよ。」
「素晴らしい!!カレーって、奥が深くてスゴイな!!こんな味があるのか!!」
夢中で食べていると、あとから来た兵が、名残惜しそうに自分のカレーから那須に分けている。
先程の遠投日米対決の報酬だ。
那須は至福の表情で補給されるカレーを食べ続けた。
「ところで、我らが女王と王女殿下はどうだった?近くで見たんだろ!!」
「はい、女王は、凛としていて、即位されたばかりとは思えない威厳がありました、でもこのカレーを食べる姿はちょっとがっついていて、そんなところが良かったですね。」
「へぇ、見たかったな。俺達は遠くからしか見たことないしな。」
「そうですね。」
「ラアヌイ王女殿下は、とても若いし美しかったです。ハワイ流の化粧が神秘的でまた良いんですよ。あの目元の美しさ、あの眼差し。カレーを食べる口元・・・ハァ。」
「ハァって!完全にやられたな!!」
「へぇ、それほどまでに美しいのですか、一度近くで見てみたいです。」
神鳥谷が呟く。
「そうだなぁ。」
「少佐は別に良いじゃないですか!もう地元の女の子と仲良くなってるんだから!」
「むっ、それとこれとは違うだろう。我らが忠誠を誓う王女殿下だぞ。」
「そういえば、その大冒険を共にした女の子とは、その後どうなんですか?」
「・・・・・・会えてない。」
新海は一気に湿った雰囲気をまとい出した。
「あれっ・・・・・なんか聞きづらいとは思ってましたが・・・・こないだ出掛けましたよね?」
「待ち合わせたけど、来なかった。」
新海の周囲の空間が歪みだした。
「・・・・・たしか、門限ギリギリに帰ってきましたよね?」
「・・・・待ってて、そのあとは少し探した。」
新海の周囲の空間が閉じられた。
「・・・・・」
那須はひたすらカレーを食っている。
「でも手紙は来た。忙しいんだとさ」
新海の空間から一筋の光が照らした。
「そ、そうですか!・・・・さあ!美味しかったです!またよろしくお願いします!!」
「あいよ!!ありがとうございました!!」
カレーを食べ続ける那須を残して、新海と神鳥谷は、レストランをあとにした。
艦橋に寄ったら、またヒッカム空軍基地に戻らねばならない。
「神鳥谷、帰りに郵便局寄っていいか?」
神鳥谷は思った。
この人は撃墜されたんだな。と




