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ヨコハマラグーン


「鷹村一飛曹はなんとか大丈夫そうだな。」


新海、ノア、加藤一飛兵の3人は、鷹村一飛曹を岩場の影に運び、ノアを中心としての止血等の救護措置を懸命に行うと、鷹村一飛曹の呼吸は徐々に落ち着いてきた。


「うん!そうだっちゃね!」


「ノア、本当にありがとう、君が居なかったら危なかったよ。応急救護はどこで習ったの?」


「私は海に出るのが好きだから、ライフセービングは基本だっちゃよ!」


ノアは至極当然といった感じで答える。


「あなたたち、ネイビーなんでしょう?ネイビーなら当然出来るわよね?」

新海と加藤は顔を見合わせる。

「ネイビーとは海軍のことさ。」

「確かにライフセービングは覚えるけど、君のようには出来そうもないよ。あの的確な動きと私達への指示など、ドクターかと思ったよ。」


「何言ってるっちゃ!私はただの市民だっちゃよ!」


ワハハ!!ハハハ!

一気に加藤一飛兵も和やかな雰囲気になる。

「いや〜、本当に有難うございます。ノアさんというのですね!私もてっきりドクターだと思いました!あれでドクターじゃないなら、お姫様ですよ!高貴で凛としていて、否応もなく勝手に体が動きました!」


「フフフ・・・センキュー。あなたの怪我も見せてちょうだい。手当てするっちゃ。」


「いや、こんな傷、大丈夫であります!痛いっイタタタ!!」


ノアが一瞬で間合いを詰めると、左腕を掴む。


「左腕、結構酷いわね、服脱いで、破片、取るわよ。」


「エッそうでありますか?!エッ?服?はい。エッナイフで?!エッエッエッ?逝ってぇ〜!!!姫!!死にますぅ!!!」


「姫じゃありません!だまらっしゃい!!ソラ!抑えなさい!」


「あっ、はい!」


「止めて止めて!!駄目だ伝わってない!!新海少尉!!英語で止めてって教えてください!!」


「おっおう、ドゥーイットだ!」


「ドゥーイット!ドゥーイット!!グオオドゥオオオーイットォ!!!」


そして彼もなんだかんだで一命をとり止めたのである。




「さてと、加藤君、大丈夫かね?」


「は・・・・はい。とにかく、楽になりました。姫、ありがとうございました。」


「どういたしまして、姫はやめるっちゃよ。」


「加藤お前、順応早いなぁ。まぁよし!次は今後のことだが、零観を隠さねばならんし、鷹村一飛曹も運ばねばならない。」


「はい。」


「幸い、この近くに海に面した洞穴があってな、そこに私も昨日隠れていたのだが、そこなら安全だ。」


「そうでありましたか。」


「零観も翼を折り畳めば幅5メートル程度になるよな?」


「はい、ご存知ですか?」


「もちろん知ってるし、操縦も出来るよ。ただ折り畳み方はわからないので一緒に来てくれ。ここから滑走して入り口まで行き、そこでやってみようじゃないか!」


「了解であります!」


「そうと決まれば!プリンセスノア!」


「もう!プリンセスじゃないっちゃ!そろそろ怒るっちゃよ!」


「ハハハ!ゴメンゴメン!ここで待っていてくれ!加藤と二人でヨコハマラグーンに機体を隠しに行ってくるよ!そしたら迎えにくる!」


「わかったわ、気を付けてね。」


「よし、行くぞ加藤君!!」

「了解!!」


そして二人は零式水上観測機を動かし、水上を滑走させてヨコハマラグーン入口まで到達した。


そこからがなかなか大変だったか、複葉の翼を折り畳み、転覆防止にノアのアウトリガー舟に結びつけて、ようやく洞穴内に乗り入れることができたのだった。


その後はノアのところに戻り、鷹村一飛曹を運びこむと、もうぐったりと疲労困憊であった。


それでもノアは一人自宅まで戻り、夕飯と救急セットを持ってきてくれるなど、本当に女神の活躍であった。


そして夕刻、ヨコハマラグーンに夕日が差して幻想的な光景が訪れる頃、女神は神々しく帰路に着いたのであった。


残された3人は、ランプの火が小さく照らすラグーンのなか、一日を無事に過ごせた奇跡に日本とハワイの神に感謝しつつ眠りにつくのであった。

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