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You made me angry

戦艦メリーランド。

戦隊司令官ウィリアム・サタリー・パイ中将以下の乗組員1,084人は、その瞬間まで、戦艦の主砲弾の直撃がもたらす衝撃がどのようなものであるか、自らに降りかかる暴力が、どのようなものであるか、全く想像出来ていなかった。


それは、世界史上最大の46センチ砲から発射された。九一式徹甲弾という神の鉄槌が振り下ろされたのだ。


しかし、砲戦のなかで、「どうせ当たらんだろう。」という空気もどことなく生まれていたし、戦艦メリーランドの装甲、防御力に対する信頼もあった。


戦艦メリーランドの装甲は、主砲前面装甲46cm、主砲天蓋13cm、艦橋装甲40cm、両舷の垂直装甲34cm、上甲板9cm、中甲板9cmであり、基本的に自身の40.6センチ砲の直撃に耐えられるように設計されている。


日本の戦艦長門、陸奥も同規模の主砲であるから、当然耐久できるものと思っていたのだ。



直撃の瞬間は、無音である。

重量1460キログラムの鉄の塊は音速を優に超えており、音というものを遥か後方に従えているからだ。


その九一式徹甲弾は、音もなく、堂々と、正面から、ぶち込んできた。


そして、九一式徹甲弾が命中を果たした地点は、戦艦メリーランドの左舷装甲から艦橋までの中間地点である。


同地点は上甲板から艦橋に向けて段々畑のような階層構造となっており、各段には、25口径5インチ単装砲等がズラリと矛先を揃え、それらが一斉に射撃を開始すれば凄まじい弾幕を形成することは容易に想像できる、言わば城塞であった。


しかし、それらの装甲は、九一式徹甲弾にしてみれば、紙と大差はなかった。


俯角17度という浅い角度で命中した九一式徹甲弾は、一瞬で上部構造物と配置に付いていた人員を何か別のものに変換させつつ、0.1秒後には上部甲板装甲に到達する!


上部甲板装甲に衝突すると、まずは先端の被帽という軟鉄部分が潰れながら装甲部分に牙をたてて喰らいつく!


そして被帽の下から現れるのが、最強の硬度を持つ弾芯だ!

被帽が潰れることで、弾芯は自らの硬度と莫大な質量エネルギーで自壊することなく、その破壊の力を敵の装甲に余すことなく集中させることが可能となる!


弾体は、ただ硬けれぱ良いというものではない、硬い鉄だけではすぐに壊れてしまう。

鉄を切るには柔らかい鉄が必要であり、製法としては日本刀と同じなのである。

つまり、九一式徹甲弾は、日本刀なのだ。


上部甲板装甲を易易と突破した最強の日本刀は、その他の薄い隔壁を突き破り、対空砲弾や5インチ砲弾を巻き込みながらその破壊エネルギーを宇宙の爆発のように撒き散らす!!


さらに0.2秒後、約10メートル下の中甲板装甲に到達!!

これも易易と引き裂いてメリーの体内を喰い荒らす!!!


そして下部装甲に8割ほど突き刺さったところで、九一式徹甲弾の運動エネルギーは終焉を迎える。


しかし、まだ終わらない。

一瞬後、信管が作動!内部の炸薬が大爆発を起こし、自らを飛散させて最後の破壊をもたらす!!


事ここに至り、凄まじい衝撃と轟音が艦内を駆け巡る!!


弩豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪貫唖唖阿吽!!!!!!

業業業業業業業業業業業業業業業業ゥゥゥ!!!!!!


ウィリアム中将以下の艦橋員は、突然下方向からの突き上げを受け、空中に放り投げられると、壁に床に激しく叩きつけられる!!


あまりに一瞬のことで、何が起きたかも解らないまま気を失ってしまう!!


臥臥臥臥臥臥臥臥臥臥臥臥臥臥臥臥ァァァ!!!!!!


激しい破壊が連鎖反応を起こす!!


アメリカ戦艦に特徴的な籠形状のマストが緩やかに傾斜し、犠犠犠犠犠犠犠犠犠!!!と軋みながら折れ曲がり、最上部の観測室が海中に没する!!


戦艦メリーランドは、主砲の直撃こそ免れたものの、一撃で中枢神経を破壊されて各部門との通信が断絶、艦橋員等も大ダメージを負い、その戦闘力を著しく失ったのであった。


天照大御神の神の一撃は、ヴァルキリーマリアをたった一撃で!容赦なく叩き伏せたのである!


西洋の女神は、日本の神を甘く見すぎた。


もっと簡単に言えばこういうことだ。


「お前は俺を、怒らせた。」

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