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隠密遠距離発射

第3水雷戦隊は時速約45キロメートルで南西方向に突き進む。


艦列は旗艦川内以下、駆逐艦4隻を1子隊として、4子隊16隻が縦陣列で続く。


左前方に見える敵艦隊は北東のカエナ岬方向に進んでおり、敵艦隊が変針しなければ相互の距離一万五千で反抗戦となる予定だ。


相互に反航しているので距離はあっという間に近づく。


数分後、敵艦隊後方から、駆逐艦隊十数隻が別れてこちらに変針を始めた。


観測員が報告する!

「敵の水雷戦隊も分離!こちらに向けて変針しました!」


双眼鏡を覗きながら橋本司令官は島崎艦長に話しかける。

「まあ、そうなるだろうな。」

「はい、遅いくらいですね。」


「敵戦艦群は針路速度を維持している。これなら、敵戦艦群に隠密発射してから対応可能だな。」


「はい。十分可能です。」


「敵さん、無防備な動きを見ると、酸素魚雷を知らんな。」


「はい、最大でも射程距離一万程度と想定しているでしょう。考えもつかないといったところでしょうか。」


「うむ、我が国が秘密裏のうちに開発に成功した酸素魚雷。遂に披露する時がきたな。さて観測員!距離はどうか!」


「先頭のメリーランドまで、およそ30000メートルです!」


「相互に反航となれば一気に近づくぞ。水雷長!相互に針路速度このまま、酸素魚雷は第3雷速として、発射時間を割り出せ!」


「ハッ!」


傍らに控えている水雷長は魚雷戦指揮装置の発射方位盤から敵艦の針路、速度、方位角、そして最適な魚雷の発射角を算出する!


「反航戦で再接近時の一万五千メートルに合わせますと、当艦隊時速45キロ、敵艦隊時速33キロ、魚雷の設定が第3雷速の時速89キロですと、ちょうど5分後が最適な発射時間となります!」


「うむ、その地点で隠密遠距離発射をしても、敵は気付くまい。」


観測員が報告する!

「敵戦艦二番艦以降がこちらに照準を合わせ始めております。」


「大和は遠ざかっている。射程距離の短い敵の戦艦はこちらを狙ってくるだろう。」


「それでは始めるぞ!各艦に通達!戦闘!砲雷同時戦用意!」


橋本司令官に続き、島崎艦長が命ずる!

「戦闘!砲雷同時戦用意!」


「左魚雷戦反航!左砲戦!」

「左魚雷戦反航!左砲戦!」


号令一下、大砲及び魚雷発射管は左舷に旋回する。

「目標、本艦は敵1番艦メリーランド!以下第1子隊は敵4番艦、第2子隊は敵3番艦、第3子隊は敵2番艦、第4子隊は敵1番艦とする!」


「目標、本艦は敵1番艦メリーランド!以下第1子隊は敵4番艦、第2子隊は敵3番艦、第3子隊は敵2番艦、第4子隊は敵1番艦了解!」


「方位角50度!敵速33キロ!射角80度!距離一万五千!第3雷速!!斉射6発!!」


「方位角50度!敵速33キロ射角80度!距離一万五千!第3雷速!斉射6発!!」


「発射を悟られぬよう、煙幕展開!!」


「煙幕展開!!!」


各艦艦首から煙幕が焚かれ、水雷戦隊全体が徐々に煙幕に覆われてゆく。


「一番管準備ヨォシ!」

「二番管準備ヨォシ!」

数分後、装填手から魚雷の設定が終わり、発射準備ヨシの報告が上がる!、


橋本司令官は号令をかける!

「各艦!発射始めぃ!!」


「各艦!発射始め了解!!」


島崎艦長も命令を下す!

「一番管!二番管発射始め!!」

水雷長が命令を下す!!

「一番!二番!用意打てェェ!!」


命令を受けると、93式酸素魚雷は魚雷発射管により2秒間隔で次々と発射!!


守護ッ!!座盤ァン!!守護ッ!!座盤ァン!!守護ッ!!座盤ァン!!守護ッ!!座盤ァン!!守護ッ!!座盤ァン!!守護ッ!!座盤ァン!!

魚雷発射は空気圧で押し出すため発射音は小さい。魚雷戦の前奏は静けさから始まるのだ。


酸素魚雷は一旦海中に没した後、規定の深度に浮上し、従来の魚雷ではなし得なかった時速89キロメートルという高速で海中の疾走を始めた!!


各艦から放たれた酸素魚雷は、全部で102本!!敵戦艦の未来位置に向けて、超高速でハワイの海中を突き進む!!




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