終わりに
終わりに
閲覧して頂き真にありがとうございます。
作者の乘と申します。
昨今のライトノベル界の流行りである"追放”や"異世界転生”から外れている本作、「ズヴェーリ 英雄叙事詩」をご一読頂きまして、感謝感激しております。
ありがとうございました。
突然ですが、私はこの「ズヴェーリ 英雄叙事詩」というシリーズを通して、学ぶ事こそ最高の娯楽という持論を体現したいと考えています。
モデルにしている人物や民族、国の歴史等をです。
特定のモデルを持ち本作に登場する、作者が読者の皆様に学んで欲しい要素を紹介しますので、一緒に振り返っていきましょう。
「ほえ~あの場面のあれって、そういう意味なんだ」となる事もあると思います!。
【1.ズヴェーリはロシア語】
まずタイトルにもある「ズヴェーリ」というのは、ロシア語で「獣」を意味する言葉です。
何故ロシア語なのかと言えば、物語の舞台がロシアをモデルとしているからです。
【2.聞き慣れない名前や文字は、基本的にロシア語】
作中の舞台であるカラハット島はロシアの「サハリン州(Сахалинская область)(※日本では樺太島)」をモデルにしています。
カラハット州カラハット島が属する"北方の大国”(ルーシ)は、ロシア(Россия)をモデルにしています。
「カイ・クラーッシヴィ・トゥルニール(Каи Красивый турнир)」や「トゥリーニル(Тренер)」もそれぞれロシア語で、「カイ美しい大会」「訓練士」を意味する言葉です。
地名も元ネタがあるんですよ。
【3.地名や歴史、国にはモデルがある】
1.ユジノハラ市は「ユジノ・サハリンスク市(Южно-Сахалинск)(※豊原市)」がモデル。
オゼロ・アインスコエは「オゼロ・アインスコエ(Озеро Айнское)(※多来加湖)」がモデルです。
(※)の中が気になっている皆さんにお教え致しましょう。
実はこのサハリン州はかつて日本の領土だった事もあって、従って日本固有の名前が存在するんです。
それが(※)内の呼び名です。
2.作中の"北方の大国”や"南方の帝国”のモデルも、それぞれロシアと日本です。
日本出身のサナダが「多来加湖」と教えた場所が、現地ではロシアの言葉で「オゼロ・アインスコエ」と表記されていたのも、そういう事情があったんです。
そして、作中で語られるこの島の歴史は、日露戦争から第二次世界大戦時中の戦役を中心に、実際の歴史がモデルにされています。
主に長老が語っていた部分ですね。
3.カイ市の行政区分である「アンドレエフグラード区」「チェレミソフグラード区」の2つは、「ユジノサハリンスカヤ・オペラーツィヤ(Южно-Сахалинская операция)(※樺太の戦い)」でロシア軍を率いた人物から引用しています。
作中で長老やイが語っていた1世紀前の歴史、南方の帝国(日本人)が島から疎開する為に引き揚げる途中、ロシアとの間で発生した戦いです。
他にもポロナイスク区は現在の地名の1つで、日本時代には敷香と呼ばれていました。
地名の点ではその他にも大地の神を意味する「コタンコロ」、鳥の憩いの場を意味する「チロット」、人の住む場所を意味する「カイ」等が登場しますが、これはロシア語でも日本語でもなく先住民のアイヌ民族の言葉です。
【4.先住民や神話にもモデルがある】
先住民のアイヌやウィルタというのも実在する民族です。
日本やロシアの先住民、少数民族である訳です。
作中では「オタスの杜」での悲しい歴史や、物語の重要な要素であるアイヌの宗教観「カムイ信仰」を紹介しました。
ウィルタにも信仰がありますが、アイヌとは異なります。
アイヌは「アミニズム」であるのに対して、ウィルタは「シャーマニズム」ですが、作中ではそれを交ぜました。
ズヴェーリの名前、ホルケウや「◯◯カムイ」の名前がついているものは、全てアイヌ民族が神として捉えた自然や、動物達。
アイヌ民族の宗教観を知れる要素ですので、是非皆さんも興味を持って頂きたいです。
【5.実在の人物がモデルのキャラクター】
<先住民>
1.山辺安之助は南極探検隊の初代隊員がモデルです。
2.シャクシャインは、江戸時代に日本に対して蜂起したアイヌがモデルです。
3.ポンヤウンペとオキクルミは、アイヌの神話に登場する半人半神のカムイがモデルです。
4.千徳太郎治(タロンジ)は、アイヌの教育者がモデルです。
5.山辺家の飼い犬である犬型ズヴェーリのシタロは、南極地域観測隊のタロとジロがモデルで、アイヌ語で犬を意味するシタとタロを合わせたキャラです。
<北方系>
1.リディア・ウラジーミロヴナ・リトヴァクは、ソ連時代史上2人しか居なかった女性エースパイロットがモデルです。
<南方系>
1.タケダは、戦国時代の武田信玄がモデルです。
2.サナダは戦国時代の武田家家臣、真田昌幸、信之、信繁親子の混合キャラ。
立場は昌幸、身長は信之、砦に立てこもる設定は信繁がモデルです。
3.コウサカは戦国時代、武田家家臣の高坂昌信がモデルです。
4.ツジは第二次世界大戦時中、マレー作戦、ガダルカナル島の作戦等で参謀として活躍し、「作戦の神様」「軍の神様」と称された人物がモデルです。
5.ニシは第二次世界大戦末期、硫黄島の戦いに参戦した大日本帝国軍人、西竹一(バロン西)がモデルです。
ウラヌスも、彼がオリンピックに乗馬の種目で参加した時の馬です。
6.サカイは第二次世界大戦時中に、零戦のエースパイロットとして活躍した坂井三郎がモデルです。
作中で彼が自称した「大空のサムライ」は、戦後彼が著した自叙伝のタイトル。
~終わりに~
突拍子もない終わり方ですが、私の創作意欲を掻き立ててくれたロシアや日本、島や先住民族には感謝しています。
これからも気が向いた時に、シリーズを更新していくかもしれません。
読者の方々にはこれからも「ズヴェーリ 英雄叙事詩」シリーズをご愛読頂ければ幸いです。
それでは。
「ズヴェーリ 英雄叙事詩」を読んで頂きまして、本当にありがとうございました!!。
よろしければ、続編の「ズヴェーリ 英雄叙事詩~蒼い狼編」も是非!!。




