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本日、2話投稿しています。


 可愛い女の子と言うものは、それだけで得だが、それだけで妬まれもする。

  それはそれで大変だよなぁと、他人事ながら思う。


  もちろん私なんかは、そんな心配するほどの容姿を有してはいないので、本当に他人事だが。

 

 でもでも、やっぱり可愛い子は得なのだ。


 そのピンチを救ってもらえるチャンスも多いのだから。



  乙女ゲームの内容を思い出しながら私は思う。


  “ヒロイン”が可愛いからこそ、上手くキャラたちを攻略出来るのだろう、と。

  いくら性格が良くたって、それを知ってもらう段階に持っていくことすら普通は難しい。いくら数多の偶然が重なったって、向こうから興味を持って貰わなければ、その機会は永遠に訪れないのだ。

  そうして、普通はそうなのだ。

  いくら面白い性格をしていたって、印象に残らなければ意味が無い。そこに“可愛い”が加わるだけで、好感触になるのだから、やっぱり可愛い子は得だ。


  例えば私が木に登ったって、はしたないとか、変なご令嬢が居たなくらいで終わるけど、“ヒロイン”がやればそれなりにインパクトが出、『面白い女』となるわけである。

  “可愛い女の子”が“木に登る”と言うギャップが必要なのだ。


  少々自虐とネガティブがすぎるかも知れないが、的外れでもないと思う。

  まぁ、地味でも普通でも何やかんや上手くいくパターンもあるだろうけど、難易度は果てしなく高いと思う。

  別に自分を卑下しているわけでも無く、可愛い女の子を妬んでるわけでもなく、そういうものだよなーと言う感想だ。


  私自身、特に今の容姿に不満はない。

  それなりに整っていると思うし、母親譲りのこの栗色の髪の毛も、父親譲りのグリーンの瞳も気に入っている。

  だから、ただの感想であると強く主張する。



 *****



「今のところは、それ以外に何も無いの??」


  新学期が、始まって3日ほど経っている。ゲームの進行が実際の時の流れとどんな感じなのか分からないけれど、そろそろ誰かと何かあっても良いのではないかと思う。

  確か初日にあったはずだ。

  風に飛ばされたハンカチを取ろうと《木に登る》か《困って途方に暮れる》か《諦める》か、選択するやつが。

  それによって出会う人が変わり、流れも変わるイベントが。


  《木に登る》を選べば、その姿を第二王子に見られ、笑われてしまい、少し気に入られる。その後、そのことを、ちょいちょいからかわれ、まぁいい感じに進展していく。

  《困って途方に暮れる》を選べば、ユリシリルに、取ってもらえる。見た目とのギャップが良いシーンだ。……それから、その縁で彼と話すきっかけを掴む。

  《諦める》を選べば、それまで。しかしながら、教師に届けられており届けた人物がシルヴァンと知り、その後お礼を言うイベントが発生する。


  だったかな。

  人通りのないところでの話のはずだし、噂になるほどの出来事ではないが、何か知らないだろうかと、一応聞いてみたのだ。ジャックは、私よりもずっと情報通なのだ。

  普通、噂話は女子の方が回るのが早いというのに。情けない話である。



「特にこれと言った話は無いかな? 男子に囲まれて困ってそうではあるらしいけど」


  うーん、つまりはそのイベントが起きなかったと言うことか、“諦めた”か。

  他の選択肢だったら、その後キャラの方から接触があった気がする。それとも“まだ”無いのか。現実は、向こうから来ることが無いということか。

  分からん。


「……何? 君も彼女が“彼ら”と接触するのを警戒してるの? それなら見てないで自分から行くべきだと思うよ?」


  その事について考えていた表情から、彼女に難色を示していると思われたようだ。まぁ、ジャックには“彼ら”に“好意がある者”と思われているから仕方ない。

  確かに好きは好きだけど、そうじゃないんだ。別に近付きたいわけでも、彼らに近付かないで! なんて思っているわけでも無い。そんな権利もないし。

  しかしながら、そんなことを説明してもイマイチ分かってもらえない。話を聞くだけで十分。見れるだけで十分なんて、健気で不憫と思われるだけなのだ。

  “ファン”と言う感覚があまり無いから仕方が無いのかもしれない。相手が舞台俳優ならまだ分かってもらえたかも知れないけど、“彼ら”は、同じ学年の生徒なわけだし。

  彼らの“ファン”は多いけど、私のような“ファン”は少ない。みんな少なからず恋心があるものなのだ。それがどんな形のものであれ。



「だから、そういうのじゃないって言ってるじゃない。私は彼女について思うところは無いわ」


  ため息混じりに返せば、ジャックは胡散臭そうに私を見る。“彼ら”についてそう返せばいつも返ってくる眼差しである。

  そもそも私ってそんなに“彼ら”に恋してるように見えるのかしら? どうなんだろう。でも、1人に対してじゃないし、複数を愛すると思われるなんて心外なのだけれど。


「まぁ、本気じゃ無いのは分かってるけど。それでも見てるだけよりも、行動するべきとは思うんだよね~」


  ふぅと息を吐きながら告げられた言葉に、少し安心する。本気だと思われていたら困る。


「見てるだけだからいいのよ。近付いて余計なことを思いたくないの。純粋に物語の登場人物のように感じていたいのよ」


  そう、見ているだけだからいいのだ。

  無責任に格好良いと騒げるし、自分の中のキャラのイメージを守れる。

  かなり自分勝手な言い分だ。自分の理想を押し付けて、“本当”を見ない宣言だ。

  生きている彼らには、とても失礼だ。

  けれども、余計に近付いて自分に余計な感情が芽生えるのが怖いのだ。“関わらない”と決めたから。感情移入は禁物である。

  私は私に出来ることをする。

  私はずるいのだ。


「それがどうかと思うんだけどね。俺は……」


  小さく呟いて紅茶を飲む。

  ゆっくりとカップを置くと、ジャックは意味ありげな視線をこちらに向けてくる。


  ん?

  と思えば、ニヤリと笑ってジャックは言う。




「で? 4年に上がる前から妙にソワソワしてたけど、その原因は彼女ってこと?」


閲覧ありがとうございます!

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