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本日、2話投稿します。

 新学期、“ヒロイン”が編入して来た。


  庶民だと言うことと、“光魔法”が使えるとあって、それなりに話題になったから、知り得た情報である。

  クラスは一緒ではないので、風の噂と言うやつだ。


  今まで攻略対象とも、同じクラスになったことは無かった。けれども、選択科目で一緒になった時や、学食で見かけたり、とにかく遠目から見れるだけで十分だった。

  それだけで、幸せなのだ。


  キャラが!

  イケメンのあのキャラが!

  生きて、そこに居るのである!

  画面越しではなく同じ空間に!


  それ以上の幸せがどこにあるのか!


  近付こうなんて烏滸(おこ)がましい。



  ……ウソ。

 もっと、美人に転生していたら取り巻きくらいには、なったかもしれない。もっと近くで拝見したい。

  でも所詮はモブ。

  身の程を(わき)えますわ!


  だって、私が何やかんや動いたせいで“ヒロイン”に支障が出たり、変なことが起きたりしたら怖いもの!

  責任取れない!

 

  悪役令嬢も別段、性格悪くないし。

  ゲームをやってる時は、“ヒロイン”視点だったから、やっぱり邪魔だし意地悪だなって思ってたし、やりすぎの所もあったけど、今のところそういう印象はない。

  遠目からだけど、別にワガママ高飛車令嬢って訳ではなく、むしろ高貴で美しくてみんなのお手本の模範生。上位貴族として、生徒たちを正す役目があるから口出しする機会が多くあり、それが高圧的に見えなくもない、と言う感じなのだ。

  その辺はゲームとは違うのかもしれない。“視点”が、違うと見え方も違うということかも知れないが。

  裏ではどうかまでは、さすがに分からないけれど、そういう感じでも無さそうなのだ。勘違いされやすそうではあるが。如何せん、悪役顔なので。


  これが“ヒロイン”の登場によってどう変わってしまうのか心配だが、よっぽど“ヒロイン”がお花畑な感じでない限り、彼女が足を踏み外す心配も無さそうだ。あの地雷を踏みまくる選択肢は、さすがに現実味が無い。

  つまりは、やっぱり……全ては“ヒロイン”にかかっていると言うことだ。


  もしも悪役令嬢が足を踏み外しそうになったら、どうにか関わらず阻止しようと頭にメモする。



  はてさて、その、“ヒロイン”であるが、ゲームの通り、第二王子とシルヴァンとサポートキャラ・コナーが居るクラスになったようである。もちろん、悪役令嬢もそこに居る。

  ゲーム通りである。


  あぁ、同じクラスだったらめっちゃ面白いのに! リスクあるけど!

  なんて、少しだけ悔しかった。


  そのクラスの人たちは、それどころじゃないみたいだけど。



「王子様と氷の貴公子様と同じクラスになった! って大半の子は浮かれてたみたいだけど、話題の子も同じクラスで、中々緊張感に包まれてるみたいだよ」


  紅茶を手に笑いながらそう話すのは、ジャック・ハリウェル。伯爵家の三男で私の大事な情報源……もとい友人だ。


  何でも攻略対象キャラたちと仲の良い友人が居るらしく、私はその話を聞くのを楽しみにしているのだ。

  もっとも彼は攻略対象云々、知らないので、私を顔の良い男好きだと思っている。ちょっと人聞きが悪いので、“ファン”だと言うことにしている。彼らの“ファン”は山ほど居るので不自然は1つもない。


「まぁ、確かにそうなるわよねぇ。ちょっとその状況見てみたいとは思うけど、その空間に入るのは嫌だなぁ……」


  そのクラスの状況は、容易に想像出来る。

  無知な庶民が何かしでかさないか監視する者、心配する者、そもそも庶民が彼らと同じクラスになるなんて! と怒る者、これから起こるかも知れない騒動を思い、巻き込まれたくないと願う者。

  様々居るだろうけれど、とりあえず、和やかな空気で、『困ったことがあれば気軽に聞いてね!』なんてことは無い。あったとしても、『分からなければとりあえず大人しくしてて! 余計なことすんな!』くらいの含みはあるものになるだろう。怖い。

  その渦中に居るくらいなら、外から傍観するに限るぜ。


「だよなー。しかも、彼女めっちゃ可愛いらしいじゃん? だから余計に女子が、ね。男子は男子で、何も考えずに『困ったら頼ってね!』なんて、話しかけるから火に油。バカじゃねぇのって感じ」

「うわぁ」


  思わず声が漏れた。

  いかんいかん。

  だけど、その瞬間の教室の空気を思うと……。

  脳天気な男子。睨む令嬢たち。“ヒロイン”がどう言う反応をしたか分からないけれど、気まずい空気を感じたのは間違いない。よっぽど、じゃなければ。

  さらには、それを見届けたモブ。

  間違いなく教室の空気は、氷点下を記録したことだろう。

  つら。


  でもまぁ、仕方ないっちゃ仕方ないかも知れない。

  “ヒロイン”であるフェリーナ・ミルズ……名前がどうなるのか分からなかったが、確認したらデフォルト名のままだった……は、乙女ゲーのヒロインらしく可愛らしい見た目をしている。

  貴族のご令嬢と変わらないくらいの白い肌、すらっとした手足、背は高くないがそれが女性らしく愛らしい。ストロベリーブロンドの髪の毛はさらさらで、そこまで手入れが出来る環境ではないだろうことから、そういう毛質なのだろう。羨ましい限り。ヒロイン補正と言うやつだろう。羨ましい限り。

  と、顔立ちもどちらかと言えば可愛いタイプで、さらに言うと手助けしたくなるタイプ。顔立ちだけで勝ち組だ。ずるい。……ヒロイン補正と言うやつだ。羨ましい限り。

  っとと、本心がちょいちょい漏れてしまった。失礼。


  んでまぁ、そんな愛らしい女の子が、いきなり貴族の中に放りこまれた姿を見れば、誰だって庇護欲をそそられるものだ。

  面倒なことが起きそうならなおさら。

  ただの親切心。正義感。ほんのちょっとの下心、と言ったところか。

  しかしながら、その親切心、何故もっと考えてあげられなかったか。

  面倒事を察していたら尚更。そこ考える頭があるのなら、何故その行動がまさに面倒事を引き起こすと考えなかったか。


  そう思えば、嫌な声も漏れると言うものだ。



「せめて、誰もいないとこで言えばまた違ったのに。好感度もクラスの空気も……」

  ため息混じりに私が言えば、ジャックも苦笑する。

「そうでも無いと思うよ? そもそも、“誰もいないとこで”なんて無理じゃん?? そんな状況な時点で突っ込まれるでしょ」

「あぁーそっかぁ。つまりは、男子は傍観が正解??」


  ジャックのもっともな意見に納得する。可愛い女の子に男が手助けしようとすれば、角しか立たない、と言うわけだ。しょうもない嫉妬だが、それもまた仕方ないと言うもの。


「それは確かにそうだけど、まぁ、無理でしょ。可愛い女の子を見たら手助けしたくなるのが男心と言うものだからね」


  ま、そうでしょうな。



「つまりは、起こるべくして起こった……」



  それが攻略対象キャラじゃないだけまだマシか……と思いながら呟けば、ジャックは苦笑しながら頷く。



「いずれ起きたことだろうね……」



閲覧ありがとうございます!

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