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45『だって、私はヒロインなので』

私がこの世界のヒロインだと気付いたのは、14歳の時。


あ、ちょっと、やばいやつって、思った?

はい、正解!

自分でもね、大分、やばいと思うよ!


始めは、魔力暴走による妄想かな?って、思った。友達に借りた恋愛小説を読んだばかりだったから、それの影響で都合の良い夢を見たのかなって。



……でもね。

違ったの。



夢や妄想にしては、出来すぎてた。



自分じゃない人の記憶、それはこことは違う世界で。こことは違って魔法なんてなくて。だけど、ここよりもずっと、不便がなくて、魔法みたいな力がいっぱい溢れていた。

あんなに、見たこともない物を想像する力は、自分には無い。


たぶん、前世ってやつなんだなって思ったの。


そうやって認めたら、さらに色々思い出してね。自分の姿を見て、改めてこの世界のことについて疑問を持ったの。


前世の私は乙女ゲームが好きだったみたい。もちろん、恋愛小説も少女漫画も好きだった。

まぁ、あんまり外に出るのは得意ではない、大人しい性格だった。


それは、今でもあまり変わらなくて。

恋愛小説が好きだし、この世界に乙女ゲームがあるならやってみたいと思う。それに似たようなものが作れたりしないかな?って、少しだけ思ってる。



そうそう、それでね、私のこの見た目と名前が、ある乙女ゲームのまさにヒロインだったの!

偶然にしては出来すぎてるなって、思っていたら、王国から連絡が来てね。まずは、魔力が発覚したことにより、魔法学園に転入することと、ある程度基礎を学んだら王立クロライト魔法学園に編入しなければいけないって言う話だった。


その、『王立クロライト魔法学園』って、まさにその乙女ゲームの舞台じゃない!

しかも、途中編入って、まさにじゃない?!

私は慌ててこの国の第二王子の名前を調べた。

大変、見目麗しくって、人気だから姿絵まで出回っていて、まさに、彼だった。乙女ゲームの攻略対象。


残念ながら、他のキャラクターについては、分からなかったけど。でも、その可能性が高いと思った。


だったら、もしかして、“彼”に会えるの??


どんなに好きだって、画面の中からは出てきてくれなくて。

私は一方的に見ることしか出来なくて。

自由な会話も出来なくて。


その、一方的なものが、もしかしたら、そうじゃなくなる?

見てもらえるの?

それも、ヒロインとして??


そう思ったら、少しだけ期待してしまって。

そのために頑張ろうなんて思ってしまったのだ。


たぶん、本来のヒロインは家族の生活のために真面目に頑張ったのだと思う。偉いよね。

でもね、私はそんな邪な気持ちで、推しに会いたいなんて言う不純な気持ちが一番の原動力だった。申し訳ない。

そりゃ、家族のためって気持ちももちろんあったよ!応援してくれたしね!


それから、ゲーム上のヒロインが色々言われていたり、虐められたりすることを思い出して、貴族特有のルールとか、平民との違いなんてものも教えて貰って、真剣に学んだ。

だって、それで推しに嫌われたら困るもの!

ヒロイン補正があったとしても限度があるでしょ!しっかり勉強しとかないと!


そうしたらね、うん。

そりゃぁ、うん、虐められるかもなーって、ちょっと思ったよ。

どうなるかは分かんないし、偶然とか向こうからって言うのもある。でも、郷に入っては郷に従え。今まではこうだったもん!って一方的に言ったところで、知らんがなって感じだよね。まぁ、こっちからしたら何がそんなに偉いのか、コノヤロー!って部分もあるけどね。お互い様だと思う。

でもね、とりあえずは学んでみるべきだよ。

その上で、ここはおかしくない?こうした方が良くない?って、していくべき。いきなり入ってっていきなり批判なんて、受け入れられなくて当たり前。それに、向こうの方がそこでは人数が多いのに。無理がある。

そう考えるとヒロインもちょっと、融通が効かないと言うかなんと言うか。

まぁ、ゲームのキャラクターにそんなこと言っても仕方ないし、少しくらい無鉄砲じゃないと、ゲームが進まないんだろうな。きっと。


出来るだけ、問題を起こさないように、虐められないようにを、それから推しを観察するって言うのを目標に、学園に編入したのだ。



学園に入ってまずしたことは……いえ、あれよ。

担任がね、まさに、推しだったの!

忘れていたわけじゃないし、それを期待していたんだけど、実際に自分のいる教室で、一番前に立ってこちらを見る先生を見たら、泣きそうになってしまった。


だって、推しが!

生きて、動いて、そこに居るのだ!

同じ空間で息を吸って吐いてるのだ。

信じられない。


なんて、ご褒美なの!


はぁ。


実物は、思っているよりも、ずっとずっと格好良くて!


私、この世界が乙女ゲームだろうが何だろうがどうでも良くなっちゃった。

そう、まずしたことは、ヒロインの放棄だ。

色々考えてたのにね。


一目で持っていかれちゃった。

いや、元々推しだったからね。

一目惚れも何も……って感じなんだけれど。


仕方ないじゃない。

チャンスがあるなら追いかけたい!って、思っちゃったんだもん。


あぁ、ヒロインで良かった!

なんて、両手を広げたくなったよ!



問題は、そうゲームの強制力とか、そもそもここが現実なのか、ゲームの世界そのままなのか……なんだけど。


今のところ、多少の強制力は感じることがあるけれど、絶対じゃないってところかな。

それと、この世界については、ステータス画面が表示されるわけでも無いし、たぶん、台詞の選択肢が出るわけでもないってことは、ただ似てるだけの別世界ってことだと思う。

つまり、ゲームでは無い。


と、言うことは!私は自由!

私がヒロインである必要はない。


それから、先生をゲームみたいに攻略出来るかは謎ってこと。

だって、先生は隠しキャラだ。

一回誰かを攻略して、尚且つ成績も全て優を修めてなければいけないって、中々ハードな解放条件なのだ。

だけど、ここは2週目はない。

つまりは、先生は攻略対象外では?って思うのだ。


だけどね、私がヒロインである必要が無いのなら、ゲームの通りにする必要も無いのだ。


誰かと恋人になる必要なんてなく、普通に話しかけに行けば良いのだ。だって、担任だし。


それはもう、攻略なんてものじゃない。恋愛だ。

恋愛で、好きな人に近付くには?

話しかけるしかないでしょ?何かキッカケを作らないと!

……これが前世、陰キャの限界!

しょうもないとか言わないで!乙女ゲームなんてやってたって、恋愛が上手くなるわけじゃないの!!


と、言うわけで、私の目標はまず、先生に認識してもらって、あわよくば会話を楽しみたい!と言うものになった。



それでね、あわよくば学園の先生になって、その後頑張ろうって思ったの!


生徒のうちに恋人になれても、引き離される可能性や、周りに悪印象を与える可能性が高いでしょ。だからね。勝負は、卒業してからよ!


先生を目指すって言うのも、結構無謀なんだけど、無駄ってことはないと思うの。この学園を好成績で卒業することは、良いことに間違いはないし。



それにね、私ってヒロインでしょ。

前世の自分じゃ、比べ物にならないくらい美少女なの。これは、自分で言ってて何言ってんだって感じなんだけど、半分他人事だから思えることでもあるの。

それにね、謙遜って時に嫌味だなって、思えるくらいには整ってるのよ。うん。


それでね、その目立つ容姿に加えて、平民で光魔法が使える生徒。

そんな生徒、関わりがなくたって、覚えててもらえるのではないだろうか。

じゃぁ、めちゃくちゃ関わったら?


忘れられない生徒になるのでは?


そんな生徒が先生になって戻って来たら?


ちょっとは、こうグッと来ないかなぁって。

大分、浅はかではあるのだけど。うん。


でもね、それもドラマっぽいって、思うの。と言うことは、ヒロインである私に、少しくらいボーナス貰えないかなぁって。


いやいや、そこまで他力本願じゃないよ!

ちゃんと頑張るよ!未来の私が!


なんて言う、未来の自分に丸投げ!

現在の自分は、推しをただ堪能するだけ、と言うなんとも心許ない計画を立てたのだ。



まぁ、何とかなるでしょ。

だって、私、ヒロインだもの。


バッドエンドも存在するって、分かっているもの。

家族のために、きちんとした職業につきたいんだもの。

推しに嫌われたくないもの。


ヒロインらしく、慎ましやかに頑張ることにするよ!



閲覧ありがとうございます!


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