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「でも、気付いてて見て見ぬふりは、後々心の平穏を乱すので、厄介です」
正直な気持ちを言う。
そう、綺麗事とか正義感とかじゃなく、それが一番の気持ちだ。
たぶん、見て見ぬふりが一番ラクだ。
本来なら無関係だし、それが自然。
だけど、もし、想定内いや、それを超える最悪な出来事が起きたら??
私はそれを、無関係だと、私にはどうしようもなかったと、シラを切り通せる?
自分を騙し続けられる?
それとも、それを全く気にしないほど強い人間だろうか??
そう考えると、全て否。
たぶん、目の当たりにしたら、後悔する。
アホなヒロインに溺れる攻略対象。
アホなヒロインに陥れられる悪役令嬢。
その後に起こる、出来事。
仕方ないって、それぞれの行動の結果でしかないって、そんな風に割り切れるだろうか。
何か出来たかもしれないのにって、思う気がする。
後悔が一番、面倒なのだ。
何よりも厄介だろう。
だから、問題が起きそうなら、どうにかそれを対処したくなる。
それが面倒ではあるけれど、たぶん、私の中で一番平穏な行動だ。
それによって、後悔することになったら、それが一番面倒ではあるけれどね。
面倒の回避のために、面倒を片付けると言うわけだ。心の平穏、これ大事。
で、ここで大事なのは、表立って動けば目立ってその後面倒なことになるので、出来るだけ関わらないように、どうにか片付けようってことだ。
そういうこと。
関わらない……って言うのは、やっぱり、第一目標だ。
「なので、見て見ぬふりは私の中では、良い選択じゃないんです。出来るだけ、目立たないように、誰かに押し付けつつ面倒を回避するのが最高ですね」
……押し付ける相手、いないけど。
……ジャックあたりを上手く動かせれば良いのかな?なんて、思う。
ほら、完全にモブでしょ。
所詮、小心者だもん。自分では動かないよ。だって、そうなったら、誰かに目を付けられて、『君、優秀だね?』みたいな感じに勘違いされちゃうからね。面倒でしょ。荷が重いし。
なんて、思っていたのだけど、フェリーナは何故か笑ってる。
「そういう感じがすごく、“っぽい”よね」
なんて、言って。
「私のは、理想であって、出来るわけじゃないからね!」
と、情けない事実を返すけれど、何ともフェリーナには届いていない。悲しい。
「ん、まぁ、そんな私のことは良いのです!目的なんてないんですから!!貴女は、結局どうなんですか??」
でも、これ以上は水掛け論にしかならないので、話を戻す。
私が一番知りたかった……と言うか、これからについて、一番大事なのは、“ヒロイン”であるフェリーナの動きを尋ねる。
「え、あ、そうですね!私ですね。……と言っても私の願いは、単純なものです。“無事に”学園を卒業したい、と言うものなので」
ん?
「そこは、バーナード先生を攻略したいじゃないの??」
思わず、言葉に出てしまう。
だって、推しに会うために学園に入るの頑張ったんでしょ?
それって、先生よね?だから、通ってるのよね?
ジャックから話を聞いた時は、一概にそうとは言えなくない??と、ちょっと腹が立ったけれど、結局は、そう言うことだったってことでしょ?と、頭に数個は疑問が浮かぶ。
「えっと、まぁ……あわよくば、先生と上手くいけたらなぁとは、思いますけど所詮、生徒と先生ですし。在学中は、勉強熱心な可愛い生徒が居るくらいな感じで良いかなーって、思っているんです。下手に問題になって、引き離されたら困るので。……そもそも、一周目しかないこの世界では、隠しキャラとのイベントが起きるのかって言うのは、疑問がありますし」
……まぁ、確かに。
私もそれに近いことを考えたから、隠しキャラのことは、一先ず無かったことにしたのだ。
一周目しかないため、攻略ルートがないのではないか?自然とは知り合わないのではないか……ということだ。
だけど、ここはたぶん、現実で選択肢は出ないし、ステータス画面も好感度の数値もない。攻略ルートなんて無いし、会おうと思えば、誰にだって会える。
知り合えるかは、別問題だけど。
特に、バーナード先生なんて、担任だから、誰かを攻略してから知り合おうなんて、律儀なことをする必要も無い。普通に、担任の先生として話しかけに行けばいい。
そんなの、乙女ゲームのなんか関係ない普通の恋愛の基本である。……たぶん。
「まぁ、確かに」
「なので、私は在学中に他の人とフラグを立てたくないんですよ。ありがちな感じで、高位貴族を侍らせて!みたいな展開も断固阻止したいんです。先生に勘違いされたくないんで!」
……実に切実で、堅実な願いだ。
乙女ゲームの通りに進んだら、確実にそう言われるだろうし、目立つし、ウワサにもなるだろう。 最悪、バットエンドなことにもなる。
「……なるほど、それで事件が起きたわけね」
それで、私は納得する。
そうやって、フラグを潰したわけね。出会いのイベントをことごとく回避したわけだ。
それにしても、よく逃げ切ったと思う。攻略対象に強制力があるのなら、ヒロインにもあっておかしくないのに。
「……はい。すみません。……でも、私も大変だったんですよ。何も無いところで躓いたり、特定の場所に行かなきゃいけない気分になったり、行かされたり……それ以外にも、そもそもクラスの空気が氷点下だったり」
「………お疲れ様でごさいます」
思わず頭を下げてしまう。
攻略対象も、大変そうだったけど、それ以上にヒロインも大変だったのね。
出会いのイベントくらいこなせよ、コノヤロウ……と、思ったのは申し訳ない。
「それで?そこまでして、回避して、結局先生とのフラグはあるの?ないの??」
「そうですね……。ゲームと違って普通に話が出来るので、知らなかったことを知れて最高と言うのが一番の感想ですが……ゲームにあったようなセリフを言うことはありますね。私自身、イベントを起こす気がほぼないので、起きるかどうか分からないって言うのが正直なところです」
イベントを起こす気がほぼない?
その様子じゃ、推しどころじゃなくガチじゃん?完全に先生をロックオンしてるよね??
なのに、フラグ立てる気が無いってどういうこと??
「えっと、一応、最終目標としては、先生に好きになってもらいたいんですけど、学生のうちは、そこまで求めてないんです……」
なんて、思っていたら、フェリーナは説明をしてくれた。私ってやっぱり分かりやすいの?!なんて、少し落ち込む。
「そうなのね」
「そうですね。それに……実際、このゲームの先生ルートって、結構無理な話じゃないですか。誰にも気付かれないってのもおかしな話だし、卒業してすぐ結婚なんて、上手くいくわけないし」
言われてバーナード先生ルートを思い浮かべるけど、イマイチ思い出せない。ごめん。あんまり思い入れが!
でも確かに、先生と生徒ってわりに、特にこう致命的な障害もなく穏やかな感じだった気がする。
まぁ、全体的にこの乙女ゲーム、緩いんだよね。国を巻き込んでの陰謀?!とかも無いし、お家騒動とか言うわけでも、駆け落ちエンドとか心中エンドなんて言うのもないし。
平和なのよ。
そこが好きだったけど、物足りない人には足りないのかもなーとも思う。
だけど、転生したのがここで良かったと、本当に思う。そんな過激な世界、怖すぎてやってられない。もう、すぐ諦めちゃう。いや、あれかな、知ってるからこそそうならないように、奮闘するのかな。それ、完全に巻き込まれ案件でしかないな。
うーん、なんてどうでも良いことに頭を巡らせてしまう。
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