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目的……と、問われたって、私に目的なんてありはしない。たぶん、フェリックについて、聞いてきたんだろうけど、私的にはどうこうするつもりもないし。出来るわけもないし。
早く飽きることを願うのみ。
「目的……ね」
どう説明しようか……と、そう呟けば、フェリーナは、少し緊張したように、肩を揺らす。
いや、何か悪役令嬢にでも詰め寄られてるみたいな反応やめてよ。私、そんなに怖い雰囲気は出てないと思っているんだけど……??
「私、見ての通りモブでしょ。だから、出来れば平穏に、物語に関わることなく、外から……出来るだけ安全な場所から、巻き起こる物語を眺めたい……って、言うのが願い、かな?」
私の言葉に、フェリーナは目をパチパチとさせて、困惑している。うん、美少女の困惑顔、良いわね。
「……え?じゃ、じゃあ、フェリックは??え?私、てっきり、推しキャラゲットしようとしてるのか、それを足がかりに、他のキャラと知り合ってどうこうするつもりなのかと……」
困惑のあまり、口調が乱れるフェリーナ……。私って、傍から見るとそう見えるのね……と、落ち込む。
思っているよりも、フェリックが近くに居る弊害がすごい気がする。やっぱり迷惑だな、あいつ。
「それは、不可抗力ね。……というか、あなたのせいなんだけど」
完全に八つ当たりなんだけど、これくらいの嫌味は許されると思うの。
案の定、フェリーナは、何のこと?って感じに首を傾げている。うん、当然だよね。自分の行動がどう繋がるかなんて、誰にも予想不可能なわけだし。
「貴女、入学してから今まで、攻略対象の誰にも会ってないでしょ?そのせいで、少し前に“ゲームの強制力”みたいなものが働いのよ。知ってる??」
別に怒ってないんだけど、何か責める感じになっちゃったから、フェリーナが完全に萎縮しながら頷いている。
「さすがに一定の場所に彼ら程の人たちが現れ続けるのはまずい、と言うか、単純に怖い……と、思ってね」
うん、思ったのよ。思っちゃったのよ。なんで、そんなこと気にしたのかな。関係ないのに。しかも別に何か事件が起きるってわけでもないのに。
「それで、それをどうにかしなきゃなーって、思って……」
困惑しながらも、フェリーナが頷いている。なんとなく、私の気持ちも分かってくれたのだろう。
「でも、ヒロインである貴女がどんな人か分からなかったから、本当に攻略対象に近付けて良いのか判断出来なかったし、会ってないと言うことは、何かあるんだなぁとも思って、とりあえず、その辺の人でシチュエーションを作ったらどうかって思って実行したのよ」
困惑から、少しワクワクと言った様子に変わって、フェリーナは頷いている。
「それで、アルバートは、転んでぶつかるのが出会いでしょ?とりあえず誰でも良いから転ばせようって、それで、転ばせたのがフェリックで……」
気分がだんだん下がってくるのが分かる。
何であんなことしたんだろうって、本当に悔やむ。
あれ、なんでフェリーナは少し目が輝いているの……??
「それで、すぐに逃げたんだけど、その転ばせたのが私だってバレてね。何の目的だって、詰め寄られて……それで、上手く返せなくて監視されるはめになったのよ……」
言って、私は盛大に落ち込む。
本当に迷惑。
思っていたよりも、私が言いよってるように見えるのがダメージでかい。
最悪だ。
「え?え?と言うことは、フェリックはアルバートにヒロインのごとく突っ込んだのかしら??」
うん?
何かフェリーナ、目がキラキラしてない?
え?何を期待してるの?
「いや、私もその予定だったんだけど後ろ向き転んでしまって……本当に焦ったけど、アルバートが受け止めて……」
そう言ったところで、フェリーナは息を吐く。
私は瞬間的に察した。
これ以上話すは危険である、と。
「はぁ……まじか。そんな羨ましい……」
間近で見たかった……。
とか何とか呟いてるのは、聞かなかったことにしまーす。
「……と、とにかく、そう言うわけなので、私には物語に関わるつもりは、全くないので、安心して先生の攻略を頑張ってください」
わざとらしく話を逸らして、終わらせる。
とにかく、私には貴女を邪魔するつもりはこれっぽっちもありません、と言うのはハッキリと宣言しておかねば。
「あ!えっと、うん。そうね。それよ。それ。いや、別にね、貴方がフェリック狙いでも別に良いのよ。そんなの、人それぞれ自由だしね。ただ、仲間が居るなら知りたかったって言うのと、やっぱり、その怖いじゃない??目的が分からないと……」
私の言葉に、少し気持ちが脱線していたことに気付いた彼女は、誤魔化すように慌てながら、もごもごと言い訳をする。
うん、まぁ、分かるけどね。やっぱり、私は危険人物扱いなのね……。まぁ、私の方も、ヒロインがお花畑だったら、どうしようなんて、不安だったものね。
うん、定番よね。
現実には見たことないような、お花畑の転生者って。
うん、不安にもなるわ。
ヒロインにも、バットエンドは存在するものね。
「まぁ、私も貴女とは話がしたいと思っていたから、ちょうど良かったです」
「そうなんですか?」
「出来るだけ穏便に過ごしたかったからね。ヒロインがどんな人かによって、平和度が変わるでしょ」
「……確かに」
「でしょ。ヒロインがお花畑パターンとか、最悪でしょ。問題が起きる前にどうにかしようって、考えるでしょ。面倒だし……」
私の言葉に、フェリーナは苦笑する。
ん?なんで?
「……面倒とか言いながら、面倒を引き寄せるラノベの主人公みたいですね」
首を傾げていると、フェリーナはそんなことを言う。
は?ラノベ?
ウソウソウソ。そんなチートな能力も、やれやれと上手いことこなす頭脳も、なんだかんだ上手くまとめる人望も幸運も持ってないけど??
「人は面倒だと、何があっても見て見ぬふりしますよ。自分に無関係なら特に」
「……」
言われて考える。
……まぁ、確かに。
その通り。
始めからそのつもりだ。関わらないつもりだった。
だって、巻き込まれたくないし。
乙女ゲームって、巻き込まれると最悪、家の没落とか派閥争いに巻き込まれるんだぞ!運が良ければ、何か地位アップしてラッキーみたいなこともあるけど!ヒロインがお花畑なら、それもう死地に飛び込むのと同じだよ!
でもさ。
そんなアホなヒロインと、攻略対象が一緒に地獄に行くなんて、見たくないよ!
ゲーム通りに断罪なんて、上手く行くわけないし。もしも、上手いこと雰囲気作って、シンデレラストーリーとか、ラブロマンスとか、悪役令嬢云々みたいな空気作ったところで!って感じじゃない?
その先は?
ヒロインがそれなりに聡明なら、良い。
立場を弁えて、役目も分かって行動するならそれで。
でも、アホヒロインじゃ、無理でしょ??
じゃぁ、断罪イベントが始まる前に、つーか、攻略対象が現を抜かし始めたところで、ヒロインには退場してもらうべきでしょ?
それまで様子見なんて、甘すぎると思う。
取り返しがつかなくなる前に、内々で処理すべきでしょ。
出来るうちに。
それが、一番面倒じゃないと思うのだけど……。
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