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 テスト後のご褒美の日から、2週間が経った。


 特に事件も無い穏やかな日々だ。


 相変わらず、度々フェリックは会いに来るけど、そう頻繁でもないし、物理的にも精神的にも距離は変わらないので安心である。何の進展もない。


 まぁ、エリオネル君は、その後ルーファス殿下と会ったみたいで、困ったと泣きつかれたけれど。

 ルーファス殿下が好意的な反応ならば、先輩として仲良くするのも有りでは?なんて、他人事のようなアドバイスを送っておいた。あまりかしこまりすぎても、逆に失礼というか、機嫌を損ねる可能性もあるしとか何とか言って、納得してもらった。ただ、だからと言って馴れ馴れしくしすぎると、睨まれるので、気を付けてね、とは伝えた。『それってとても難しいですね??』と、拗ねられたけれど。

 うん、とっても難しいと思う。

 と言うか、他人事だから言えることである。


 私だったら、逃げる一択である。

 それで、なかったことに出来れば良し。

 いや、それで怒りを買うのもごめんか。……胃が痛くなりそうな問題だ。


 ……が、頑張れ。エリオネル君!

 王族と知り合える機会なんて、あることじゃないから、このチャンスを上手く利用するしかない!それで、その胃の痛みもチャラよ!それくらい許されるわ!!


 と、祈っておく。



 さて、相変わらずなのは、私だけじゃなくヒロインの方も、である。

 ヒロインは、最初の出会いのイベント以降も攻略対象と会ってないのでは無いかと思う。なので、イベントが起こらない。

 実に例年通りの学園なのである。


 目立った噂も、動きもない。

 ヒロインの役目を奪う転生者のような人もいない。実は、これを一番警戒していた。


 だけど、特に何も無い。

 この世界に関連する事件も特に思い出せない。


 そんなわけで、私はすっかり安心しきって、ヒロイン編入前のような日常を送っていた。

 学園に通いながら、遠くからイケメンを眺めると言う、忍びのような日常である。



 が。



 そんな、忍ぶ私にお手紙が届いたのです。


 それも、正式な方法では無く、机の中と言う実に怪しい方法で。


 一応中身を透かして、何か入っていないか、確認してから、開ける。


 そこには、懐かしい文字が並んでいた。


『お話したいことがあります。放課後、サロンに来て貰えると嬉しいです』


 と。



 ……怪しすぎる内容だ。


 前世風に言うと、『放課後、校舎裏に来て!』である。

 そんなの、告白か嫌がらせの二択である。

 だって、あらゆる漫画で見た。

 校舎裏ってロクな事ない。


 だけど、無視することも出来ない。


 差出人は、フェリーナ・ミルズ……。



 そう、ヒロインである。


 ヒロイン様がモブに一体何のようが……と思うけれど、手紙を見れば何となく分かる。



 ……面倒な気しか感じない。



 だからと言って、無視することも難しい。



 差出人は、ヒロインで。


 なんと言ってもこの手紙。



 日本語で書かれているのだ。



 この国にはこの国の文字がある。

 ゲームの世界だからと言って、日本語では無いのだ。私が、イマイチこの世界がゲームの世界だと思えず、似た世界なんだなと思う原因がそれである。


 たぶん、周辺諸国にも日本語を使う文化圏の国は無い……はず。


 つまりは、この手紙の主であるヒロインは、十中八九、転生者、元日本人なのである。


 嫌な予感しかないのも頷けるでしょ。


 元転生者のヒロインなんて、ロクなもんじゃない気しかしない。


 けれども、今までの行動からそんな悪い気はしないのは、確か。


 ロクデナシ転生ヒロインなら、もうすでにフラグを乱立しまくって、学園中の噂の的になっているはずだし、攻略対象並びに見目麗しい男子を侍らせているであろう。


 だから、迷う……。


 そんなヒロインだったら、関わりたくないから無視よ!無視!

 そんで密かに悪役令嬢の無実の証拠を掻き集めとくわ!

 そんで、断罪イベント前にヒロインにバットエンド突き付けてやるわよ!ひっそりと!


 でも、実際にはそんなことない、たぶん先生に一途なヒロインなのである。



 ヒロインの思惑も気になっていたところだし、面倒な気はするけれど、ヤバイ人では無さそうだし、会ってみる価値はある気がする。


 ……面倒だけど。



 *****



 なんで、私が転生者ってバレたか?


 たぶん、バレたわけじゃないんだと思うんだよね。


 原因は、フェリックだ。


 どこまでも面倒を連れてくる男だ。迷惑。


 フェリックが、明らかに釣り合っていない“私”を相手にしているのを見て、私をフェリック狙いの転生者とでも思ったんじゃないかな?


 ゲームでは、ヒロイン以外にフェリックから追いかける相手なんて存在しなかったし、怪しさ満点だ。


 実に不名誉な勘違いだけど。

 仕方ない。


 それで、そんな怪しい私の目的は?っと、彼女は彼女で私を警戒したのだろう。それ故の呼び出し。


 日本語で書いて、無視出来ないようにして。


 中々に肝が据わっている。


 関わらないという選択肢もあるのに。



 ま、でも自分以外に転生者が居るなら話してみたいと言う、純粋な気持ちも分かる。私にもあるし。それに……好奇心もあるし、この不安?みたいなものを共有出来る人がいるなら、したいと言う切実な気持ちもある。

 たぶん、似たような気持ちだろうと思う。


 “関わらない”って、中々に難しいものだ。

 いや、私の意思が薄弱すぎるのは、あるけどね。


 っと、そんな複雑な気持ちをグルグルさせていたら、約束の放課後である。


 ……ヒロイン、話が通じる人だといいなーと思いながら、サロンに向かった。




閲覧ありがとうございます!

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