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エリオネル君はなんでこんなに、気付いてないのだろう?と、ふと疑問に思う。
こんなに可愛いなら、普通に気付く機会がいっぱいありそうだ。自分に向けられる好意や、自分が人からどう見られるのか、なんてことは。
……うーん。庶民の学校に通ってたって、言っていたけど……庶民の女の子は、よっぽど淑やかなのかしら??そんなわけないわよね。
……淑やかなはずの貴族令嬢の方がガツガツしてるなんて、面白すぎる。
男爵位でも、嫡男じゃなくても、お茶会に参加していたらきっと、ご令嬢方に取り囲まれていたと思うのよ。間違いなく。
それで、女性不信になるか、調子にのるか……ほぼ二つに一つね。極端すぎる話だけれど。そんなものだ。まぁ、お兄さんが多いみたいだから、そこまでじゃないかも知れないけど。
そんなわけで、こんなに伸び伸び育つことは、ほぼ無いと思うのよ。奇跡のスルースキルを、持っていない限りは。
エリオネル君はまぁ、天然っぽくはあるけど、そこまでじゃないと思うのよね。……ただ、認識してないだけなのよね。自分自身のポテンシャルを。
なんでかしら?
いくら庶民って言ったって、顔が良い方がモテるはずだ。性格も悪くないし……。ガツガツしてる子も居るでしょう。
庶民の学校にこの顔なんて、田舎の学校にアイドルの卵が居るみたいな感じだよね?
モテモテじゃない?
……もしかして、同盟を組んで抜け駆け禁止的な??貴族であるのは、みんな知っていただろうし、迂闊に近付けなかった、ということかな。
プラス、兄弟のバリア?優秀な友人でも居た??
それが、裏目に出ちゃったのね。
心配だからってみんなで守りすぎたのね。
それでもって、まさか、貴族の学園に行くはめになるなんて思ってなかったのね……。
相当、慌てたでしょうね。
家族は胃が痛いでしょう。
どう転ぶか分からないもの。
トラブルを引き起こすのか、上手いこと上手い子をゲットするのか、天然のまま全てをスルーして卒業するのか。
気が気じゃないわ。
何だかよく分かる気がする……。
彼のお姉様の言いつけの山がよく分かる。
素直にそれを守ってるエリオネル君が可愛すぎるのだけれど。素直で良かったとしか言いようがない。むしろ、その忠告のおかげで、女子に怯えているくらいで、丁度良いくらいだろう。
まぁ、出来れば同じ男爵位か商家の娘さんと良い感じになるのが理想かな??しっかり者の女の子が良いと思うのだけど……そうなると、ご令嬢よりも商家の娘さんの方がちゃっかりしてて良いかもね。
どうにか、性格の良い子を捕まえて欲しいものだ。ふわふわ顔だけの女に騙されないようにして欲しい。
……なんて、すっかり姉目線になってしまう。
「相手が女だろうと、格上だろうと、友人だろうと、躊躇するな。身の危険を感じたら躊躇ったら、アウトだ。情けは無用」
なんて、嫌に熱がこもった様子でエリオネル君に、熱弁を奮っているフェリックの姿は、本当に意外だ。
一体、何があったのだろうか……と思うレベル。
……まぁ、フェリックも顔が良いので、色々あるのだろう。
きっと、隠すことなく女性と付き合いまくってるのは、彼なりの処世術なのだろうと思う。
彼にとって、それが一番都合が良いのだろう。
だって、彼ならきっと、それを上手く隠して生きることも出来るはずだ。それくらいの器用さと、情報操作能力は、持ち合わせていると思う。
なのに、それをせずに、オープンに女性と付き合っているのは、それなりに理由のあることなんだろう。
何か、意味があるのだ。
……まぁ、何だって良いのだけれど。関係ないし。
そんなわけで、あまりに無防備なエリオネル君が心配になったということだろうか。年上として。
……何か、あれね。
さすがよ。エリオネル君。
ヒロインばりに庇護欲そそってるのね。
守ってあげなきゃ、と言うか危なっかしくて見てられない……ってとこだけど。
まぁ、どちらにしろ、人を懐に入れるのが上手いわね……!
こう……着々と攻略されている気分になるわ。
「まぁ、とりあえず無害な伯爵令嬢と知り合えたのは、君にとって最大の幸運だね」
うん?
無害な?
それ、どういう意味??
て言うかあれよ?もしもの時に味方出来るほど、うちの家は大きくないわよ?庇いきれないわよ??
「……はい!ミア先輩と知り合えてとっても良かったです!こうしてカフェでケーキを食べられるわけですし!」
イマイチ伝わっていないと思われるが、無垢な笑顔で、エリオネル君は頷いている。
嬉しいけれど、どちらかと言えばケーキに重きを置いているだろうところが、彼らしいと微笑ましく思う。
たぶん、他のやつなら睨みつけてやるけどね。
「いざとなったら、私よりも貴方の方がよっぽど頼りになると思うのだけど」
と、そう言うならお前が守れよと含ませながら言ってやれば、
「んー。俺の家はあてにならないかな?それに、“令嬢”ってところに意味があるんだよ。君、一応女の子だしね。牽制には、良いでしょ?……まぁ、ホントにやばくなったら、アルバートの家の力でも借りてやるよ。あいつ自身はイマイチ家と上手くいってないみたいだけど、俺はストライテン夫人にはそれなりに気に入って貰えてるし、なんとかなるでしょ」
なんて、返ってきた。
結局は、守ってやる的なことだと思うのだけど。何か、失礼なこと言われた気もするけど。
この人、夫人までたらしこんでるの?!
マダムキラーなの?!
ってことの方が気になってしまった。
それと、アルバートとフェリックって、思ってるよりずっと仲良いわね?とも思う。
フェリックって、アルバートの“友人”枠ではあったけど、なんて言うか邪魔してくるキャラなわけで。
それによって、二人が仲悪くなる描写もなければ、そんなに仲良いみたいな描写も無かったと思うのよ。
なんと言うか“友人”と言う情報しかない……みたいな。そこんとこ、よく分からなかったのよね。
まぁ、その細かな表現の隙間から色々組み立てて、考える人は居たわけだけれども。そう色々、多大なる妄想と願望を交えて。
私はそこまでの情熱は無かったので、ほぉ“友人”ね、と文字通り流していたのだけれども。
この人なにが目的なんだろうとは、よく思ったけど。会話を作れなかったから思うことしか出来なかったけれど、私がヒロインなら絶対聞いてる。
『貴方の目的は何なの?』って。
あんまり本気っぽく無いのに、邪魔するように口説いてくるなんて、謎すぎるでしょ。迷惑だし。
シルヴァン攻略を目指してる時に、うっかりフェリックと知り合ってしまうと、バッドエンドまっしぐらよ。好感度だだ下がりよ。怖いでしょ。
何なの?!この人?って、疑問に思うでしょ。
掘り下げるエピソードが無いから余計に謎なのよ。
で、現実の話だと、やっぱり謎な人と言う感想しかない。それで、怖い。
アルバートとの仲は、と言うとやっぱりイマイチ分からないのだ。そんなに一緒のところは見ないし、大体、それぞれ女の子と居るしね。
なので、本当に“友人”なんだろうか……と、ぼんやりと思っていたのだけれど。
さっきの言葉と、アルバートが私の元に来たことを考えると、それなりに仲が良いのかも知れないなんて思えた。
少なくとも、ちゃんと友人だったらしい。
この人、ちゃんと友人が居たのね……と、少し安心した。
いや、心配してるわけじゃないけど。
ぼっちには見えないけど、友人が多そうにも見えないのよね。
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